看護師の転職体験談(61):助産師から看護師として総合周産期医療センターへ転職

(北海道・31歳 女性)

転職前はどんな仕事をしていたか


(写真はイメージです)


看護大学を卒業後、助産師学校へ進学しました。助産師免許を取得後は助産師として北海道の総合病院の産婦人科に就職しました。その病院は公立の総合病院で地域周産期母子医療センターに指定されていたため、産科単科のクリニックに就職するよりもハイリスクの症例など様々な看護および助産経験が積めると考えました。

病院全体の病床数は約400床、年間分娩件数は約700件で、他院からの母体搬送の受け入れ先でもありました。助産師の数はけして多くはありませんでしたが、ベテランから中堅までスタッフの経験年数は偏りがなく、先輩からいろいろな技や考え方を業務を通して学び、時には盗むことができました。


助産師としての病棟での主な業務内容は、管理入院妊婦の看護、分娩介助、産褥婦への指導、正常新生児のケアでした。切迫早産や多胎の妊婦が分娩に至るケースもあり、正常分娩以外の様々な症例を経験しました。1年目の後半からは集団指導も担当するようになり、母乳育児相談や母親学級の運営も行いました。5年目からは助産師外来のスタッフの一人として外来業務に携わりました。

病棟が産科チームと婦人科・内科チームに分かれていたため、他科の患者様の看護や処置を担当する機会もありました。婦人科手術の術前処置や化学療法、内科的治療に伴う検査や投薬管理、時には病床調整のため他科手術の患者様の術前後の看護を担当することもありました。


患者様の状態によっては入浴介助や食事介助、体位変換やおむつ交換といった技術も必要であったため、先輩の指導を受けながら習得していきました。

助産師3年目にはプリセプターとして新人教育を担当しました。産科チームのメンバーとチーム会等を通して新人スタッフの状況や指導方法について共有しながら取り組みました。その後、病棟の教育係を任され、病棟スタッフ対象の勉強会や病院主催の研修の運営にも携わりました。


正規職員としての採用であったため、三交替での夜勤が月に8〜10回ほどありました。夜勤は助産師と看護師が3人1組で準夜勤および深夜勤を担当していました。助産師が自分1人である夜勤も少なくなく、一晩で数件の入院や分娩を担当しなければならないこともありました。

6年間の勤務で約300件の分娩介助を行いました。給与は少しずつ昇給していましたが、手取りで月約25〜27万円でした。

なぜ転職しようと思ったか

就職当初より夜勤の生活リズムがどうしても身体になじまず、いつまでも夜勤を続けて行くことは難しいだろうと漠然と感じながら仕事をしていました。また、リーダー業務や教育担当といった一通りの役割を習得する中で、このままこの業務を同じ環境で繰り返しながら経験を積み続けることに物足りなさも感じるようになりました。

そこで、助産師4年目ころより自分なりにキャリアアップの方法について模索していきました。


看護師であれば実務経験をある程度持つと、専門看護師や認定看護師といったキャリアアップの選択肢が広がります。このような情報を集める中で助産師は実務経験をただ重ねても、そのようなキャリアに直結する選択肢が限られていることを知りました。

認定看護師の中で助産ケアに関連するのは不妊症看護と新生児集中ケアがありましたが、それぞれで専門的な看護ケアに従事している実務経験が3年以上必要であり、当時の私の実務経験では資格を得ることができませんでした。


夜勤に少々疲弊気味の心身を一度リセットしたいという考えもあり、母性専門看護師の資格取得も見据えつつ大学院への進学も検討しました。しかし、研究に取り組みたい課題を明確にすることもできず、進学を決意することもできませんでした。

悩みながらインターネットなどで情報を集めるうち、認定看護師の看護分野の中でもより興味のあった新生児集中ケアについて、もっと知りたいと感じるようになりました。


日常的にも早産の子どもの出産に立ち会ったり産後の母親をケアしたりする中で、その子どもが産まれた後のNICUでは、子どもおよび家族への看護が実際どのように展開されているのか興味を持ち始めていました。病院内にもNICUは併設されていましたが、規模は大きくなく、異動を希望したとしてもその目処が経つようなスタッフの充足度もありませんでした。

そこで、新生児集中ケア認定看護師へのキャリアを見据えたうえで、より新生児看護の経験を積むことができ、新生児集中ケア認定看護師と共に仕事ができる職場への転職を決意しました。


どんな転職活動をしたか

転職先の病院についてはインターネットを活用し、病院のホームページの情報を中心に比較しながら検討しました。また、一緒に仕事をしていた医師からもいくつかの病院の評判や規模などの口コミを耳にする機会があり、参考にしました。

最終的に大阪府にある周産期と小児医療を専門とする医療センターに転職を決めました。病院全体の病床数は約400床、うちNICUおよびGCUの病床数は60床でした。


転職先を比較する上で重視したのは、NICUの病床の規模と新生児集中ケア認定看護師の配置数、そしてキャリア開発における教育支援体制でした。新たな分野への挑戦には不安もありましたが、どうせ挑戦するのであればよりレベルの高い医療および看護に触れ、経験を積みたいと考えました。

