透析看護師への転職の注意点は?



総合病院内の人工透析科や透析専門のクリニックで働く看護師は、人工透析に特化した看護を行います。夜勤がなく家庭との両立がしやすいこと、緊急の受け入れがなく休みもしっかり取れることから人気の高い診療科のひとつです。

そんな透析科の看護師を目指す前に知っておきたい、仕事内容や給与状況、メリット・デメリット、必要なスキルなどの情報をまとめます。


透析看護師の仕事内容、給料は?


人工透析とは

腎臓は、血液のろ過という重要な役割を担っていますが、腎不全などで腎臓の働きが10%以下となると充分なろ過が行われず、体内の老廃物を取り除くことができなくなって、やがては死につながります。

そこで機械を用いて人工的に血液をきれいにするのが人工透析です。外来であり、ほとんどの患者さんが週に3日、1回につき4時間程度の透析治療に通います。

急性腎不全では、症状が良くなれば透析治療を終えられますが、慢性腎不全の患者さんの場合、一生涯透析治療を続けることになります。

透析科での看護師の仕事

看護師は、透析治療の準備から、治療での患者さんの介助、観察、トラブル対応、片付けや指導を行います。透析機械のメンテナンスを担当する臨床工学技士や看護助手との仕事の仕分けは病院によるため、確認が必要です。

透析科での看護の流れを見てみましょう。


・患者さんを迎える準備
前日の業務での申し送り、当日の業務の確認を行います。機械をセットするプライミングを行い、使用薬剤を準備します。

・健康チェック
患者さんの体重や体温、血圧、内シャントの確認を行います。体重の増減によって水を抜く量を調整します。測定結果や医師から指示されている治療内容に基づいて、透析機械を設定します。

・透析、観察、トラブル対応
穿刺をし、透析回路内に血液を充填して透析を開始します。30分~1時間に一度は血圧測定を行い、結果により、昇圧剤や降圧剤の注入、透析液温度を下げたり下肢挙上で対応します。

血圧の低下が進行しての失神や、痴呆の患者さんが針を抜いてしまったり、稀に心停止を起こすこともあり、落ち着いて対応する必要があります。透析中の排泄の世話も行います。

看護師の一人は常に患者さんの様子を観察し、そのほかの看護師は終了時に使用する薬剤の準備や、糖尿病患者の方に足湯をしたり、患者さんの話し相手となります。最後に血液を患者さんの体内に戻し、透析完了です。

・片付けほかの業務
患者さんの退出後は、装置やベッドの清拭、掃除を行います。血液がつくため、感染対策に気を配ります。

シーツ交換や床掃除を行い、翌日の患者さんに使用する薬品を配置して、申し送りを行えば1日の業務は完了です。

そのほか、担当する患者さんの看護計画を立てたり、採血などの検査結果によって食事指導、生活指導をしたり、研究成果を院内・学会で発表する機会が設けられているところもあります。

透析看護師の給料事情

透析科では、夜勤がないわりに給与待遇が比較的良いという傾向が見られます。病棟看護師よりは低めになりますが、平均年収は400万円程度です。

血液接触のリスクから危険手当がある求人が多いですし、透析認定看護師の資格を取得して、昇給を期待できるところもあります。このような条件は医療機関によって異なるので、転職時にしっかり確認しておきたいですね。


透析看護師のメリット


メリット1.ルーティン業務

患者さんごとにケースバイケースの診断、処置が行われる他診療科と違い、透析の流れは決まっています。透析内容は患者さんの症状レベルで異なりますが、行う業務は変わりません。

機械操作の方法や患者さんの状態による調整など、初めは覚えることが多く、操作ミスが致命的トラブルにつながる怖さもありますが、慣れてしまえば毎日の業務はシンプルで、こなしやすいと言えます。

メリット2.勤務形態

透析科は夜勤、残業がありません。朝は早く、会社帰りに透析できるように遅くまで受付を行うところも多く、ほとんどの場合交代制となっています。

例としては、早出)7:00~15:00、日勤)9:00~17:00、遅出)12:00~20:00、準夜勤)12:00~23:00といった勤務時間です。それ以上の夜勤はなく、病棟のように「忙しすぎて仕事が終わらない」という状況はありません。

ほとんどの透析科は日曜がお休みです。定時で働き日曜に休めるというのは、家庭と仕事との両立を第一に考える方にとって、大きなメリットとなります。

ただし、透析はお盆やお正月も休むことができません。シフトを組んで、交代で出勤する点に注意しておきましょう。また日曜に営業する透析施設もあります。


透析看護師のデメリット

デメリット1.機械操作と穿刺の難しさ

看護師は、透析機械のコンソールの使用法やダイアライザ―の仕組みを理解しなければならず、設定内容も複雑です。

またシャントに針を刺すのは、一般的な採血や献血業務のように簡単ではありません。長年透析を繰り返し返してボロボロになっているシャントもあり、スキルを要します。機械が苦手、針の扱いが苦手な方にとっては、透析科への勤務が辛く感じられるかもしれません。

デメリット2.一般的な看護スキルの低下

透析以外の看護を行わないため、他の看護スキル低下の不安があり、医療の進歩に取り残されることがあります。長く透析科にいた後に病棟へ転職した場合に、看護方法やカルテ処理、薬剤などが一変していて、苦労したという体験が聞かれます。

病棟である程度のスキルを身につけた後に透析科を選択するなど、看護師としてのキャリアについて考慮したうえで転職を検討するようにしましょう。

デメリット3.患者さんとの関係

透析は週に3日通うため、2日に一度同じ患者さんと顔を合わせることになります。したがってしっかりとコミュニケーションを取り、看護師と患者としての良好な関係を築く必要があります。コミュニケーションが苦手、という方にとっては、難しいかもしれません。


透析看護師になるには


求められるスキル

もちろん、医療機器や針の扱いのスキルが高いに越したことはありませんが、これらは透析科へ勤務してから身につけ磨いていくことが可能です。それ以上に透析看護師に求められるのは、先述の「患者さんとのコミュニケーション能力」であると言えます。

長年透析に通っている年配の方にとっては、若い看護師は自身の子供や孫のようなものです。針が上手く刺せないことをからかわれたり、患者さんとしてはふざけているだけのつもりが、看護師としてはイライラするシーンもあるでしょう。

クレームも少なくはありません。そんな時でも感情を処理し、患者さんの気持ちに寄り添った看護が求められます。透析を何年も続け習慣となっていても、その治療の辛さは慣れるものではないのです。

透析科へ転職するには

最近では、病院内の透析室や透析専門クリニックのほか、高齢者向けの看護施設で透析看護師を募集するケースもあります。

透析科の求人を探すときには、希望の勤務時間・勤務日が可能か、業務はどこまでを看護師が行うのか、離職率の状況などを知っておきたいものです。看護師専門の転職サイトは、無料登録で利用でき、求人先の情報まで確認することが可能なインターネットサービスです。

<透析看護師の仕事と求人先について・まとめ>

  • 1回につき4時間の透析を週に3回行い、慢性の場合生涯継続治療する
  • 透析の準備、透析治療、治療中の観察、トラブル対応、片付けなどを行う
  • 透析中も急変の可能性があり目が離せない
  • 夜勤がないわりに給与条件は比較的良く、平均400万円程度
  • ルーティン業務で、夜勤、残業がなく休みが決まっているのがメリット
  • 看護スキルの特殊性、患者さんとの密なコミュニケーションがデメリット
  • 患者さんに寄り添った看護が大切

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