ナイチンゲール誓詞とは？

看護師とは関係がない職業をしている方の中にも「ナイチンゲール」を知っている人が多いはず。そしてナイチンゲール誓詞といえば、看護師であれば看護学校の戴帽式や卒業式で唱えた経験があるはずです。

それくらい有名なナイチンゲール誓詞ではありますが、実は詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

暗記させられた経験があるけれどそもそもナイチンゲールについてあまり知らない…という方のためにナイチンゲール誓詞ができた経緯やナイチンゲールについてご紹介します。

ナイチンゲール誓詞とは？

ナイチンゲール誓詞（せいし）とは、アメリカにあるハーパー病院看護婦学校のリストラ・グレッターという監督が作成した誓いの言葉です。

「ナイチンゲール誓詞」という名前がついていることからナイチンゲール本人が作ったものだと勘違いしている方もいるかもしれませんが、そうではありません。

ナイチンゲールが亡くなってから作られ、広まったものであるため、ナイチンゲール本人はナイチンゲール誓詞というものがあることは知らないわけですね。

ナイチンゲール誓詞には、看護師としてどのようなあり方が理想的なのか、どう考えて行動していかなければならないのかなどがまとめられています。

ナイチンゲールの功績に感銘を受け、それをたたえるために作られたのがナイチンゲール誓詞です。看護学校の廊下や講堂に刻まれているところが多いため、ご存知の方もいるでしょう。

医学生の間ではヒポクラテスの誓いというものが伝達されていますが、ナイチンゲール誓詞はこのヒポクラテスの誓いを参考にして作られた誓いの言葉です。

ナイチンゲール誓詞の内容

簡単に説明をすると、看護師として力の限り任務を行うための努力をする、仕事の中で知り得た情報は他人に漏らしてはならない、致死薬は用いない、心から力を尽くして医師を助ける、などの内容が示されています。

ただ看護師の中のナイチンゲール誓詞の一部分に違和感を覚える方もいるようです。ナイチンゲール誓詞には看護師は医師を助けること、そして人々のために身をささげ尽力するという一文があるのですが、ここに異論を唱える方もいます。

そもそもナイチンゲール誓詞が作られたのは1893年のことであるため、今とは看護師のあり方や立場が違う時代のものだともいえるでしょう。

当時は看護師といえば医師の補助的な業務を行う存在としての位置付けであったため、ナイチンゲール誓詞の中には看護師の存在意味が医師の補助業務にあるとも受け取れる一文があるのです。

今はチーム医療が活発になり、看護師も業務の中で重要な意味を持っています。これを誇りに思っている看護師からするとどうしても違和感がぬぐえないかもしれません。

また、患者さんのために身をささげて尽くすという一文も自己犠牲的な献身もいとわないというような表現にもとれるため、ナイチンゲール誓詞は現在の考え方に沿わない部分がある、修正したり、付け足したりする必要があるのではないかと感じる方もいるようです。

フローレンス・ナイチンゲールとはどのような人物？

ナイチンゲール誓詞はイギリスの看護師として活躍したフローレンス・ナイチンゲールという女性にちなんで作られました。

ここではフローレンス・ナイチンゲールがどのような人物だったのかについてご紹介しましょう。

ナイチンゲールといえば、白衣の天使として知られていますよね。このことから生涯をささげて看護師という仕事に従事した女性であるというイメージを持っている方もいるかもしれません。

しかし、実際にはナイチンゲールが看護師として働いたのはほんの2年半です。それなのにここまで有名になっているということはそれなりの理由があるわけですね。

まず、両親は裕福なイギリス人であったにも関わらず、当時は身分の低い下女が行う仕事と位置付けられていた看護師の仕事を行ったということ。しかも彼女が志願したのは非常に状態の悪い患者さんが集まる病院でした。

当時の衛生環境や病院の状態は良いと言えるものではなかったのですが、ナイチンゲールは病院の環境設備を行い、徐々に周りにも認められていきます。

衛生環境が整うことによりケガや病気による死亡率は急激に減少し、偉大な功績を残したのです。看護を行う中では24時間休むことなく働く日もあり、彼女自身も身を削って看護に努めました。

それだけでなく、統計学に基づいて兵士たちが死亡する原因の究明を行い、それを減らすためにはどうすれば良いのかなどを大々的に広めたのです。その中では政治的な戦略をとることも多く、医療業界に大きな変化をもたらしました。

こういった功績が認められ、博物館が作られたり、業績がたたえられているわけですね。