緩和ケア認定看護師の役割は?



認定看護師という言葉は少しずつ認知されるようになってきましたが、緩和ケア認定看護師と聞いてどんな看護師を指すのかピンと来る方は、まだまだ少ないのではないでしょうか?

ここでは、そんな緩和ケア認定看護師の基礎知識や役割についてご説明していきたいと思います。


緩和ケア認定看護師とは



緩和ケア認定看護師とは、日本看護協会(JNA)の認定看護師認定審査に合格し「緩和ケアの分野で熟練した技術と知識を有すると認められた看護師」のことを指します。

緩和ケアとは、生命を脅かすような疾患を持つ患者とその家族に対し、身体的な苦痛だけでなく、精神的・社会的・スピリチュアルな問題を総合的にとらえ、そこから生じる苦痛を予防・緩和しながら、本人とその家族のQOL(生活の質)を維持し向上させるトータルケアです。

緩和認定看護師は、上記の緩和ケアの理念を実践すべく、緩和ケアの中心的な機動力として活動できるだけの技術や知識を習得した看護師です。緩和ケアの質向上のリーダー的な役割を担えることから、専門職としての色合いが強いといえるでしょう。


緩和ケア認定看護師になるには



緩和ケア認定看護師となるためには、日本看護協会の認定看護師認定審査に合格する必要があります。この審査を受けるには次のような条件をクリアしておく必要があります。

1.日本国の保健師、助産師および看護師、いずれかの免許を有している
2.実務経験が5年以上(うち3年以上は緩和ケア分野の経験)
3.1、2を満たした上で、認定看護師教育機関において認定看護師教育課程を修了している(6ヶ月、615時間以上)

これらの条件を満たすことで、認定審査(筆記試験)を受けることができ、合格すると認定看護師認定証が交付され、緩和ケア認定看護師として登録されます。


認定看護師教育課程を実施している認定看護師教育機関は、2012年現在、全国に53機関あり、通常平日の昼間に講義が行われています。そのため、看護師として勤務を続けながら通学をすることは非常に困難で、休職または長期出張扱いで講義を受けている方が大半です。ただし、数は少ないものの、週2日開講している教育機関もあり、それらであれば勤務を続けながらの通学が可能です。

認定看護師教育機関は、残念ながらすべての都道府県にあるというものではなく、かなり偏在しているというのが実情です。緩和ケアの場合は全国に10校しか存在しないため、自宅から通学できる方は極めてまれといわれています。


緩和ケア認定看護師を目指して認定看護師教育課程に通う方の多くが、在学中は学校近くに住まいを借りて通学をしています。そのため、受講にあたっては学費だけでなく、家賃や生活費なども十分備えておくことが必要です。

また、認定看護師教育機関は各校ともカリキュラムは共通ですが、費用や開校期間、スケジュールはマチマチです。入学を希望する認定看護師教育機関が決まったら、早めに募集要項を取り寄せて概要を確認することをおすすめします。


認定看護師教育課程は6ヶ月間ですが、事前の勉強や各種書類の準備、入試、授業期間、認定審査から認定証の受領などの流れを考えると、学校への願書提出から認定看護師として勤務を始めるまで、約2年ほど必要です。そのため、ある程度将来を見据えた事前準備が重要だと言えるでしょう。


仕事内容や役割



緩和ケア認定看護師の役割は、疾患を持つ患者の身体的な苦痛や痛みを緩和するだけでなく、精神的・心理的な問題から社会的問題まで総合的に対応し、問題を早期発見した上で適切な処置を施し緩和することです。

また、患者個人だけでなく、その家族に対しても熟練した緩和ケア技術を用いて水準の高い看護を実践し、自分以外の看護職に対しても看護実践を通した指導を行う役割も担っています。


日本看護協会は、緩和ケアについて「患者とその家族のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を改善するためのアプローチ」だとしています。緩和ケア認定看護師は、この理念を体現するために専門的な教育を修め、豊富な知識や技術を駆使して緩和ケアに取り組む専門職です。そのため、求められる技術や専門知識は非常に多岐にわたります。

