看護師の転職理由、同僚・先輩看護師からのいじめ・パワハラ



看護師の転職理由の常にTOP3に入るのが「人間関係の悩み・疲れ」です。看護師業界で人間関係を理由とした離職・転職が非常に多い要因は、やはり女性の職場特有のいじめやパワハラなどにあると考えられます。

医療現場の人手不足、看護師の離職・転職率の高さは深刻な問題と認知されているにも関わらず、転職・離職の主な原因とされるパワハラやイジメは横行し、看護師の多くはその対策に苦慮しています。

今回は看護師の職場におけるパワハラやいじめの実情や、その対策について考えていきたいと思います。


パワハラとは



パワハラとはパワーハラスメントを略した言葉で、職権といった抗いがたい力(パワー)を背景として、継続的に人間の尊厳や人格を侵害する言動、行動を行うことを指します。

パワハラは就業者同士の関係を著しく悪化させる、雇用不安を与えるなどの大きな問題があり、近年はメンタルヘルスの不調を引き起こす原因として重要視されています。


職場におけるパワーハラスメントの行為を分類すると次のようになります。


1.身体的な攻撃(暴力や障害)
例:ファイルなどで叩かれる

2.精神的な攻撃(暴言、脅迫、陰口)
例:「役立たず!」「看護学校からやり直せば?」など、同僚や患者の前で罵られたり馬鹿にされたりする

3.人間関係からの隔離(関係の切り離し、無視、仲間外し)
例:あからさまに仲間外れにされる、挨拶をしても無視される

4.過大要求(仕事の妨害、業務上不可能なことや不要なことの無理強い)
例:転職したてであるにも関わらず、引き継ぎも終わっていない業務を言い渡される。通常の倍以上の仕事を与えられ、クリアできないと罵倒される

5.過小要求(その人の能力や経験に見合わない過小な仕事を命じる)
例:買い物や掃除・選択など、看護師の仕事と関係のない雑用を強要される

6.個の侵害(私的なことへの立ち入り、プライバシー侵害)
例:結婚の予定を執拗に聞き出そうとする、恋人の有無をしつこく探られる


これらは職場のパワハラをすべてカバーした者ではありませんが、看護師であればどれも実感をもって「あるある!」と感じるものではないでしょうか?

パワハラは働く人たちの権利や人権を侵害するだけでなく、職場環境も大きく悪化させる行為です。そのため、本来であれば上司や管理者こそがパワハラの改善策や打開策を練り、部下を守るべく行動すべきです。


しかし、看護師の職場の多くは、パワハラを取り締まるべき看護師長や看護部長がその首謀者、もしくは加担者となっているケースが多く、非常に根が深く厄介なこととなっています。

それだけに、パワハラで悩む看護師の多くは上司や看護部へ相談することもできず、様々な苛立ちや不安、恐怖などを抱きながら働き続けることとなり、最終手段として転職や離職を選択せざるをえなくなってしまうのです。


看護師に多い同僚、先輩からのいじめ・パワハラとは


いじめやパワハラの実態とは?

看護師の職場は女性社会のため、男性の多い一般企業などと比較すると独特の雰囲気があり、いじめやパワハラも露骨なケースが目立ちます。また、一対一の関係性ではなく、一体多数(いじめの対象1に対し加害者多数)の構図になることがほとんどです。

また、職場の場所や働いている人の個性・人柄などを問わず、行われるいじめやパワハラの傾向が似かよるのも特徴と言えるでしょう。


以下に、人間関係を理由に退職・転職した経験の看護師の方々が挙げる、されて辛かったいじめやパワハラをまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

  • 人前で罵倒される、怒鳴られる
  • 常に冷たい態度をとられ、挨拶も無視される
  • 自分に接するときだけ当たりが強い、明らかに態度が違う
  • 話しかけても無視され、質問にも答えてもらえない
  • 理不尽な要求や依頼をしてくる
  • 雑用ばかり押しつけてくる
  • 仕事に必要な情報を共有してくれない
  • 根拠のない悪質なウワサを流される
  • 人格を全否定してくる
  • シフトであからさまな嫌がらせをしてくる
  • プライベートについてセクハラまがいの質問をしてくる

いじめやパワハラの代表的なものを挙げてみましたが、看護師の方の多くはこのほとんどを経験したこと、目にしたことがあるのではないでしょうか?

一つ一つの行為や言動はそれほど大きなものではない、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これらが複数重なり継続することで、心身には深刻なダメージが与えられてしまいます。


特に患者さんの前で怒鳴られる、根も葉もないウワサを流されるといった嫌がらせは精神的にショックが大きいと感じる方が多く、ひどく思い悩む看護師も少なくありません。

これらのいじめ・パワハラは、はじめは些細なことであっても、対策を打たない限り段々とエスカレートしていく傾向にあります。上記のようないじめやパワハラを日常的・継続的に受けている場合は、信頼のおける人や窓口に相談をする、証拠集めのための記録や録音を行うなど、問題解決のための行動を早急に始める必要があります。

いじめやパワハラはなぜ起こるのか

看護師の職場で人間関係の問題が起きやすい原因には、次のようなものがあると考えられます。

1.女性の割合が非常に高く、ウェットな人間関係に陥りやすい
2.仕事の特性上、過度に厳しい指導や言動もある程度許されてしまいがち
3.人の命を預かる仕事のため、職場の全員が常に高いストレス状態にある

看護師の仕事は患者さんの命に関わっていることから、非常にストレスフルで、精神的にも肉体的にも余裕がある方はほとんど存在しません。そのため、いじめられる側・いじめる側双方に心の余裕がなく、いじめが発生しやすいだけでなく深刻化・長期化しやすい傾向にあります。

看護師のいじめ・パワハラを考える際、そもそも職場自体がいじめを発生しやすい環境にあり、職場そのものが人間関係を乱す原因となっていることを認識すれば、問題解決の糸口が見える場合があるかもしれません。


いじめ・パワハラは誰に相談するべき?


