救急救命外来(ER)看護師へ転職する上での注意点は?



救急救命外来(ER)という仕事があります。文字通り、重症の患者さんを受け入れて、対応を行う病院で、そのままでは命にかかわる症状の患者さんに対して、緊急の医療行為を行い、その命を助けます。

その業務の重要性から、待遇についても見合ったものが期待できますが、人の生死に直面する現場だけあって、安易な気持ちで取り組むことはできません。

ここでは、ER看護師という働き方について、その業務内容や待遇、心構えなど多方面にわたって紹介したいと思います


救急外来(ER)看護師の仕事内容は・役割は?

救急外来(ER看護師:以下ER看護師と書きます)の仕事内容等について、まず説明いたします。

救急外来(ER)とは?



救急外来(ER)とは、緊急の対応を必要とする患者さんの中でも、特に「三次救急」と呼ばれる、重篤でかつ命の危険が切迫している人が運ばれてくる場所になります。

救急外来では、とにかくあらゆる手を尽くして、その患者さんの命を助けます。心筋梗塞な脳卒中といった突発的な疾患に加えて、交通事故などによる出血多量、複数の臓器不全に陥ったケースなど、1つの診療項目ではその対応が難しいケースも多く、あらゆる領域での高度医療を施して、命の危険を脱するように懸命に処置を行います。

患者さんが命に危機を脱した後は、併設する一般病棟で、回復まで治療をすることが多いようです。ただ、あくまで、その患者さんの命を助けるというところまでがERの主な仕事となります。

ER看護師の仕事内容



ERで働く看護師の仕事内容は、こうした職場であるため、通常の病院勤務と比べて、特殊で、かつハードなものになっています。ER看護師の仕事は大きく分けて3つ存在しています。


1.初療室での仕事
救急車などで運ばれてくる、危険な状態の患者さんへの医療行為を行う場所です。緊迫した雰囲気の中、医師の指示に従って適切な処置を施していきます。

この段階では何よりスピードが命です。「どんな薬を使うのか」「外科的処置は必要なのか」、医師のもとで行動するのが看護師の基本ですが、あらかじめその指示を予想して、すぐにでも行動できるように準備しておくことが大切になります(独断をするということではないので注意してください)。

医師だけではなく、薬剤師、放射線技師、救急救命士等、他の職種の人とも連携をして、重篤な状態にある患者さんをサポートする体制も作り上げていきます。そうした色々な人たちが連携できる環境を作ってあげるのも、ER看護師の仕事になります。


2.救命病棟での仕事
1次対応で命の危機を脱したとしても、患者さんの症状が重いことには変わりありません。そうした患者さんは「救命病棟」に入院をすることになります。

通常の病棟勤務と比較して、看護師の負担が大きく、人工呼吸器をはじめとした、色々な機械が患者さんについている場合もあります。当然、その機械に何かあれば、患者さんの命に直結してしまいますので、正しく動いているのか、常に確認しなくてはいけません。

また、患者さんの容態が急変することもあります。漫然と業務をしていることは許されず、常に緊張感をもって病棟勤務にあたることが大切です。受け持ち患者さんは通常の半分以下の場合が多く、それだけ責任が伴います。


3.家族への説明
ERに入院した患者さんのご家族は、混乱し、また不安に思っています。そうした患者さんの家族に対して、現在の病状や、今後の治療方針、回復への見通しなどを説明するのもER看護師の仕事になります。

既往症やアレルギーの有無など、治療に際して聞くこともありますし、場合によっては予断を許さないという厳しい現実を知らせることもあるかもしれません。なかなか、厳しい場面も想定されます。

ER看護師の給料、勤務体制

このように、ハードな職場になりますが、報酬面で通常の看護師と比べて、特段優遇されているというわけではなく、どちらかと言うと、やりがいや達成感が強く、それを実感したい人に向いています。

勤務体制ですが、ERでは常に100%の対応をしなくてはいけませんので、夜間だからと言って看護師の数が少ないということはありません。日勤も夜勤もほぼ同数の看護師がいると思ってください。

