糖尿病看護認定看護師の仕事と役割



糖尿病患者数は実に世界人口の5~6%と言われており、日本でも、予備軍を合わせると2,210万人の患者がいると予測されています。しかも糖尿病は慢性疾患で、患者さんは生涯にわたり治療と自己管理をしていくことになります。

そんな糖尿病看護のスペシャリストとして目指すことができるのが、「糖尿病看護認定看護師」です。糖尿病看護認定看護師の仕事やその役割、認定されるためにはどうすればよいのかを確認していきます。


糖尿病看護認定看護師の仕事と役割


糖尿病看護認定看護師とは

1995年から開始された日本看護協会の資格認定制度では、21分野の認定看護師が特定されています。そのひとつである糖尿病看護認定看護師は2002年から認定が始まり、全国で700名以上が認定を受けています。

慢性疾患の糖尿病を持ちながら生活する患者さんの心身の状態、症状の変化におけるそれぞれの課題に対し、患者さんの希望や状況に合った適切な支援を行うことで、患者さんのQOL向上を目指します。

糖尿病看護認定看護師の仕事

外来通院中の糖尿病患者さんに対しての療養支援や、専門医の指導のもとインスリン注射の調整などを行います。入院中の患者さんに対しては自宅での療養がうまくいくよう、退院指導や在宅支援を行っていきます。

糖尿病看護認定看護師として身につけた幅広い知識やスキルをもとに、病期に応じた療養支援を患者さんとその家族に提供します。例えば、糖尿病足病変予防のためのフットケアや血糖パターンマネジメント、糖尿病ケアシステムの立案です。


糖尿病では合併症によって足に潰瘍や壊疽ができやすくなり、足を切断しなければならなくなるケースがあります。第二の心臓と呼ばれる足の切断はQOLを低下させるだけでなく、血液循環に影響して健康状態を悪化させかねません。そうならないよう、患者さん自身によるフットケアをサポートしていきます。

血糖値には、食事、インスリン注射のほか、運動やストレス状態、性周期や職種、居住地や季節までもが影響するため、患者さんの生活をよく理解したうえで血統パターンマネジメントを行う必要があります。


ケアシステムの立案では、認定看護師の知識やスキルを院内・院外スタッフの教育に活用し、施設内だけでなく地域全体での糖尿病予防・ケア活動に努めます。

糖尿病看護認定看護師が果たす役割

糖尿病は症状が感じられにくい病気なので、食事や生活習慣を改善しようとしても患者さんの自己管理だけでは難しいところがあります。

それをサポートするのが糖尿病看護認定看護師です。患者さんのおかれた状況を全人的に理解し、医療処置やサポートにとどまらず、患者さんを励まし動機づけるという役割があります。また、慢性疾患であるため、そのサポートは長期にわたります。

ますます増加する糖尿病患者のケアを引き受けるだけでなく、他スタッフを巻き込んで糖尿病予防・啓発に努めていくこと、病棟や外来、医師、栄養士、薬剤師らの橋渡し役となって包括的なサポートを実現するのも、糖尿病看護認定看護師の大切な役割です。


糖尿病看護認定看護師を目指すには?


受講条件

日本看護協会が認定する施設において、6ヶ月以上・600時間以上の教育課程を修了したうえで認定試験に合格することで、糖尿病看護認定看護師になることができます。

教育施設は東京、千葉、福岡、岡山の5か所にあり、それぞれ定員は決して多くないため、まずは受講のための筆記・小論文・面接試験に合格する必要があります。

日本国内で看護師、保健師、助産師のいずれかの免許を持っていること、実務経験が5年以上あり、3年以上は糖尿病看護分野の実務であることが受講の条件です。

カリキュラム

糖尿病看護学科では、糖尿病患者さんとのその家族のQOL向上を目的とした水準の高い看護を提供できるよう、ほかの看護職者に対し指導できる能力を育成するための知識・スキルを身につけます。

認定看護師になるための基礎能力を養う「共通科目」が150時間、糖尿病ケアや疾病・治療の理解、援助方法を学ぶ「専門基礎科目」が120時間、病気やライフステージに応じた調整・支援を学ぶ「専門科目」で105時間、より実践的なケアシステム立案、血統パターンマネジメント、フットケア技術を学び事例報告する「演習」を210時間、実習で225時間、計810時間のカリキュラムが用意されています。

これらをすべて修了し、筆記試験を受けて合格・登録することで認定資格が得られ、その後は5年ごとに更新審査を受けることになります。

認定看護師を目指せる環境が必須



糖尿病看護認定看護師を目指すには、そのための環境が整っていることが前提となります。まずは受講資格となる実務経験が積めること、通学のために半年以上勤務先を休めること、教育施設に通える住居があり通学コストを賄えること、これだけの条件をクリアしなければなりません。

現在の勤務先では条件を満たせない場合には、支援可能な病院へと転職する必要があります。糖尿病看護認定看護師が活躍する病院だったり、実際に支援環境が用意されている病院をピンポイントで探すのに、看護師一人で活動していては情報量に限界があります。看護師の転職サイトを利用すると、より多くの詳しい情報・支援を得ることが可能です。

糖尿病看護でさらにステップアップしていきたい方、課題に突き当たり悩んでいる方にぴったりの目標となる糖尿病看護認定看護師。全国から集まった仲間とともに、様々な学びや気づきを得られる教育課程は貴重な体験となり、看護師としての糧になることでしょう。

<糖尿病看護認定看護師の仕事と役割・まとめ>

  • 通院、入院の糖尿病患者に対し必要な治療、支援を行う
  • 個人の状況、病期に合わせた予防的ケアが重要
  • 処置だけでなく心理的にも患者さんを励まし支援する
  • 他スタッフとの橋渡し役となり、予防、啓発に努める
  • 実務経験のうえ、6ヶ月以上の受講をして試験を受ける
  • まずは認定看護師を目指せる環境を整える必要


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