手術看護認定看護師の仕事と役割は?



医療機器の進歩、手術手技の高度化に伴って、手術室に勤務する看護師に対するニーズは多様化しています。そんな手術室看護師のスペシャリストが、手術看護認定看護師です。

手術看護認定看護師の仕事や役割、認定看護師を目指すための道のりなど、知っておくべき情報について確認していきましょう。


手術看護認定看護師の仕事と役割


手術看護認定看護師とは

手術看護認定看護師は、日本看護協会によって2005年から認定が開始された分野のひとつです。

術前~術中~術後の周術期にわたりトータルに継続した看護を行い、患者さんを主体とした手術環境を整え、医師や助手、麻酔科医、看護師らとのコミュニケーションを円滑にして手術をサポートします。また、他看護職者への指導も任されています。

手術看護認定看護師の仕事

術前に患者さんのもとを訪れ対話することで、手術や麻酔に対する不安を取り除き、ストレスなく手術を受けられるようサポートします。安心できるような分かりやすい説明をすることも、手術看護認定看護師に求められる情報提供スキルのひとつです。

手術準備~術中では、手術に伴う出血や痛みなどの侵襲を最小限にする看護を心がけ、合併症を予防し、体温・体位管理、器材の管理などを行います。医療事故をできるだけ削減するようにつとめ、患者さんが安心して回復できる環境を整えます。


術後に訪問を行い、経過の観察と同時に、実践した看護が適正であったかどうかの評価をします。

また、忙しい出術室では患者さんの個別の環境に合わせた明確な看護計画がおざなりになりがちですが、これを重視して質の高いケアや手術看護を実践するのも、手術看護認定看護師の仕事です。

手術看護認定看護師の役割



手術中の患者さんは完全に受け身の状態で、生命を医療従事者にゆだねています。しかも患者さんには医療の専門知識があるわけではないので、症状や手術内容について十分に理解するのは大変です。

そんな患者さんができるだけ主体的に手術を受けられるようにサポートするのは、手術看護認定看護師の大切な役割です。患者さんが主体的に意思決定し行動することは、術後の回復過程に大きく影響することが分かっています。


外科医は医療技術で病変に対処し、麻酔科医は身体管理で生命力の消耗を最小にします。看護師は患者さんの擁護者として、常に患者さんの利益を考慮し、倫理的期配慮をして患者さんの満足度を高められるように努めます。

手術に関わる各スタッフが専門的な能力を十分に発揮できるよう配慮します。また継続した看護のため、手術看護認定看護師が中心となって、外来スタッフ・病棟スタッフとの架け橋となり、コミュニケーションをとっていきます。

周術期にある患者さんの看護に関する高い専門知識、スキルを活用し、他の看護職者を指導し相談を受けるのも、手術看護認定看護師の大切な役割です。


手術看護認定看護師を目指すには


手術看護認定看護師になるまで

認定看護師の試験を受けるためには、日本看護協会で定める教育機関を修了しなければなりません。そこでまずは、手術看護認定看護師養成講座を設けている教育機関に入学する必要があります。

東京都、福井県、兵庫県の各大学で講座が開設されていて、それぞれの定員は20~30名
です。看護師・保健師・助産師いずれかの免許を持っていること、実務経験5年以上、手術看護分野での勤務が通算3年以上という条件を満たすことが、大学の受験資格です。


それぞれの教育機関で受けるカリキュラムとして、看護管理などの共通科目が150時間、手術室医療安全管理といった専門基礎科目を150時間、手術看護概論などの専門科目を120時間、学内演習と臨地実習が240時間設けられています。

体温管理技術や、体位固定に伴う皮膚・神経障害や褥瘡の予防、患者さんの搬送・移動時の安全管理、鎮静・鎮痛モニタリングケア、放射線曝露からの保護、器械出しのモニタリング機能、日帰り手術患者の看護など、術中の具体的なスキルについて学びます。


専門科目では、手術看護の歴史や特徴、役割について、必要になる法的知識、手術看護記録のあり方、インフォームドコンセントや手術部位別のモニタリングなどを学びます。

チームマネジメントでは、他職種の専門性理解と調整、継続看護に関する他部門との連携、看護職のストレスマネジメントについて理解を深めていきます。


手術看護分野で最も重視すべき学内演習、臨地実習では、手術を受ける患者さんの術前・術後訪問、術中看護を計画、実践、評価し、ケースレポートを作成のうえプレゼンテーションを行い、他の学生たちとともに効率よく学べるよう工夫されています。

全課程を修了し、筆記試験を受けて合格、登録することで認定看護師として働けます。現在では400名弱が登録していて、公立病院で働く看護師が最も多く、そのほか日赤病院や医療法人、大学病院、国立病院などに勤務、活躍しています。

実務経験を積み、就学できる環境を整える

手術看護認定看護師の合格率は90%以上と、既に十分な実務経験を積み教育課程を修了した看護師にとっては、決して難易度の高い試験ではありません。

難しいのはむしろ、就学の環境を整えることではないでしょうか。全国3か所の指定の教育機関に半年以上就学することとなるため、引越必要な方は多いでしょうし、病院に在籍したまま半年間休むことになります。


学習費用、生活費用の出費は決して少なくなく、できれば病院側からの費用サポートを利用したいものです。

手術看護分野の実務経験を充分に積むことができ、さらに認定看護師への支援環境が準備されている病院に、まずは勤める必要があります。その環境がない場合には、転職サイトを利用して、自分に合った転職先を探してみることから始めましょう。

<手術看護認定看護師の仕事と役割は?・まとめ>

  • 周術期の継続看護を目指し、他職者、部署との連携をはかる
  • 患者が主体的に手術を受けられるよう倫理的サポートする
  • 他看護職者を指導し、相談に応じる
  • 指定の大学で半年以上、660時間の教育を受ける必要
  • まずは実務経験を積め、支援環境がある病院に勤めること


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