また、業務負荷ですが、残業などは病院の規模によっては少ない傾向にあります。緊迫した場面で業務を行うために、長時間勤務がかえってマイナスになる場合がある、との判断持つ病院もあります。

疲れてくると、意識や注意力が散漫になってしまいます。このことは、ERという職場では致命的です。その看護師が悪いというものではなく、人間である以上限界があります。誰にでも起こりうるものとして、労働環境について配慮される傾向にあります。

もちろん、勤務時間中は常に集中しなくてはいけない、緊迫した場面が続きます。

報酬について説明します。ER看護師の報酬として以下のものが挙げられます。


1.「救急手当」「危険手当」
大変な職場ですので、肉体的精神的ストレスに対応した手当が支払われます。病院によってその金額は異なるようです。

2.「夜勤手当」
昼夜問わない環境で、必然的に夜勤が多くなる傾向にありますので、夜勤手当も多くなるのです。病院によってこれも異なりますが、1回につき1万円~1万5千円というところが多いようです。プラス通常の給料ですので、夜勤1回あたり3万円程度になります。

ER看護師の報酬はこの2点が特徴的ですが、優遇されるというよりも、勤務体系上支給されるものとご理解ください。つまり、救急救命看護師だからといって、大幅な給料アップは望めません。


救急外来看護師として働くメリット



まず、ER看護師として働くメリットを見ていきましょう。

仕事のやりがいがある

危険な状態の患者さんの命を救うことができれば、それは医療に携わっている人間として何よりの喜びです。大変だった仕事も、これによって報われ、何事にも代えがたい喜びになります。

実はER看護師は、看護師の中でも人気の職場です。言い換えると「花形部署」であり、テレビドラマのシーンでもよく登場する、普通の人でも「すごい!」と感じてくれる最先端医療の現場です。

看護師のキャリアとしても、ここを経験しておきたいという人が多いようです。大変だからこそ充実感や達成感を感じることができます。

技術やスキルが身につく

色々な患者さんに対応した医療行為、看護行為を行うことになりますので、必然的に看護師としてのスキルは向上します。

どのような重篤な患者さんに対しても、必要な看護行為が分かり、それができるということは、看護師としての大きなレベルアップにつながります。

医療知識の習得

ERでは最新の医療設備が整っています。患者さんの命を助けるために必要なものですから、この医療設備の内容や使い方を覚えることが可能です。

また、患者さんへの医療行為についても、最新の薬を投与する、新しい外科的処置を施すなど、医療技術の最先端に触れることができます。こうした、医療の最前線に立つことで得られる知識もまた、ER看護師の魅力であります。


救急外来看護師として働くデメリット



逆に、ハードな職場であるからこそのデメリットも存在しています。

仕事の雰囲気がきつい

命がかかわっている場面ですので、職場は常に空気が張り詰めています。こうした雰囲気が苦手な人もいますし、必然的に自分もこの中で働くために、高い緊張と集中を強いられます。


また、医師などから怒号が飛ぶこともあるかもしれません。これは、ご自身の動きが良くないというよりも、医師も患者さんの救命のために全力だからそうなってしまうのです。

こうしたことがショックや、ストレスになってしまう可能性もあります。また、実際に病院内で最も忙しい部署と言えます。

悲しい場面に遭遇する

患者さん命を助けることができれば、存外の喜びですが、治療の甲斐なく、亡くなってしまう人も多いです。

助かる命に直面する機会も多いですが、逆に消えていく命に遭遇することもあり、こうしたことが、強い精神的なストレスになることがあります。

患者とのコミュニケーションが取れない

患者さんは重篤な状態ですので、うまくコミュニケーションが取れない状態です。看護師としてのやり取りは期待できません。あくまで、命を助けるために全力投球です。

このように、メリット、デメリット勘案したうえで、ER看護師として働けるかどうか判断していただくことになります。


救急外来への転職の注意点は?



