ミキシングとは?



ミキシングというのは、注射液や輸液といった薬剤を混ぜることをいいます。病院によってはミキシングではなく、指示をする際に「ミックスして」と言われることもあります。

大学病院で働いていた場合などにはミキシングは看護師以外の担当になることもあるため、総合病院に転職した際に初めてミキシングを担当することになり、驚いたという方もいるでしょう。


先輩や上司にしっかり教えてもらえることができれば良いのですが、中途採用の場合などはできて当然という顔をされることもあるため、戸惑ってしまう方もいるかもしれません。

そこで、正しいミキシングのやり方と注意点についてご紹介します。


ミキシングとは



患者さんに対して注射液や輸液を使用する際にはいくつかの薬剤をまぜて使うこともあります。この際に行う作業がミキシングです。

当然ながら患者さんによって必要な薬剤は違うため、ミキシングする際にはどの患者さんに対して、何のためにどのような薬剤をいくらの量でミキシングをするのか正確に把握していなければなりません。

薬剤の混合という作業でもあるため、本来は薬剤師が行うべき業務として考えられることもあるのですが、実際には看護師が担当することが多いため、ここでしっかりと知識を身につけておきましょう。


ミキシングの手順



まずは注射指示書を確認することが大切です。誤薬を防ぐためにも患者・薬剤名・時間・投与経路・量・目的という6つを忘れずに確認してくださいね。

続いて衛生環境整えるためにマスクをし、台の消毒も行いましょう。注射器、注射針、アルコール綿を準備したら注射指示書と薬剤・薬液を照合します。

この照合は最初だけでなく、薬剤を手にした時、注入時、注入終了時の3回行うことのより誤薬のリスクを大幅に下げることができるでしょう。


続いて衛生学的手洗いを行ったら手袋を着用し、薬剤を注射器で吸い上げておきます。ガラス製アンプルを開栓する際には切創に注意しなければなりません。印のところからアンプルを割らないと崩れたアンプルの破片が混ざることがあるので気をつける必要があります。

輸液バッグのゴム栓部分をよく消毒して乾かしたらゴム栓部分に注射針を刺入してゆっくり静かにと薬剤を注入しましょう。

注射器を抜く際には注入した薬剤と同量になるように空気を抜きます。最後に泡立たないように輸液バッグを軽く上下させて撹拌させて完了です。


バイアルからの吸引によるミキシング



アンプルではなくバイアルから薬液を吸引する場合、まずは溶解液をシリンジに吸い上げておきます。続いてバイアルのキャップを外してゴム栓部分をアルコール綿で消毒し、乾かしましょう。

次にゴム栓の中央部に垂直に注射針を刺し、溶解液を注入します。この際に、バイアル内は陽圧の状態になるので、注入した溶解液と同量の空気を抜かなければなりません。


続いて泡立てないように注意しながらバイアルの中の薬剤と溶解液を混ぜ合わせ、溶解したのを確認してからバイアルの中に必要となる薬液と同量の空気を注入します。

シリンジに薬液を吸い上げる際にはバイアルとシリンジを逆さにした状態で行わなければなりません。


吸い取った薬液をボトルに注入する際には、アンプルの項目で説明した時と同じく、垂直に行います。薬液をシリンジに戻した際、気泡が入ってしまった場合はシリンジ内の空気をうまく抜いてください。


ミキシングを行う上での注意点


コアリングに注意

輸液バッグのゴム栓に刺入する際の注意点として、斜めにするのではなく、垂直に刺しましょう。なぜかというと、斜めに注射針を刺入すると注射針によってゴム栓が削り取られる「コアリング」という現象が起きる可能性があるからです。

コアリングが起きてしまうとゴム栓が混入した薬液を患者さんに投与するか危険性があるため、必ずゴム栓の指定位置を確認してから刺入しなければなりません。


指定の場所は「IN」や「◎」という形で表示されていますが、これがない場合は中央付近に垂直にゆっくりと刺入します。

この際に針を回転させるとゴム栓を削り取ってしまう恐れがあるため、回転させてはいけません。これは注射針を抜く際も同じです。

針の扱いについて

ミキシングで使う注射針は直接患者さんに使うわけではないため、同じシリンジと針を使って複数のミキシングをする方もいるようですが、これは好ましくありません。基本は使い捨てとし、毎回新しいものを使いましょう。

ある程度慣れてくると流れ作業のように行ってしまうことがありますが、そのような状態になるとミスも発生しやすくなるので常に注意して慎重なミキシングを行わなければなりません。

また、ミキシングをする際にはその場を離れてはいけません。徹底した衛生管理を行いながら実施するのはもちろんのこと、使用した針の処分にも十分注意してあたりましょう。

<ミキシングとは?・まとめ>

  • ミキシングとは注射液や輸液といった薬剤を混ぜること
  • ミキシング中は終始衛生環境に注意する
  • 針を刺入する際には必ず垂直になるように行う
  • 慣れてきた頃にミスが発生しやすいため、常に注意して作業をする
  • 使用した針の処分にも注意が必要


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