看護師の職業は、以前は「看護婦」と呼ばれたり、男性では「看護士」と言い分けられ、男性看護士は救命救急や手術室などに勤務するのが主でした。これが、2002年には男女雇用均等法によって、男女ともに「看護師」という呼称へと統一されました。
こうして男女の別なく「看護師」という職業を目指す環境が整えられ、実際医療現場において、男性看護師が少しずつですが増加しつつあります。
その増加の現状や背景、男性看護師にはどんな魅力があるのか、男性看護師が活躍しやすい職場についても見ていきましょう。
目次
男性看護師が増えている?!
男性看護師数の現状
看護師全体に占める男性看護師の割合は、2006年で5.1%、2012年には約7%となっています。じわじわと増加しているとはいえ97%は女性と考えれば、まだまだ看護師の職場は女性が圧倒的に多いことが分かります。
ただし看護学校への入学者数の推移を見てみると、学校にもよりますが男子生徒の割合は10~20%にもなっています。それまでは専門学校や短期大学のみであった看護科に4年制大学が加わったことをきっかけに、男性の入学者数が増え始めたのです。
このような背景から、男性看護師数は今後さらに増加するものと予測されます。
男性看護師増加の理由1.就職難
近年では、大学卒業後に改めて看護専門学校へと再入学するケースがよく見られます。これは、長引く不況と就職難の影響から、大学を卒業してもなかなか就職先が見つからない方も多く、そこで売り手市場である「看護師」という職を目指す人が増えているということです。
看護師の給料平均が比較的高めであることも、なかなか就職先が決まらない学生にとって魅力と映る、という背景もあるでしょう。
このように、就職難が看護師を目指す男性増加の理由のひとつであると考えられます。ただし国家資格であって人の生死や健康にかかわる看護師の職は、安易な志でつづらけられるものではありません。実際に、実習・学習の段階で学校を辞めてしまう人もいます。
結果的には、看護師を目指す段階で、「看護師の仕事にやりがいを感じられるかどうか」というふるいにかけられるわけですが、男性が看護師を目指すきっかけとなっていることは確かです。
男性看護師増加の理由2.体力・腕力の必要性
男性と女性とでは、もともと備わっている体力が違います。当然女性看護師よりも、男性看護師の方が体力・腕力があるのが一般的であり、現代の医療現場ではこの体力の必要性がより高まってきているのです。
看護の現場では患者さんの体を支える機会が頻繁にありますが、超高齢化社会の進行によって、より介助・介護の機会が増加しており、「体力が必要な仕事」が増えています。
こうして男性看護師の体力・腕力が重宝される機会が多くなり、積極的に男性看護師を配置したいという医療現場が増えてきています。
男性看護師の魅力とは
ライフサイクルの影響がほとんどない
看護師に限らず、女性には出産、子育て、介護など、ライフサイクルにおいて働き方の見直しが必要になるきっかけがいくつか存在します。
その都度休暇を取ったり、常勤から非常勤へと勤務形態を変える必要があり、病院側ではその分スタッフを補充しなければならず、手間や費用がかかります。
一方男性では、そのような出来事があったからといって働き方を変える必要性がほとんどなく、病院側にとっては安定した雇用が望める人材なのです。
体力仕事を任せられる
男性看護師が比較的多く見られる診療科といえば、精神科、ICU、CICU、オペ室などがよく聞かれますよね。こうした職場で男性看護師が重宝されるのには、精神力、そして体力の必要性が挙げられます。
なかでも精神科は、特に体力が重視される診療科です。患者さんが暴れてしまうシーンが少なくなく、そんなときには患者さんを怪我させることなく制止する必要があります。比較的小柄で力のない女性看護師では、うまく制止できずに逆に怪我をさせられてしまう危険性があります。
男性看護師が精神科に勤める際には、柔道技の習得を推奨するところもあるといい、まさに男性の体力が活かされる職場と言えるでしょう。精神科だけでなく一般病棟においても、患者さんの移動や介助といった看護で、男性の腕力が頼りになります。
そのほかICU看護師や手術室(オペ室)看護師などは、緊張した状態で長時間勤務することでの体力や精神力、瞬時の的確な判断力、行動力が評価されます。
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男性患者さんが安心できるケースがある
男性看護師は産婦人科には勤務できませんし、そのほかの診療科でも女性の患者さんで「男性の看護師は嫌だ」という方はいます。その逆に、「男性の看護師がいると助かる」という男性患者さんからの声が聞かれるケースがあるのです。
例えば泌尿器科の男性患者であれば、検査の前処置や介助時などに、女性よりも男性の看護師に看護してほしい、という声は多いと考えられます。
男性看護師におすすめなのはこんな職場
男性看護師の勤務先は、精神科やICUに限られたものではありません。先述のような男性看護師の魅力もあり、産婦人科を除いてどの診療科でも需要はありますし、採用の可能性があります。
さらに脳外科や人工臓器科、臓器移植科などでも活躍する男性看護師が増えている一方、これまで女性看護師が多いとされていた小児科看護師や美容整形外科に転職する看護師も増える傾向にあるようです。
とはいえ職場には圧倒的に女性が多く、男性が働けると言っても、それぞれに「一定数の男性看護師が配置されている」という状態がほとんどです。
求人対象を女性に限定していなくても、実際には男性看護師用の更衣室やトイレがないといった「受け入れ態勢」の問題で、男性は雇用していない、という病院も存在します。
男性看護師の求人選びにおいて、診療項目で選ぶ以外に「働きやすさ」で選ぶという方法もあります。ある大学病院では、診療科の壁を越えて男性看護師が集まり勉強会を開いたり、男性看護師同士のサークルを設け様々な情報交換に生かしているといいます。
女性が多い職場で男性は自分一人、という状況ではどうしても萎縮してしまいがちですが、このような横のつながりがあれば心強く、より働きやすい環境と言えるでしょう。また、女性の多い環境にあっても、自分から積極的に声をかけるといった姿勢を心がけることも大切です。
自分は男だからと遠慮して会話を避けたり、無理をして会話に加わろうとしてストレスを抱えてしまうのではなく、一言でも「何か役に立てる時には呼んでください」と言葉で伝えてみましょう。
そこからコミュニケーションが生まれ、より過ごしやすい職場の雰囲気を作っていくことができるかもしれません。「自分が希望する看護業務ができるか」「給料はどうか」といった基本的な視点も、求人選びには欠かせません。
男性看護師の受け入れ実績があるのか、男性は何人勤務しているのか、男性看護師同士のつながりがあるかなど詳細な情報を手に入れるには、看護師専門の転職サイトが役に立ちます。
- 男性看護師数は約7%で今後も増加傾向にある
- 就職難や体力が必要な看護の増加が、男性看護師数を増やしている背景
- 安定した雇用が望める点、体力を期待できる点などが男性看護師の魅力
- 求人応募先は開かれているとはいえ、受け入れ態勢にない病院も存在する
- 男性看護師同士の横のつながりがあると働きやすい
- 女性の多い職場でも自分で居場所を作っていく努力は必要
- 転職サイトで男性雇用の状況を確認しておこう
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