自分の将来のキャリアを計画する上で、実際の認定看護師の業務や役割を知ることも重要であると思いました。また、将来自分が認定看護師を目指したいと考えた時に、研修の受講やその後の職場復帰に対して柔軟な対応を積極的に行ってくれる環境に身を置いておくことも必要であると思いました。


就職試験の面接では看護部長を含む4名の面接官と対面し、このような転職に至る経緯を率直に伝え、新たな環境で挑戦したいことについて話しました。面接担当の方々も、私の経歴について興味を持って対応してくださった印象でした。採用試験は面接のみで、筆記試験は行われませんでした。


転職後の職場の様子、感想

転職先では希望通りにNICU・GCUの部門に配属となり、新規採用の新人スタッフと共に初期研修を受けた後、病棟業務に入りました。臨床経験がある私も新生児看護分野においては看護師1年目として基本的なオリエンテーションや指導を受けることができたため、じっくりと技術や知識を深めながら仕事をすることができました。

プリセプターを始め、病棟全体として新人スタッフや経験年数の浅いスタッフに対する先輩によるフォロー体制が整っていたため、2年目以降も適切な指導の元で経験を積むことができました。


2名の新生児集中ケア認定看護師から直接指導や助言をいただける機会も多く、病棟で共に仕事をしながらその役割や仕事の様子について深く知ることができました。

転職先は総合周産期医療センターに指定されており、以前の病院よりも分娩数が約2.5倍あり、NICUも国内で上位に位置するほどの病床数と症例を扱っていました。自分で希望して選択した環境であるとはいえ、転職当初はその医療や看護のレベルの高さやハイリスクの度合いに戸惑いました。助産師として培った経験はまるで活かせない現実に心が折れそうにもなりました。


しかし、業務に慣れる中で自分にもできる技術が増え、看護にも自信が少しずつ持てるようになると、子どもや家族に関わることが楽しく感じられてきました。NICUに入院している子どもへ搾乳を続けている母親や、子どもが成長し授乳のトレーニングが始まった母子に対しては、乳房ケアや授乳介助といった自分の知識や経験が活きる場面も多くありました。

転職先でも正規職員として、夜勤を行っていました。三交替と二交替が選択でき、私は二交替夜勤を月4〜5回していましたが、以前の病院での三交替よりも生活リズムは幾分楽に感じることができました。転職前後での給与は大きく変わりはありませんでした。


(まとめ)転職活動を通じて感じたこと、学んだこと

今回、私の助産師から看護師へという転職体験から学んだことは、目的となる自分の挑戦したいことや学びたいことを明確にして、それに見合った環境を吟味して選択することが大切であるということです。これは看護師の方が他科や他病院へ転職する場合でも共通することだと思います。

私は助産師として仕事をしている時から新生児のケアには携わっていたことがあり、新生児看護は全くの畑違いとは言えない分野への転職でした。にもかかわらず、転職当初はこれまでの経験や常識的観念が覆されるような想いを抱かざるを得ない体験が何度もありました。


看護分野に加えて病院という施設も伴っての変化は、必要とされる専門的知識や看護技術、アセスメント力、そして感染対策等その施設の基準に応じたルールや人間関係といった環境に順応する適応力が一度に要求されます。そのときに、「こんなことをやりたかったはずではない」と感じてしまうと、転職したこと自体を後悔することにもなりかねません。

転職は、自分でない誰かに決めてもらうものではありません。退職も転職もあくまでも自分が決めて、その結果行動に移されるものです。転職のきっかけがたとえ職場の人間関係や収入に起因するものだとしても、『原因』を過去に置き去りにせずに、転職という前向きな行動が目指す『目的』へと変換しておくことが大切であると思います。


それに見合った環境にしっかりと自分の身を置いていれば、転職が自分自身の思い描く理想の仕事にすぐに結びつかなかったとしても、成長が実感できるまで頑張り続けることができるのではないでしょうか。またそのような姿勢は、採用担当の方々にも強くアピールすることで転職をスムーズに運ぶことができるはずです。

転職のベクトルを前に向けていると、万が一転職後の環境が期待にそぐわなかったとしても、方向転換は難しくありません。真後ろを向いているものを180度転換するよりも、10度や30度など少し軌道を修正するほうが簡単であるように、自分の目的を別の場所に設定し直せば良いのです。


実際に、私は現在新生児看護から一度離れ、また異なる分野での挑戦を模索中です。転職を持ってしても新生児看護を専門としてキャリアを積むことに対して決断し切れず現在に至りますが、助産師として仕事をしていた病院を退職して新生児看護を経験したことは全く後悔していません。

むしろ、助産師のキャリアに新生児看護のキャリアを加えられたことは、自分の経歴として今後必ずどこかで自分自信を助ける武器になると感じています。

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