看護師で残業なしの求人先は?



看護師で「残業なしの仕事」を探すのはむずかしいといわれています。忙しい日々のなか、「残業がない職場に転職したい」「せめて残業が少ない職場に行きたい」と考えている看護師さんも多いのではないでしょうか。

そこで看護師の残業時間を考えるとともに、「残業がない・少ない仕事」をピックアップしてみました。


看護師の時間外労働の実態は?

残業が多い職業といわれる看護師ですが、その労働実態(実際の労働状況)はどうなっているのでしょうか。

過労死認定の看護師も

2008年10月に東京と大阪の2人の看護師が「過労死」の認定を受けて以降、日本看護協会では看護師の労働時間の適性化に取り組んできました。

しかし、2010年、2013年の実態調査でも、その労働環境は改善していないどころか悪化の傾向さえ見られるという報告が出ています。


この調査から分かったのが、「過労死ライン」とされる残業60時間以上の看護師が253人もいたということです。看護師の残業時間は月50~60時間が過労死ラインとされ、これ以上の残業をしている人は過労死のリスクがあると考えられています。

月の残業時間別の割合と人数は以下のとおりです。

5時間未満…22.1%(7139人)
5~10時間…25.8%(8339人)
10~20時間…19.4%(6292人)
20~30時間…12.3%(3970人)
30~40時間… 4.7%(1532人)
40~50時間…0.9%(300人)
50~60時間… 0.4%(121人)
60~70時間… 0.4%(132人)
残業なし…8.9%(2891人)

(出所:「看護職員の労働実態調査」日本看護協会/2013年)

なぜ看護師は残業が多いの?



看護師の残業時間が多い原因が「慢性的な人手不足」です。病院では看護師の人材確保に奔走する一方で、人件費のコスト削減を図らなければならないというジレンマを抱えています。

そのしわ寄せが看護の現場に波及し、「始業時間前から働かなければならない」「終業時間に帰りたくても帰れない」という状況を作ってしまっているのです。


あるアンケート調査によると、看護師が残業する具体的な理由として「看護記録を付ける」が挙げられています。看護記録は診療報酬の計算に不可欠で重要なものですが、仕事中に記入するのはむずかしいため残業の大きな原因となっているのです。

その他の残業理由としては「委員会や研究会への出席」「夕方頃に入院する患者さんの対応」「医師の指示待ち」などが挙げられます。業務外の勉強会や夕方から入院する患者の対応、ドクターの指示受けで残業になってしまうケースが多いことが分かります。


しかも看護師の残業の多くは、時間外手当が支給されないサービス残業です。残業代が支払われないサービス残業は労働基準法違反ですが、日本看護協会の試算では不払い賃金の総額は3億円以上に及んでいると考えられています。これでは、まさに「タダ働き」になってしまうわけで、頑張っても報われないと感じている看護師が多いのです。

ただし、同じ看護協会の調査では、看護師でも「残業なし」や「残業5時間未満」という人も30%以上存在しています。勤務先を選べば残業がゼロもしくは残業が少ない職場もあるということになります。いったい、どんな職場を選べば残業なし(もしくは残業が少ない)という働き方が可能になるのでしょうか。


看護師で残業なし(少ない)職場とは?



看護師の職場で残業がないか、比較的少なめという仕事を見ていきます。どのような職場を探すべきか、仕事内容や給料はどうなのかといった点も合わせて紹介します。

1.精神科・心療内科

残業がほぼない診療科といわれるのが「精神科」です。精神科は統合失調症やうつ病など心の病気を治療する科ですが、患者の急変が少ないことや看護師以外のスタッフが多いことなどから残業がない職場となっています。

