看護師の給料・出世・転職は大卒と専門卒で違いはある？

看護師も大卒が増え、「キャリアの時代」という言葉が聞かれるようになってきました。実際の現場では大卒看護師と専門卒とで仕事の違いはありませんが、給料や待遇・出世などの面では違いが出てくるのでしょうか？ここでは、大卒看護師と専門学校卒看護師の、就職後の待遇の違いについて見ていきます。

大卒と専門卒、平均給料の違い

あるインターネット調査によると大卒と専門卒の看護師の「新卒の平均給料」は、大卒が約27万3000円、専門卒が約26万6000円と約7000円の違いがあることが分かっています。

ちなみにこの調査では全国の初任給の高い病院をピックアップしていますが、Ａ病院では大卒が37万4000円・専門卒は37万2000円とほとんど差がないのに対し、Ｂ病院では大卒37万円・専門卒35万円と差が出ているケースもあります。

一方、日本看護協会では、国公立病院や大学病院、一般病院など設置主体別の新卒看護師の予定初任給に関する調査結果を発表しています。その調査による大卒看護師と専門卒看護師の初任給の違いを見ていきましょう。

（学歴による看護師初任給の違い）

	大卒看護師の初任給	専門卒看護師の初任給
国（厚労省）	約26万5000円	約25万5000円
公的医療機関	約26万3000円	約25万4000円
社会保険関係団体	約27万円	約26万4000円
公益法人	約26万7000円	約25万9000円
医療法人	約26万7000円	約25万9000円
学校法人	約27万5000円	約26万7000円
上記平均	約26万7800円	約25万9700円

以上の調査結果から、大卒看護師の初任給平均は約26万7800円に対し、専門卒看護師の初任給平均は約25万9700円であることが分かります。

大卒看護師と専門卒看護師の平均初任給の差は約8100円となり、前述したインターネット調査の結果である約7000円と大きく掛け離れていないといえるでしょう。

この点から、初任給における大卒看護師と専門卒看護師の給料の差額は約7～8000円程度と見ることができます。ただし、この数字はあくまで初任給の金額であり、理由は後で述べますが、昇給面では大卒がやや有利です。といっても劇的に給料に差が出る訳ではなく、平均して月給ベースで2～3万程度の違いです。

では、なぜ大卒看護師と専門卒看護師とで、こうした平均給与の違いが生じるのでしょうか？

大卒看護師の方が、やや出世に有利

大卒看護師の方が給料面でやや有利な理由は、大卒看護師の方が出世で少し有利なためです。もし同じ実力を持った大卒と専門卒の看護師がいた場合、出世しやすいのは大卒です。

これは就職についても同様で、有名病院・大病院ほど大卒看護師が有利です。極端なケースでは、「大卒看護師でなければ採用しない」と決めている病院もあるほどです。ただしこれは、かなりレアなケースです。

こう書くと大卒看護師は専門卒に較べて圧倒的に有利なように感じる方もいるかもしれませんが、その差はあくまでわずかです。専門卒の看護師でも出世した方（たとえば、看護部長になった方）は沢山います。

余談ですが、大卒で看護師になるよりも専門卒で看護師になる方が経済的には相当有利です。１年間の学費自体が専門学校の方が安いですし、専門学校なら３年で卒業できますが大学なら４年掛かります。

その割に上で説明した通り、大卒と専門卒では意外に差がありません。にもかかわらず、最近では専門学校よりも看護師の大学に行く方がかなり人気です。詳しくは下記をご覧ください。

なぜ看護学科が増えているの？

大卒看護師の方が転職に有利？

大卒看護師が（新卒での）就職や給与・出世の面でやや有利なのは説明しました。では、転職についてはどうでしょうか？結論から言うと、大卒と専門卒で転職の有利・不利は全く関係ありません。「大卒の神通力」が通じるのは、新卒で入った病院にいる間だけです。

看護師の転職で学歴よりも関係するのは、転職前のキャリアです。転職前の病院でどんな経験を積んでいたのかが、かなり影響します。たとえば、同じ新卒３年の看護師でも、外来で３年の経験があったとの救急救命で３年のキャリアがあるのとでは、看護師の転職市場での価値は全く異なります。

ですので、専門卒の看護師だからって悲観する必要はないですし、大卒の看護師だからといって安穏としていられる訳ではないのです。

＜大卒・専門卒看護師のまとめ＞