仰向けでなければ眠れない、横向きの方が寝つきが良いなど、人によって寝る時の体位というのは違いますよね。
これにはくせの問題もあるので、必ずしもどちら向きが良いとは言えないのですが、看護の分野では「シムス位」とも呼ばれる半腹臥位(はんふくがい)が推奨されるケースもあります。
半腹臥位(シムス位)とは何か、どのようなメリットがあるのか、注意点はあるのかなどについてご紹介しましょう。
半腹臥位(シムス位)って何?
そもそも半腹臥位(シムス位)とは何かというと、これは仰向けと横向きの中間くらいの体位のことをいいます。
シムス位という名前の由来は米国人の医師であるシムス博士という方が考案した姿勢だからです。
主に寝たきりにならないための対策の一つとして取り入れられており、他にも仰向けでは寝にくい妊婦さんに推奨されます。
臥位・半腹臥位のメリットは?
腹臥位(ふくがい)というのはうつ伏せの状態のことです。関節拘縮や円背の改善効果や嚥下障害の改善が期待できる体位でもあります。
特に高齢者は膝や股関節の拘縮に悩むことも多く、これを改善する目的で考案された体位はあるのですが、窒息死の危険性があるということで危険性も叫ばれているのです。
そこで注目を集めているのが半腹臥位だといえるでしょう。
半腹臥位は斜めを向いて横になる方法であることから誤嚥や舌根沈下を防止する働きがあります。そのため、意識レベルが低下している患者さんに用いられることも多く、姿勢が原因となるこれらのトラブルを防ぐのに役立ってくれるのです。
また、お腹が大きくなった妊婦さんが休みやすい姿勢でもあります。
半腹臥位の寝方や注意点は?
基本的な形は、まずは平らな場所にうつ伏せの状態で寝ます。続いて下になっている方の足を体の後ろ側に軽く伸ばし、前側になっている足は体の前に出して曲げましょう。
下側の上では背中の後ろ側、または頭の下に曲げた状態で置いておきます。上になっている腕では軽く肘を曲げ、体の前側に置くのが基本姿勢です。
注意点として、満腹時にこの体位を行うと苦しさを感じてしまうこともあるため、食後すぐなどは避けましょう。また、初めから長時間行うのではなく、慣れるまでは5~10分程度から始めるというのもポイントです。
後は徐々に時間を延ばしていきましょう。
患者さんによってはどうしても半腹臥位(シムス位)に違和感を感じることがありますが、そういった場合は違和感のある部位に枕やクッションを敷くことにより状態が改善するケースもあります。
特に両膝の間にクッションを挟むと体位が安定するので試してみてくださいね。
また、お腹が大きくなった妊婦さんなのが半腹臥位(シムス位)を行う際には窒息や骨折といった危険性があることも理解しておかなければなりません。間違った体位をとってしまうとリスクが高まるため、看護師がしっかり見守ってあげましょう。
一度半腹臥位(シムス位)を身につけた後も、定期的に正しい体位が取れているか確認することも大切です。
また、患者さんに麻痺がある場合は麻痺側を上にするのが基本となります。
その他、看護師が知っておきたい体位について
体位には他にも様々なものがあります。患者さんの状態や希望に応じて最適な体位をつけるということも看護師の大切な仕事ですよね。
ただ、慣れるまではそれぞれの体位のやり方がよくわからないという方も多いはず。ごちゃまぜになってしまう方は正確に理解しましょう。
・背臥位(はいがい)
仰向けの状態のことです。リラックスしやすい体位としても知られています。
腹臥位(ふくがい)
うつ伏せの状態です。ただし、普段からうつ伏せで寝ている方でなければ今の状態に慣れるまでに時間がかかります。
側臥位(そくがい)
横向きの姿勢です。まっすぐの直線状態で寝る方は少なく、足を後ろに反らしたり、膝を曲げる方がほとんどとなります。
半側臥位(はんそくがい)
側臥位の一種であるものの、枕やクッションなどで体を支え、体幹を30~45度ほどひねります。
背臀位(はいでんい)
膝を立てた背臥位の状態です。腰痛予防に効果的な体位となります。
屈曲側臥位(くっきょくそくがい)
横になった状態で丸くなる姿勢です。普段から無意識のうちにこの体位を取る方も多くいます。
トレンデレンブルグ姿勢
頭部が45度下方に下がるように調整した姿勢です。一般的には脳血流が確保できない場合に用いられる姿勢となります。
このように様々な体位があるので、それぞれの特徴をチェックしておきましょう。
- 半腹臥位(シムス位)とは仰向けと横向きの中間くらいの体位
- 半腹臥位は腹臥位に比べると窒息のリスクが低い
- 半腹臥位には誤嚥や舌根沈下を防止する働きがある
- 初めて半腹臥位をとる場合は短い時間から始め、徐々に伸ばしていく
- 半腹臥位以外に多数の体位があり、それぞれ目的・効果が違う
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