ER看護師は、おそらく誰でもなれるというものではありません。転職を希望する際には、以下の注意点を踏まえて、判断してください。

(性格的に)向いている人といない人がいる

ERはその業務の特徴から、向いている人、そうでない人両方存在しています。向いていない人が無理に勤務をしようとすると、心身ともに負担になってしまい、体調を崩してしまう可能性があります。

向いている人は、以下のような性格だと有利です。


1.臨機応変な判断力がある人
患者さんの症状は多様で、複数の器官がダメージを受けている場合もあります。基本的には、医師の指示の下で看護行為を行いますが、色々な症例を知っていて、臨機応変な判断ができると、患者さんが助かる可能性が上がります。


2.落ち着いていて、冷静な判断ができる人
ERでは患者さんの生死がかかっているため、強い緊張感とともに、せわしなく働くことになってしまいます。このような中で、焦って行動してしまうと逆効果です。「戦場」の中にあっても、冷静で落ち着いた行動ができる、医師等の指示に従える判断力が必要です。


逆にERに向いていない人は、このような人になります。

1.判断力の弱い人・遅い人
指示待ちで、何か言われないと動けないと、ERでのスピードについていけないでしょう。自分の行動が鈍いことで、患者さんの生命はもとより、他のスタッフとの連携にも影響が出てしまいます。

2.精神的ストレスに弱い人
ERでは助かる命もありますが、残念ながら消えていく命もあります。人の生死に常に接するのがつらい、という人は避けたほうが良いと思います。

ある程度の臨床経験は必要

ERは、色々な専門科の「応用問題」になります。判断力が優れていることは不可欠ですが、実際の臨床現場の経験が不足していると、基本的な看護スキルが弱く、対応できない可能性があります。

募集の段階で条件を付けているところも多いのですが、それがなくても実際にある程度臨床経験がないと、採用は難しいと言えます。手取り足取り、経験の浅い看護師に教える余裕は全くない職場だと思ってください。

やりがいはあるけど仕事はハードなのを覚悟する

人の命を救えるというやりがいは非常に大きな仕事ですが、勤務時間中の緊張感やプレッシャーは、他の看護師の職場以上のものがあります。安易に休憩をとることもできないでしょう。

とにかく、心身ともにハードであるということを理解してください。

転職するなら規模の大きい病院に

やはり規模が大きい病院のほうが、待遇として優れている場合が多いです。中規模、小規模の病院だと、1人にかかるプレッシャーや付加も大きくなります。場合によっては残業なども増える傾向になります。

ER看護師は、勤務時間内での全力投球が必要な職種ですので、人間ですのであまり長時間それを続けることは大変で、心身ともに摩耗してしまいます。募集要項にもよりますが、規模の大きな病院のほうが安定していると言えます。


転職先の一次から三次の区分をチェック

救急外来と言っても、実は「一次」~「三次」までの区別があり、一次→三次になるにつれて、より高度で専門的な医療行為を行います。一次窓口は、どちらかと言うと救命というよりも「緊急医」(休日、夜間外来)の面が強くなっています。

この記事で紹介しているのは、三次救急の職場がメインですが、応募の際はよく確認してください。どちらが良い、悪いということではなく、労働条件や報酬などが異なってきますので、ご自身がどのような業務を行いたいのかを意識してください。


ER看護師として転職するには病院選びが大切!

このように、ER看護師は重篤な患者さんの命を救うために不可欠な存在である一方で、その業務付加やプレッシャーも大きく、転職する際は相応の覚悟が求められそうです。

いくらやりがいを持って仕事をしたくても、病院の規模や環境によっては、過重労働や強いストレスにさらされることになります。色々なER看護師の病院を比較しながら、より自分が働きやすい環境を見つけたいものですね。

上で書いたような注意点を意識していただき、より良い環境でER看護師として働くためのチェックポイントにしてください。忙しくて、転職先の病院を探しきれないという方は、看護師専門の転職支援サイトを活用するとよいでしょう。

<救急救命看護師への転職のまとめ>

  • ER看護師は、重篤な患者さんの救命を任務とする「三次救急」の処置を行う外来
  • やりがいはあるが、業務のストレスは高くハードな仕事
  • ある程度の臨床経験がないと、対応できない場面も多い
  • 「危険手当」「夜勤手当」などあるが、それほど収入増にならない
  • 残業は少ない傾向にあるが、職場による。大病院のほうが安心

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