次いで、精神的なストレス等が原因で起こる身体疾患を治療する精神内科や心療内科、メンタルクリニックも残業が少ない科として知られています。

看護師の仕事内容は外来受付や診療介助、検査などが主ですが、給料水準が高いという特徴もある科です。

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2.眼科・皮膚科・耳鼻咽喉科

眼科や一般皮膚科、耳鼻科、咽喉科、耳鼻咽喉科も、看護師の残業が少ないとされる診療科です。いずれも患者の急変がほとんどなく、比較的緊急性が低いことから残業は少なめと考えていいでしょう。

耳鼻咽喉系では花粉症などのアレルギー疾患を扱うアレルギー科や睡眠呼吸障害の診療も合わせて行なう医療機関も増えて看護師需要がアップしています。

主な仕事内容は外来受付、医師の診療介助、検査などです。日勤の職場が中心のため、高年収は期待できないかもしれません。

3.治験専門病院・クリニック

製薬会社からの依頼を受け、新薬開発のための治験を専門に行なう病院・クリニックです。患者の診療は行なわず治験(臨床試験)が専門のため、特別のことがない限り看護師の残業はありません。

看護師の主な仕事内容は治験業務の補助や被験者(モニター)の介助、臨床試験の記録などです。一般的な看護業務とは異なる仕事ですが、新薬の開発に貢献できること、被験者に直接関われることなどからやりがいを感じられるでしょう。

日勤が基本の職場ですので、給料面は低めになると考えたほうがいいかもしれません。

4.デイサービス(訪問看護)

介護サービス(デイサービスやショートステイなど)を行なう訪問看護ステーションの職場です。施設内で看護師として働くという職場もありますが、ほとんどの場合は療養者の自宅に訪問して看護するというスタイルです。

主な仕事内容は対象者の健康状態のチェックで、医師の指示にしたがって点滴やインシュリン注射などを行なうこともあります。訪問看護は業務スケジュールをある程度自己管理できるため、残業なし(ほぼなし)とすることも可能でしょう。

夜勤や残業がない分、平均的な看護師よりは年収が落ちます。常勤の場合、300万代後半から400万代前半の年収の方が多いようです。

5.療養型病院(療養型病棟)

老人医療や精神医療を主として療養型病院(病院)の仕事は、残業がほとんどないケースが大半です。その理由は患者の急変が少ないこと、ルーティンワークが中心であることです。

職場は閑静な地域にあることが多く、ゆったりと患者に寄り添いながら仕事をしたいという人に向いているでしょう。残業がほぼないので日勤のみの仕事であれば給料は低め、夜勤可であれば看護師の平均年収程度となります。

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6.企業内医務室

一般企業の医務室に勤務するという職場です。残業がほぼないだけでなく、社員と同じように土日祝日、夏季休暇、年末年始休暇なども取れます。主な仕事内容は社員の健康相談への対応や急病・怪我などの対処が中心です。

年収は勤務先によって幅があり、大手企業なら比較的高年収となるでしょう。求人数が少なく競争率が高いため、転職サイトの非公開求人を利用するといいかもしれません。

7.各種クリニック

クリニックがすべて残業なしというわけではありませんが、完全予約制で検診中心や人間ドックを主に行なっている求人先を選ぶと残業なし(もしくは残業少なめ)で働くことができます。

看護師の主な仕事内容は検診の補助やお客様のサポートになります。日勤のみの職場が多いので高年収は期待できないかもしれません。



看護師で残業なし(少なめ)の求人は人気があり、なかなか見つからないか、見つかっても競争率が高くなってしまうことが多いです。

残業のない(少ない)職場を探したい場合は、看護師専門の転職サイトに登録し、一般には公開されていない非公開求人を狙うという方法が効率的です。

<看護師で残業なしの求人先・まとめ>
  • 時間外労働50~60時間以上は過労死ライン
  • 看護師の1.7%は月に40時間以上残業している
  • 残業理由で多いのは「看護記録」「入院対応」「医師待ち」
  • 眼科、皮膚科、耳鼻科、精神科は残業が少ない
  • 介護施設や企業医務室、療養型病院も少なめ

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