准看護師の求人先は限られている?



平成25年時点で就業中の看護師総数・約147万人のうち、およそ75%が正看護師、残りの25%は准看護師です。看護師の4人に1人が准看護師という状況ですが、その准看護師の求人先は限られていると一部では言われています。

限られているといっても求人先がないということではなく、人手不足の医療機関は多いので、准看護師もある程度の求人先を見つけることができます。しかし正看護師と同等の求人内容、待遇を望めるかというと、不利な面があることは否めません。

准看護師の求人は正看護師と比較してどのような意味で限られるのか、その理由とともにまとめ、准看護師の転職先や求人選びで注意したいことを確認しておきます。


准看護師の求人はホントに限られるの?


大規模病院での求人がないのは事実

病院とひとくちにいっても、経営母体や規模、扱う診療数科や病床数など実に様々であり、それにより看護師の仕事内容や忙しさ、学べる内容が違ってきます。


より高度な医療を扱うためスキルアップが期待でき給与条件もいい大学病院や公立病院などの大きな病院に勤めたい看護師は多いですが、こうした大規模病院の求人は主に正看護師が対象で、准看護師は募集されていないか、採用されないというところが少なくありません

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看護師と准看護師の待遇差

看護師と准看護師の違いとして、勉強する学校・課程・年数の違い、そして国家資格か都道府県知事免許かという違いがあり、その定義では「看護師は医師の指示に従って診療の補助、療養上の世話を行う」「准看護師は医師や看護師の指示に従って業務を行う」とされています。


しかし医療現場での看護師と准看護師の仕事内容が違うかと言えば、何ら変わりはありません。職務能力は個人によるもので、看護師だから必ず准看護師より優秀というわけではないですし、経験を積んだ優秀な准看護師がたくさん活躍しています。


それにもかかわらず、規模の大きな病院ほど「正看護師のみを雇用する」という方針をとる傾向があります。准看護師はこうして求人先が限られるだけでなく、給与待遇において看護師との大きな差が見られます。

下記の平均年収についての表を見ると分かりますが、20代前半で、准看護師の年収は看護師よりも約94万円少なく、その差は年齢とともに増えていき40代前半での年収差は約101万円にまで開いています。

■正看護師・准看護師(女性)の年代別年収

正看護師 准看護師
20代前半 377.7 283.3
20代後半 453.8 332.3
30代前半 461.4 350.3
30代後半 474.0 379.2
40代前半 497.6 396.3

(出典:平成26年賃金構造基本統計調査)


患者さんから見れば同じ看護師であって仕事内容は変わらないのに、と感じるかもしれませんが、これが正看護師と比較した准看護師の待遇です。

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小規模施設で准看護師求人が多い理由

では、なぜ准看護師の求人募集先は、正看護師と差があるのでしょうか?


一つは、病院規模が小さくなるほど一般的には資金力が少なくなるために、人件費が少なくて済む准看護師を優先的に採用しているという事情があります。逆に大規模病院では資金力があるので、人件費がかかってもより高位の資格を持つ看護師を採用した方が安心、と考えられています。


2つ目は、診療報酬制度の影響です。大病院では、診療報酬を高めに設定するための条件である「7:1看護体制(患者さん7人に対し1人の看護師を配置)」を実現するため、看護師の採用に力を入れる施設がたくさんあります。

しかし准看護師が雇用されていたとしても、この看護体制の一人とはカウントされず、あくまで正看護師が対象となります。


したがって病床の多い病院で看護師求人が多くなり、逆に小規模病院では看護師よりも准看護師の活躍の場が広がる、という状況になっています。


病院以外での准看護師の求人選びの注意点


病院以外では准看護師求人は差別がない

これまに述べた通り、病院では確かに准看護師の求人は限られていて、正看護師より待遇が低くなるのが一般的です。しかし病院以外の就業先を見てみれば、そのような差はほとんど見られません

病院以外の看護師の就業先として、クリニック、介護施設や訪問看護などの福祉施設、企業看護師、学校保健室、検診センターやツアー同行ナースといったところがあり、これらの求人を見てみると、看護師と准看護師で採用枠の差や待遇差はありません。

これらの業種への転職では、正社員でなくパートや派遣などの臨時雇用も多いでしょう。

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准看護師の転職、注意点は?

大学病院や国立病院での採用枠がないからといって、臨床経験のない看護師がいきなり病院以外の業種に就くことは現実的に難しく、また大きなリスクが伴います。

スタッフ数の少ない個人病院やクリニックでは即戦力となる看護師が求められ、介護施設その他の業種でも、一人の看護師に任せられる仕事が多くなります。

先輩看護師に一から仕事を教えてもらうといった恵まれた環境はなかなか望めない、と思ったほうが良いでしょう。


採血や点滴、注射、バルーン交換や胃ろう管理、インスリン注射など、学校での実習とは違い、間違えば人命にかかわる問題となり訴訟にも発展しかねません。

そのため、病院以外の施設への採用条件として、ある程度の臨床経験が求めらる場合が少なくありません。仮にそういう条件がなかったとしても、臨床経験もなくいきなり働き始めたら、かなり現場で苦労することになります。

准看護師として働くなら検証経験を積む意味でも、まずはある程度の研修、スキル修得が望める民間病院への勤務が望ましいでしょう。


正社員としての採用枠がない場合には、待遇は低くなりますが臨時雇用として就業し、ひと通りの臨床経験をしたうえで准看護師採用をしている施設へ転職する方法があります。准看護師として働きながら正看護師を目指すという選択肢もあります。


准看護師の総合病院への求人が限られているといっても、それなりに募集はあります。それには、看護師専門の転職支援会社を活用して、臨床経験を積めそうな病院を紹介してもらうといいでしょう。

そこで経験を積んで、正看護師を目指すなり、よりよい条件を求めて転職をするなり考えるとよいと思います。

<准看護師の求人先は限られている?・まとめ>

  • 大きな病院では准看護師の求人が少ない
  • 正看護師と仕事は同じでも給料が低くなる
  • 准看護師の求人が限られているのは、診療報酬制度などが理由
  • 病院以外では求人数、待遇ともに正看護師との差がない
  • まずは臨床経験を積んでから、今後のキャリアプランを考えるべき


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