緩和ケアにおいて緩和ケア認定看護師が担う基本的な部分は、患者さんの苦痛や痛みを知識や技術を駆使して緩和することにありますが、QOLを向上させるためのカウンセリングやサポート、ご家族に対する精神的なケアなどもトータルして対応します。


緩和ケア認定看護師の給料



緩和ケア認定看護師は、取得まで長い期間と費用、そして強い意欲や努力が必要なため、取得後それらが給料という形で報われると思われがちです。

しかしながら、認定看護師の認定を受けたことで給料が劇的に上がるかというとそうではありません。基本的には認定看護師以外の看護職と同等の給与となっており、勤務先によっては手当がつく場合がある、というのが実態です。

認定看護師の手当についても勤務先によって大きな差があり、3000円~20000円くらいが相場となっています。そのため、給与という形での見返りが目的で認定を目指す場合は、費やした時間やお金、勉強の努力などを後悔したり、せっかくの認定を無駄にしてしまう可能性もあります。


緩和ケア認定看護師に向いている人



緩和ケアで重要となるのは、ケアを受ける患者とその家族の価値観を尊重したケアを実現することです。そのため、患者さんとその家族が何を求めているのか察する能力や、要望や希望を自然な形で引き出すための高いコミュニケーションスキルが必要となります。

また、緩和ケアにおいて認定看護師がどのような役割を担い、どういった対応・行動を起こさなくてはならないのか、常に相手を観察しながら自分も見つめることができるタイプの方に適正があると言えるでしょう。

加えて、緩和ケアにおいては最期の時まで見守り寄り添うことが非常に重要となるため、患者さん一人一人に心を寄せ、共に泣いたり笑ったりしながら、常に最善のケアを選択したいと考える前向きさ、ひたむきさも大切です。


まとめ

緩和ケア認定看護師は、2人に1人ががんを患うという日本において、これから非常に需要・要望が高まる看護師であると考えられます。

しかしながら、緩和ケア認定看護師の審査条件をクリアするための緩和ケア分野の経験を積むことができる勤務先はそう多くありません。もし、これから実務経験を積みたいが、そのための病院を探すのが難しいとお悩みの場合は、看護師専門の転職支援サイトの活用をおすすめします。


看護師専門の転職支援サイトには、詳細な条件を設定して検索する機能が準備されているケースがほとんどなので、条件に合った勤務先の目星を簡単につけることができます。緩和ケア分野の求人も探せるので、条件を満たすための転職活動なども、スムーズに勧めることができるでしょう。

また、転職支援サイトに登録するとキャリアコンサルタントやアドバイザーが無料で利用できるので「緩和ケア認定看護師になるための実務経験を積みたい」と相談すると、条件に合った病院を紹介してくれたり、認定までの様々なアドバイスやサポートを受けることも可能です。


緩和ケア認定看護師の認定・登録までには、多くの費用と時間、労力が必要となり、一人で取り組むのはかなりの負担となります。しかし、最近は認定看護師の認定までの費用を一部負担してくれる医療機関などもあり、サポート体制なども少しずつ整ってきています。

前述の転職支援サイトでは、こういったサポート体制を行っている医療機関なども調べられるので、上手に活用してみて下さいね。


この記事のまとめ

  • 緩和ケア認定看護師の役割は、緩和ケアの中心的な機動力として活動すること
  • 緩和ケア認定看護師になるには、ある程度の時間と費用が必要
  • 緩和ケア認定看護師になれたからといって、大幅な給与アップは見込めない
  • 認定看護師審査に必要な実績を積むための職場は、転職支援サイトで探すと効率が良い


看護師の転職サイト、おすすめは?

看護roo!
※九州・四国はサービス対象外です

 無料登録はコチラ



マイナビ看護師

 無料登録はコチラ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です