職場で相談できる人を確保する

いじめやパワハラを受けても、上司や同僚に相談できず悩みを抱え込んでしまうというケースはよく見られます。看護師の職場の場合は首謀者や加担者自体が同僚や上司などである場合が多く、誰にも助けを求められないまま悩みが深刻化し、うつ病など心の病を発症することも少なくありません。

理想なのは、パワハラやいじめについて真摯に対応してくれる誠実な上司に相談することですが、そういった上司がいるのであれば、そもそも人間関係の問題がひどくなる可能性は低いはずです。


とはいえ、いじめやパワハラの悩みは抱え込むことで状況が刻一刻と悪い方向へ向かってしまうので、できるだけ早めにはき出す先を見つけることが大切です。

直接の上司からパワハラを受けている場合は、他の診療科の看護師長などに相談ができないかどうか、同僚や先輩の中に話を聞いてくれる人は本当にいないかなど、周囲の人たちをしっかりと見極め、相談できる人を確保することが重要です。


また、看護部・人事部への相談も一つの手ではありますが、看護部自体がいじめなどを黙認している可能性もありますので、見極めが必要です。看護部と上司が結びついていた場合は、相談することで状況が悪化してしまうケースもありますので、事前に十分確認しておくことを強くおすすめします。

行政機関や司法支援を活用する

職場に相談できる相手が見つからない場合は、職場以外で相談相手・相談先を探しましょう。例えば、各都道府県にある「総合労働相談センター」では、いじめやパワハラに関する悩み相談を受け付けています。

また、職場への注意喚起などを求める場合は、法テラス(日本司法支援センター)などで無料相談を利用することも可能です。


行政機関や法テラスを利用する場合に一つ準備しておきたいのが、いじめやパワハラの証拠です。相談する際に、日常的に行われる嫌がらせや暴言の内容を控えたメモや録音、相手の嫌がらせ行動などを録画した媒体などがあれば、解決策や打開策についてより詳しく具体的なアドバイスを受けることができます。

証拠としては、メモやボイスレコーダー、録画データなどが一般的ですが、いじめやパワハラの内容を記入した日記なども立派な証拠となりますので、忘れず持参しましょう。これらの証拠が揃っていると、相談する際に説得力がでてきます。


限界を感じたら転職するのもアリ



いじめやパワハラによる心身の苦痛が強すぎる、職場の環境的に改善が見込めない場合などは、身体や心を壊してしまう前に、転職を検討するのも一つの方法です。

事実、多くの看護師がこの方法を選択するからこそ、転職理由の上位に長年「人間関係」が入り続けているのです。


転職は、現職の人間関係の悩みや不安、労働環境などを一気にクリアできる非常に有効な手段の一つです。とはいえ

「転職先でも人間関係が良くなかったら……」
「退職理由にパワハラ・いじめなんて書けない!」


など、転職活動前の段階で様々な悩みや不安に押しつぶされそうになる、という方も少なくありません。不安から転職に踏み切ることができず、気付いたら手遅れでうつ病を発症してしまった、なんてケースも少なからずみられます。


そんな時に活用したいのが、看護師転職支援サイトなどで無料利用が可能なキャリアアドバイザーです。キャリアアドバイザーは、看護師の仕事に詳しいのは当然のこと、看護師転職を多数手助けした経験も持つので、想像以上にパワハラ・いじめへの対応策、対処法に精通しています。

そのため、転職希望先の人間関係が不安な場合はある程度内情を調べてもらうことが可能ですし、履歴書などに記入しなくてはならない退職理由の書き方、上手に面接を切り抜ける方法などの相談にのってもらうことも可能です。


看護師のいじめやパワハラの問題は、個人単位での対応が難しく、一人で思い悩んでいても問題解決にはなかなか結びつきません。できるだけ早い段階で相談相手、相談窓口を確保し、まずは自分の心を楽にして上げることが大切です。

その上で、行政機関や法テラスなどに相談する、転職支援サイトのキャリアアドバイザーを利用するなど、自分の状況にあった選択を行うと良いでしょう。行政機関や法テラスなどは相談を無料で行えるので、敷居も低いはずです。


また、転職支援サイトのキャリアアドバイザーも利用したからといって、転職を無理強いされるといったことは全くありませんので、最初は悩みを聞いてもらうことを目的にアドバイスを求めるなんてことも可能です。

利用に際して費用がかかることはなく、気軽に活用できるサービスなので是非上手に活用し、いじめやパワハラの悩みから解放されるよう対策を行ってみて下さいね。


この記事のまとめ

  • 女性が多くストレスフルな環境がパワハラやいじめに発展する
  • 職場の信頼できる人にまずは相談してみる
  • 行政機関で相談して解決の糸口を探す!
  • それでも解決しない場合は転職に踏み切ろう!



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