皮膚・排泄ケア認定看護師の歴史をたどってみると、1960年にアメリカで開始されたストーマ(人工肛門や人工膀胱、オストメイト)ケアナースの専門教育が発端となっています。
海外で資格を取得して日本で働いていたナースのスキルや需要が評価され、日本でも専門教育が開始されました。
1995年の特定時には「創傷・ストーマ・失禁看護(Wound, Ostomy and Continence Nursing)認定看護師」という名称でしたが、2007年に「皮膚・排泄ケア認定看護師」と名称変更されています。そのため、WOC看護認定看護師とも呼ばれています。
皮膚・排泄ケア認定看護師の仕事
日本看護師協会では、皮膚・排泄ケア認定看護師に必要な知識・技術として、
- 褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
- 患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
を挙げています。皮膚ケアと排泄ケアは密接に関係するものです。ストーマや失禁ケアの必要な方は、装具周辺の皮膚ケアに注意する必要があり、寝たきりの場合には褥瘡管理が欠かせません。これらに関し総合的な知識とスキルが求められます。
看護そのものだけでなく、経過観察のうえ、患者さんが出来るだけ自立して生活するための指導や支援をしたり、共に生活する家族をサポートするほか、症状に伴って引き起こされる様々な問題への対処も相談に乗ります。
その役割や展望は?
皮膚・排泄ケア認定看護師は、入院や手術の多い外科・内科病院といった医療施設だけでなく、介護施設やデイサービス、訪問看護といった介護業界全般でもその能力を活かすことができます。
超高齢化社会に突入した日本では、当然介護業界の充実は欠かせず、皮膚・排泄ケア認定看護師への注目はますます高まるはずです。特に介護の現場では、ストーマやスキンケアだけでなく、より総合的な介護知識・技術が必要とされます。
医療機関においては、なかでもその技術が中心となるのがストーマ外来です。人工肛門を取り付けていったんは退院しても、通院を続け、日常生活を送るうえでの補助やアドバイスを受けて、慣れていくことになります。
その際に、医師と患者さん、そして周囲の人たちとの橋渡し的な存在となる役割が、認定看護師にあります。
入院期間の短縮化傾向からも、ストーマ外来の設置は必須となってきています。特に高齢者の場合や、化学療法により皮膚が脆弱になっている場合にはストーマ増設が選択されるケースが多くなり、より積極的な予防・治療が大切です。
急性期病院では、褥瘡やストーマのケアが優先され、失禁ケアまで行き届かないことが多いものですが、皮膚・排泄ケア認定看護師の知識や技術が、より行き届いた看護を目指すために活かされるべきです。
高齢の方など、言葉で気持ちや希望を伝えるのが苦手だったり、「こんなこと聞いてはいけないのかも」と遠慮してしまう方が少なくありません。そんな患者さんの性質までしっかりと理解して、必要なサポートを推測・実践していくのもまた、認定看護師の役目です。
- 医療施設だけでなく介護でも重要に
- 入院期間短縮によりストーマ外来が必須化
- 急性期病院でのより行き届いた看護
- 表現の苦手な患者の声も聴く
皮膚・排泄ケア認定看護師のお給料は?
他の認定看護師と同様に、皮膚・排泄ケア認定看護師になった後に給与額がアップするか否かは、勤務先がどの程度認定看護師の重要性を認めているかに拠り、一概には言えません。
ある調査結果では、皮膚・排泄ケア認定看護師になって、56%は給与の変化がなく、16%は認定看護師手当が付き、13%は認定分野で活躍できる部署へ異動したというデータがあります。
認定看護師への手当は、「特定看護分野従事手当」といった名称で支給されているところもあります。せっかく認定看護師となって、そのスキルを活かせる職場を探すなら、勤務条件で手当額の有無を確認したり、職位アップが可能かどうかをしっかり調べておくべきです。
皮膚・排泄ケア認定看護師に向いている人は?
ストーマや失禁ケアは、日常生活に欠かせない排泄分野の治療であるため、「こんな体で普通の生活が送れるだろうか」と不安になったり、自分のなかに悩みを抱えやすいと考えられます。
だからといって無理に介入しようとしても、なかには快く感じない方もいるでしょう。患者さんやその家族の話を聞き、それぞれに合うかたちで、認定看護師として可能なサポートを提供していくのが理想です。
院内の褥瘡ケアや失禁ケアに関し、「今のままでは十分な看護が出来ていない」と感じていても、ただ「頑張ろう」と言うだけでは看護チームを変えていくことは出来ません。
問題意識を持つことは大切ですが、ひとりよがりではなく、知識と経験を活かしたアドバイスや提案ができ、他スタッフと協働していくことで、院内環境を改善する必要があります。
褥瘡やストーマのケアを充実させたい、点数加算を狙いたいといった病院側の方針で、「皮膚・排泄ケア認定看護師になってほしい」と上司から依頼されるケースも見られます。
そのような場合でも、自身がその分野のエキスパートになりたいと本心から思っているか、将来のキャリア設計と合わせてよく考える必要があります。
- コンサルティング能力が高い
- 他看護師と協働し改善できる指導力
- エキスパートになりたいと自分自身が希望
皮膚・排泄ケア認定看護師になるには
皮膚・排泄ケア認定看護師を目指す条件として、
・看護師免許を取得して5年以上の実務
・うち通算3年以上は、ストーマ外来や病棟、在宅ケアなど、皮膚・排泄ケア分野での実務
・ストーマ増設患者の看護1例、創傷か失禁ケア領域看護4例以上を担当
・現在も皮膚・排泄ケア領域での勤務が望ましい
条件を満たしたうえで、指定の教育機関で6ヶ月間、615時間の課程を履修し、筆記試験を受けて認定が行われます。5年ごとの更新時には、その都度看護実績・自己研鑽について書類審査が行われます。
排泄ケアは、老若男女様々な症状の患者さんが対象となるうえ、人間の尊厳にかかわる分野でもあります。知識やスキルの熟練はもちろんのこと、その方の症状だけでなく性質まで配慮した、人としてのケアが必要とされます。
皮膚・排泄ケア認定看護師になった方からは「患者さんやその家族のQOL向上にもっと役立ちたい」「そのためのスキルを身につけたい」といった動機が聞かれます。
同じような希望を持っていて、現在の環境ではその実現が難しいという方は、まずは看護師専門の求人サイトに登録してみてください。たくさんの非公開求人のなかから、希望の条件に合った求人を迅速に探すことが可能です。
- 褥瘡、ストーマ、失禁の総合的管理
- 患者、家族への自己管理支援も重要
- 高齢化に伴い介護分野でも高需要に
- 給与は勤務先次第のため要確認
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