看護師の転職体験談(60):鹿児島の離島で訪問看護の仕事に転職

(福岡、37歳、女性)

転職前はどんな仕事をしていたか


(写真はイメージです)


転職前は大阪府の市立病院で外科病棟に勤務していました。50床の病棟で消化器、呼吸器、乳腺等の周手術期や抗がん剤治療、終末期医療などを行っていました。三交代勤務で月に4、5回深夜と準夜勤務がありました。

日勤、深夜、準夜の勤務は8時15分から16時45分までが日勤、そのまま帰宅し3時間程度睡眠をとったら出勤して日付の変わる0時から8時半までが深夜、その翌日の16時から0時半までが準夜勤務でした。


残業は月に10~15時間程度で残業代をもらえていました。休日や夜勤明けに様々な研修や病棟会議、委員会活動があれば、無給で出勤することもよくありました。

その頃は不景気の真っただ中で、地方公務員である市立病院職員も民間に合わせて昇給がなかった時でした。3年間、手取りで毎月27万円程度でボーナスは年間90~100万円はあったと思います。

不景気だからって減給はありませんから、それまで毎年昇給していたベテランナースの先輩方はもっともっともらっていた様子でした!さすが公務員。


なぜ転職しようと思ったか

ナースの離職率の高さは有名な話ですが、私もその一人です。毎日激務で病棟を駆け回っていました。仕事自体にやりがいを感じる部分は大きかったですが、満足できない、何かが欠けていると思っていました。もっとじっくり患者さんに関わっていきたいのにナースコールに追われる日々で悶々と過ごしました。

また、三交代勤務の日勤から7時間後にまた深夜勤務というスタイルが辛くも感じました。ずっとこの生活が続くのかと考えると居てもたってもいられず3年間勤務して退職を決意しました。その時、看護部長から「燃え尽きちゃった?」と聞かれたのですが、その状態に近かったと思います。

退職後は地元に帰省しました。しばらく沢山遊びました。大好きな海外旅行三昧でしたがそんな生活は長くは続くわけもなく、職を探すことにしました。


どんな転職活動をしたか

当時はインターネットで仕事検索の時代ではなく、まずはハローワークへ。病棟、クリニック色々ありましたが、とりあえず様子を見ることにしました。次に看護協会を訪ねましたが、イマイチしっくりきません。求人誌も購入しましたが、同じような印象です。参考にはなりました。

そして看護協会に広告のあった看護師人材会社に足を運んでみました。ここでこれまでの自分の経験を改めて考え、何をしたいのか考えるに至りました。ナースコールに追われ、患者さんとゆっくり向き合いたいと悩んでいた自分。これだ!と思えたのが訪問看護です。その人材会社では遠方への派遣ナースも紹介してくれていました。


半年などの期間で慢性的に人手が不足している僻地や離島での仕事の紹介です。まだ25歳、思い切ったことをやってみたいと一念発起し1年間行く決心をしました。

その人材会社からの紹介で、履歴書は不要でした。特に改まった面接も何もなく看護師としての勤務経験があれば大丈夫だったと記憶しています。いきなり知らない土地に行くのも不安だったので自費でもいいからと見学に行かせてもらいました。病院は半額交通費を支給してくださり、希望の訪問看護の部署に紹介までしてくださいました。


転職後の職場の様子、感想

鹿児島県で就職した病院は200床の私立病院です。人口約2万5千人の町では一番大規模な病院でした。とてものんびりした印象で、なんだか田舎暮らし?といった気分で新生活への期待で胸を膨らませました。訪問看護をする、という目的以外にプライベートでの充実を求めていたのかもしれません。

実際に私のようなナースは数人いて、病棟にも訪問看護の部署にもいました。海のきれいな土地だったので、休みのたびにスキューバダイビングを楽しんだり、ライセンスを取得したり。サーフィンをする人もいました。

私は海に潜ったり釣りしたり、地元の人の農作業を手伝ったり、普段できない体験を楽しみました。中にはその土地に居ついて結婚&出産といった先輩もいらっしゃいました。仕事も楽しく、生活も楽しく。最近はワークライフバランスとよく耳にしますが、振り返るとまさに程よいバランスで滞在できたと思います。


その病院では外来と病棟に加えて訪問看護部という部署がありました。病棟から退院後に継続的に自宅での看護が必要となれば指示が出ます。在宅酸素療法や経管栄養、人工呼吸器、在宅での看取り、通院困難な患者さん宅を訪問しての体調や服薬の管理、褥瘡処置、リハビリなど様々な看護に携わりました。

また医師や病棟ナースだけではなくケアマネージャーや理学・作業療法士、ヘルパーなど他職種との連携も欠かせないものでした。


訪問看護の仕事内容は、私の性分に合っているととても感じました。ゆっくり患者さんや家族の話を聞くことができます。その現場には自分しかいないという緊張感や使命感も湧いてきます。

なにか気になることがあればすぐに報告するのか、様子観察のままでいいのか、自分の判断が病状を左右します。ナースだけではなく医師も人手不足ですから、報告も先を予想して無駄のないものになります。処方箋を書いてもらうのか、往診してもらうのか、入院の必要があるのか。


必要と思えば採血して検査結果の伝票をもって医師の指示をもらいにいっていました。訪問看護ステーションであると、医師の仕事、看護師の仕事の境界がはっきりしていますが、病院付属の訪問看護では包括され遠回りすることなくスムーズに医師や病棟と連携できるメリットがありました。

より疾患理解を深めたいと、帰宅後は勉強する日が多かったです。また限られた場所で工夫しながら手探りでケアしていくことはとても楽しかったです。病棟であると医療者主体のケアになりがちです。在宅ではその患者さんの生活に合わせた療養を考えて実施していくのです。その患者さんの満足に、私の心は満たされて大きな喜びとなりました。


しかし公立病院から民間病院へのギャップは大きかったです。それまでの市立病院は毎年赤字1億円、なんて話でしたのでコスト意識が全く違います。そこの民間病院は必要物品は最小限でディスポのものも滅菌して再利用します。

例えば吸引チューブは使用後洗浄し乾燥させてからガス滅菌です。1本ずつパックにするのはもったいないので5本や10本の単位で1パックに詰めてあります。口腔内の吸引に使用する分にはそれでも問題ないかと思います。病棟では気管切開部からの吸引には新品を使用していました。すべてがその調子で、民間病院が継続して利益を確保するための努力を知りました。


待遇は以前のようには良くありませんでした。祝日は関係なしの週5日勤務です。夜勤がなかったので手取り21万円くらいでボーナス支給はありませんでした。同じ紹介派遣ナースでも病棟だと夜勤があるのでもう少しもらえていたようです。

しかし、寮費は1万円で水道光熱費も込みだったので生活には全く問題なく、1年間でしっかり貯金できました。


これから転職する方へのアドバイス

この資格は自分のライフスタイルに合わせて働き方を変えることのできる、一生ものの仕事です。そして経験は無駄になることはなくすべて自分の宝物になります。転職がマイナスになることはなく、キャリアとしてプラスになると思います。

私は訪問看護、という自分に合った看護を見つけられました。今は子育てとの両立でパートとして働くことができます。そして、子どもの成長とともにお金も必要になりますし、その時は夜勤も考えたフルタイムでの訪問看護をやりたいと将来的に考えています。

自分がその時何をしたいか、という気持ちを大切にしながらも、自分の人生の長い道のりでどういう働き方、どういう内容が合っているのか考えながら選択していくことが大切だと思います。


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