急性期病院への転職の注意点は?



急性心不全や腎不全、心筋梗塞や肝炎などの急性疾患、また慢性疾患が急変した患者さんに対し、緊急手術や専門的医療を提供する急性期病院は、スキルアップを望む看護師に人気の転職先です。

急性期病院とはどのような医療機関を指すのか、そこでの看護師の仕事、そしてよく言われる業務のハードさは実際どうなのか、さらに急性期病院への転職時に注意したいポイントをまとめます。


急性期病院とは?


急性期・療養型という区分の誕生

日本ではほとんどの国民が何らかの健康保険制度に加入していて、比較的安価で医療サービスを受けることができます。その影響で長く入院する患者数が多くなり、同じ病棟内で急性期患者と慢性期患者が混在することによる効率の悪化が問題となっていました。

これに加え、施設規模による医療の分担が機能していなかったり、大病院への患者の集中による慢性的混雑といった医療機関の問題を解決すべく、平成12年の医療法改正によって病床区分の見直しが行われたのです。


このときに、精神病棟、感染症病棟、結核病棟を除く病床について、各病院は急性期(一般)病棟にするのか、慢性期(療養)病棟にするのか、選択を迫られることになりました。

急性期病院では、発症後14日以内を目安に、病気の発症から回復期・亜急性期に移行するまでの治療を24時間体制で行います。具体的な施設としては、総合医療センターや急性期医療センター、総合病院、大学病院などが該当します。


急性期病院での入院期間は最長で3ヶ月とされており、それ以上の入院では保険点数が低くなり病院側としては利益が出にくくなります。このような背景から患者さんが転院を促されてしまう点を問題視する見方もありますが、一方では、急性期の病床を開けておくことが、新たな救急患者の受け入れには欠かせません。

病状は安定したものの、まだ自宅で生活できる状態ではない患者さんに継続治療を行う慢性期病院では、急性期からの転院を受け入れます。

急性期病院では患者さんの年齢層が若い方から高齢者まで幅広く、入院期間が短いのが特徴であり、慢性期病院では高齢者の方、そして長期入院の方が多いのが特徴です。

急性期病院での看護師の仕事

採血や点滴、バイタルチェック、排泄や食事の介助など、基本的な仕事は慢性期と同じでも、重症の患者さんが多いためにバイタルチェックの間隔が短かったり、人工呼吸器の管理やモニター観察では細心の注意が必要とされます。

医療処置の数が多いのが特徴的で、医師から突然の指示があった場合にも優先して処置を行い、ルーチンワークがずれ込んでいくこともあります。加えて緊急入院や急変の対応といった業務が日常的にあり、毎日が忙しく、残業は多くなるでしょう。

患者さんの容態は予断を許さない状況であるため、看護師には高い精神力、体力はもちろんのこと、高度な知識・技術、緊急時の判断・対応力が求められます。不安になる患者さんやその家族をケアするのも、急性期看護師の大切な仕事です。


急性期病院は忙しくて大変?


急性期が忙しいことは事実

生命の危機に瀕している患者さん達を対象としていて緊張が続くこと、緊急の受け入れが多く患者さんは次々と短期間で退院していくことから、急性期病院はめまぐるしい環境で、看護師の仕事が大変であることは確かです。


実際に急性期病院で働いていた看護師が転職するときの動機として、

・残業が多過ぎて体力も精神ももたない
・急変が多く、慌ただしさについていけない
・ハードワークで体調を崩した

といった声が聞かれます。


そのほか、ようやく患者さんの症状が回復してくる頃にはもう退院してしまうという環境で、「もっと一人一人の患者さんを見て看護したい」という悩みが出てきて、転職を選ぶ看護師もいます。

夜勤や残業が多くならざるを得ず、出産準備や育児のための時間をとりたいから、という理由で急性期病院を辞めるケースもあります。医療現場の問題として慢性的な看護師不足が続き、看護師ひとりひとりの負担が大きいことも、急性期のハードさに影響しています。

忙しいだけではない、急性期看護の魅力とは

一方で、急性期でのハードワークに疲れて転職をしたものの、「またあの緊張感の中で仕事をしてみたい」と復帰を希望する看護師もみられます。

そのような気持ちになる理由には、急性期の看護師で感じられる「大きなやりがい」が挙げられるでしょう。忙しいとき、ピンチのときにも看護師同士で助け合い、乗り越える喜びを感じられ、患者さんの回復によって常に必要とされていることを実感していられる仕事です。


短期間で多くの症例経験を積むことができ、看護師としての成長が期待できます。肉体的・精神的にハードでも、急性期でスキルアップしたいと転職を希望する看護師が多いのは確かです。

最先端の知識や技術を修得することで看護師としての誇りを感じられ、その後の転職でも急性期での経験が評価されます。


急性期病院への転職、注意点は?


先入観だけでなく実態の把握を

急性期病院への転職では「忙しい」という言葉にとらわれるのではなく、実際にどのぐらい忙しいのか、その忙しさに対し病院ではどのような方針をとっているのか、求人先の実態を把握しておくことが大切です。

救急車の搬入数、外来患者数、オペ件数、患者さんの平均在院日数、看護師配置数といった具体的な数字を知ることで、少しずつ忙しさのイメージが具体的になってきます。


体力が必要な急性期病院では若手の看護師が多い傾向があります。そのため、30歳で看護師になり、出産を経ての復職で「急性期で働いてみたい」と思っているが、経験も浅くすでに35歳なので年齢的に大丈夫だろうかと不安、といった相談が見られます。

そんなときにも、職場の平均年齢、中途採用実績や新人教育、復職支援体制について具体的に確認してみると安心です。育児をしながら働く場合には院内保育の充実度を、認定看護師、専門看護師などの資格を目指したい場合にはその支援環境を確認しておく必要があります。

将来設計をできるだけ明確にしておく

刺激の多い環境で看護師としてスキルアップしていきたい、たくさんの症例経験を積みたいと考える方にとって、急性期病院はピッタリな求人先です。急性期を経験することは、その後どのような職場へ移るとしても、キャリアとして確実に役立ちます。

ただし、せっかく急性期に転職できても「ここまでハードとは思わなかった」と退職を選ぶ看護師もいますし、急性期以外への転職後、再び「あの活気が懐かしい」と急性期に復帰する方もいます。


看護師の転職は珍しいことではありませんが、前向きな理由がなく転職を繰り返すのは、自身のキャリアにとっても、採用側の心証としても良くありません。

例え仕事がハードでも、自分の希望するキャリアのために急性期でのスキルアップを目指すのか、急性期で経験を積んだ後に認定看護師など資格を目指すのか、再び別のフィールドに挑戦するのかなど、できるだけ将来設計を明確にしておくと、ハードな労働環境でも頑張ることができるでしょう。

<急性期病院への転職の注意点は?・まとめ>

  • 医療の効率化のため病床は急性期と慢性期に分けられた
  • 患者の年齢層が幅広く、入院期間が短いのが急性期の特徴
  • ルーチンの看護に加え急変、緊急対応などが日常的にある
  • 心身ともにハードだが、その分やりがいも大きい
  • 短期間で多くの症例を経験しスキルアップできる
  • 忙しさを数字で把握し、支援環境をチェックしておくと安心


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