看護師の求人先、ホスピスの仕事とは?



病院(hospital)と同じく、hospitality=ホスピタリティに語源を由来しているホスピス(hospice)は、終末期ケア(ターミナルケア)を行うための医療施設です。日本で実質的なホスピスケアが開始されたのは1973年のことであり、国公立病院でもホスピス開設の動きが広まりつつあります。

ホスピスへ入所を希望する患者さんの数も増えており、必然的にホスピスでの看護師求人数も多くなっています。ホスピスとはどんな施設なのか、そこでの看護師の仕事や待遇、適正や転職時の注意点について見ていきましょう。


ホスピスとは



ホスピスは、がんやエイズ、筋委縮性側索硬化症(ALS)などの重症、末期患者の看取りを目的とした施設であり、患者さんが気持ちよく生活できるよう配慮しながら、死への不安や恐怖心をできるだけ取り除き、サポートしていく場所です。

以前は「終の住処」など、より死に近いイメージが強かったホスピスですが、近年では、最期の生活の場としてのイメージは変わりつつあります。


その変化には、在宅療養と組み合わせた短期型症状コントロール入院や、介護者の休養を目的にしたレスパイト入院といった選択肢など、ホスピスにおける医療サービススタイルの多様化が影響していると考えられます。

病院内にホスピス病棟として設けられているほか、院内で診療科として設けられているケースや、ホスピス専門のチームが作られているケース、病院内で独立した施設が作られていたり、完全に独立型のホスピスであったり、訪問看護の形式でケアを行う在宅ホスピスなどがあります。


ホスピスで働く看護師の仕事


患者さんや家族との話し合いが大切

ホスピスの目的は、患者さんの精神的・肉体的苦痛を和らげ、尊厳を持って生活が送れるようにサポートすることです。

基本的に高度な治療が施されることはないため、バイタルや病状の観察のほか、食事・排泄の介助、生活上のサポートなどの看護業務が中心となります。


ホスピスで働く看護師の仕事でとても重要なのが、患者さんやその家族と、望む処置や過ごし方について充分に話しあうことです。ホスピタリティーを持ち、常に患者さんの死と向き合いながら、強い精神力で仕事に取り組む必要があります。

死と向き合うことは、体験した方でなければ分からない辛さであるといいます。また患者さん自身は覚悟が出来ていても、その家族は納得できずに精神的に追い詰められているケースもあります。ご家族の仕事が終わるのを待って、業務時間外に話し合いをするということも珍しくなく、ホスピス看護師の重要な仕事なのです。


緩和ケアでは、患者さんの痛みを取り除くために、麻酔科医の指示のもと麻酔や痛み止めを使用することがあります。これらの薬剤についての知識や経験を高めていくことも必要です。

ホスピスでのケアは、緩和ケア専門の医師や麻酔科医、薬剤師、介護福祉士、カウンセラー、そして看護師らがチームとなって行うものです。十分に連携をとり、一団となって業務にあたる必要があります。

ホスピスでの看護師の給料は?

常に死と向き合い仕事内容はハードなものとなりますが、特に待遇が高いという傾向はなく、一般病棟の看護師と同程度の収入が一般的です。ただし、認定看護師、心理カウンセラー、保健師などの資格を持っている場合には、手当がプラスされることがあります。

求人先がホスピスの施設基準を満たしているかどうかによっても、看護師の給料が違ってきます。基準を満たさないまま緩和ケアを行う施設よりも、基準を満たしているホスピスの方が給与待遇は良い傾向です。

環境や働きやすさも大事ですが、給与条件が良いに越したことはありません。基準を満たしている施設か否かも、事前にチェックしておきましょう。

ホスピスの看護師に向いている人

ターミナルケアに興味があり、患者さんとじっくりと向き合いたい看護師が向いていると言えます。ただし、その仕事は生半可な興味だけで取り組めるものではなく、1年程度で辞めていく看護師も少なくありません。

生死について、また自分自身と向き合わざるをえない仕事であり、人間に対して興味を持ちながら、気持ちの切り替えがうまくできる方が向いています。

ホスピスケアはチームで行うため、協調性やコミュニケーション能力も問われます。緩和ケアの認定看護師を目指すなど、具体的な目標があるとより前向きに仕事に取り組むことができるでしょう。


ホスピスで働くメリット・デメリット


メリット

「ホスピスで働くことで死生観が変わった」という声が聞かれます。人の死に向き合い、患者さんと家族をサポートしていくには、理解能力やメンタル管理能力のほか、知識や技術だけでない心の豊かさも求められます。

看護師としてだけでなく人間的にも大きく成長できることは、メリットといえるでしょう。

基本的に夜勤があり、面談や看取りのための時間外業務も少なくはありませんが、一般病棟での看護と比較すれば、体力的には楽であり、ゆっくりと仕事に取り組める面はメリットとなります。患者さんや家族に感謝されるときなどは、喜びややりがいを感じられる仕事です。

デメリット

向き不向きが大きく、憧れだけで続けられるものではないほど業務内容は濃厚なものであり、強い意志がないと続けられない点はデメリットといえます。残業や時間外出勤が決して少なくない点も、覚悟しておく必要があります。


ホスピスへ転職する時の注意点


勤務先によって環境・待遇の差が大きい

ホスピスと一口に言っても、独立運営なのか院内の病棟のひとつなのか、運営団体が行政か民間か、宗教法人なのかなど多岐にわたります。施設基準は満たさず申請していないものの、実質的に緩和ケアを行っている病院からの求人もあります。

それぞれの施設で、環境はもちろん仕事の内容、給与額、拘束時間などの条件は様々に違い、このようなホスピスの特徴を充分に理解して、自分の希望に合う求人を探す必要があります。夜勤ありなのか、日勤・夜勤専従なのかによっても、対象になる求人が変わってきます。


しかし、働きながらひとつひとつの求人を吟味していくのは大変です。そこでおすすめなのが、看護師専門の転職サイトの活用です。非公開求人をいち早く紹介してもらえるだけでなく、看護師転職のプロであるキャリアカウンセラーに色々と質問、相談することができます。

サイトの特徴やカウンセラーとの相性もあるので、2~3サイトに無料登録してみて、自分に合ったところを選ぶと安心です。

緩和ケア未経験でも大丈夫?

まずは病棟で2~3年勤めてからホスピス・緩和ケアへ転属、という方針の病院が多く見られます。ホスピスでは、抗がん剤治療やターミナルケアの看護経験、幅広い疾患の知識、スキルが必要とされるためです。

なかには、ホスピスへ転職したものの、自分のスキル不足を痛感していったん一般内科へと転職し、がん治療などの経験を十分に積んでから再度ホスピスへと転職した、という看護師もいます。


しかし、未経験でホスピス勤務は不可能というわけではありません。緩和ケアに特化した病院ではホスピス未経験の看護師も募集対象となっており、働きながら経験を積んでいくことが可能です。

その場合には教育体制が充実している求人を選ぶよう、事前の確認や見学をしっかり行ってください。

<看護師の求人先、ホスピスの仕事とは?・まとめ>

  • 基本的な看護業務のほか、患者や家族との十分な話し合いが大切
  • 給与は病棟と同程度、施設基準を満たしている方が高収入の傾向
  • ターミナルケアや人間への興味がある人、協調性のある人向き
  • 人間的成長ややりがいを感じられ、じっくりと仕事に取り組める
  • 残業や時間外出勤もあり、強い意志がないと続かない
  • 勤務先によって環境や待遇の差が大きいので事前に吟味する


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