子育て看護師の復職、募集先選びの注意点



全国的な看護師不足が続くなか、休職中の「潜在看護師」の復職が求められています。潜在看護師とは結婚や出産、子育て、介護などの事情で仕事を辞め、現在は職に就いていない看護師のことです。

2025年には200万人の看護師が必要となると予測される現在、70万人超といわれる潜在看護師の復職を支援する体制が急速に進められています。子育て中の看護師の復職を求める声も大きくなっていますが、転職先の選択が大きなカギとなるのも事実です。


子育て看護師の復職のきっかけ



子育て中の看護師のみなさんは、どのようなきっかけで復職しているのでしょうか。先輩ママ看護師の声から復職の理由をまとめてみました。

「看護師の仕事が好きだから」

シンプルな理由ですが、「看護師の仕事が好き」というのは意外に納得できる答えかもしれません。実際に復職したママ看護師が仕事に戻るきっかけで多かったのが「また看護師として働きたい」「患者さんやご家族の力になりたい」「人のために何かしたい」という理由でした。

他業種のアルバイトやパートを経験して「やはり看護師が向いている」「やりがいがある」と復職した子育て看護師も多いのです。

「命の大切さを感じたから」

出産や育児という経験から、人の命の大切さを感じたというママ看護師もたくさんいます。「赤ちゃんを産み育ててみて生命の神秘や尊さを痛感した」という意見もあります。

そうした体験から人の命を守り健康をサポートする看護師という職業に深い魅力を再発見したというのが復職した理由です。理想だけで看護師という職業を続けることは難しい面もありますが、使命感を見出すというのも子育て看護師が復職するきっかけのひとつです。

「収入(お金)が必要だから」

仕事に復帰して「収入を得るため」「お金を得るため」という理由です。子育てはお金が掛かるものですし、将来の学費や教育費などを貯蓄したいという目的もあります。看護師の平均収入は470万円であるのに対し、女性の平均収入は350万円という統計結果も出ています。

苦労が多くハードワークな看護師の仕事ですが、収入面から見ると女性の他の職業より多くの収入を得られる可能性が高いことも事実でしょう。子育てと仕事を両立できる職場を見つけられれば復職したいというきっかけになるようです。

「復職の誘いがあったから」

前の病院やクリニックの先輩看護師や同僚から、「また戻って来ない?」と復職の誘いがあったという理由です。特に嫌な思いをして辞めた職場でなければ、子育て看護師も戻ることに抵抗は少ないはずです。

周囲のスタッフとも顔見知りで、仕事の手順や要領などを分かっていれば復職しても上手くいきやすいというのもメリットになります。病院やクリニックのなかには、退職した潜在看護師に復職してもらうための支援プロジェクトを実施しているケースもあります。

その他のきっかけとしては「条件の良い求人があったから」「理想の職場を見つけたから」「自分に合っている仕事だと再認識したから」「女性も仕事を持つべきと考えたから」「子育て経験を活かしたいと思ったから」などが挙げられます。


子育て看護師の復職の悩み



子育て看護師が復職に関してどんな悩みを持っているのでしょうか。先輩のママ看護師の声をまとめてみましたので紹介します。

「子育てに理解のある職場はあるの?」

ママ看護師の最大の悩みが「子育てに理解のある職場が見つかるか」という点です。潜在看護師の掘り起こしが進んでいる現在でも、すべての求人先が子育てに協力的とは限りません。

子育ての苦労は経験者でないと分からないという面もあるため、復職に際して迷いが出てしまうママ看護師も少なくないようです。子供の発熱などの体調不良で早退しなければならない等、子育て看護師にありがちな問題をサポートしてくれる職場が見つかるかという不安は意外と大きいのです。

「プランク明けでも大丈夫なのかな?」



医療の現場は日進月歩の勢いで変化していきます。プランク明けの子育て看護師が復職して仕事に着いていけるのか、新しい看護知識や技術を急速に覚えられるのかといった悩みを持つケースは少なくありません。

また採血や注射などの技能が鈍っていないかと不安になるママ看護師もいるようです。最近ではプランク明け看護師のためのセミナーや講習会なども開かれていますので、一度利用してみるという方法もあるでしょう。

「子供や家族に迷惑を掛けるのでは?」

今まで家事や育児に勤しんできた子育て看護師が復職で悩むのが「子供にシワ寄せが行くのではないか」「夫や両親(義父母)に負担を掛けるかもしれない」という問題です。ママ看護師に限らず、子育てをしている女性が仕事をするのには家族のサポートが欠かせません。

その割合が大きくなり過ぎると子供が寂しい思いをしたり、家族の負担が大きくなるというリスクもあります。こうした点を緩和するために、最初は単発のアルバイトやパートから始めると子育て看護師もいるようです。

「職場のスタッフのお荷物にならない?」

看護師として復職はしたものの、職場でお荷物的な存在にならないか不安に感じるママ看護師もいます。プランク明けで仕事に着いていけるのか、子供の問題で早退や欠勤が多くなるのではないか、復帰前の体力や気力を取り戻せるのか等々、意外に多くの悩みを抱えている子育て看護師もいます。

いきなりフル勤務に戻るのが不安な場合は、日勤や派遣などからスタートしてみてもいいかもしれません。


子育て看護師の復職で注意すべき点



子育て中のママ看護師が復職する場合、注意しておきたい5つのポイントをまとめました。復職に際しての参考にしてみてください。

(1) 復職の目的を明確にしよう

何となく「また仕事がしたくなったから」「やはりお金が必要だから」といったあいまいな動機で復職すると失敗する可能性があります。

復職の目的が何なのかを明確にし、自分のなかでハッキリした優先順位を付けておきましょう。仕事の充実感を第一にするなら収入は低めでも我慢する、お金を稼ぐ目的ならやりがいは少なくても納得する等の割切った考え方も必要です。

(2) 不安点は早めに解消しておこう

家族に掛ける負担やブランク明けの技能の不安、自分の体力の度合いなど、不安点があれば復職前に解決しておいてください。いざ仕事を始めてから悩んだり、後悔するようであれば復職した意味がなくなります。

子供を含めた家族とは事前にしっかり話合い、復職のための研修を受けたり体力作りにもトライしておきましょう。

(3) 復職したら過去は振り返らない

子育て看護師として復職してから、「仕事に戻らなければ良かった」「専業主婦で育児をしていたほうが楽しかった」などと後悔したり、新しい職場のやり方に馴染めず「前の病院のほうが良かった」「こんな仕事をするために復職したわけじゃない」などと後ろを振り向くような考え方はNGです。

復職前のことはいったん忘れ、前向きに頑張っていく気持ちを持つようにしましょう。

(4) ダメと感じたら変える勇気を持つ

復職して毎日頑張っても「ダメ」と感じたら状況を変える勇気を持つことも必要です。(3)の「過去を振り返らない」と矛盾するようですが、どうしてもダメだと思ったら退職や転職を考えてみてください。このまま頑張るか、それとも状況を変えるかを判断できるのは当事者の自分自身だけなのです。

(5) 無理し過ぎず周囲を頼る気持ちも必要

多くの子育て看護師が陥りがちなのが「一人で頑張り過ぎる」という状態です。子供に迷惑を掛けない、夫や両親に迷惑を掛けない、職場に迷惑を掛けない…と頑張り過ぎるといつかは限界が来てしまいます。

子育てをする期間は思ったよりも短いものです。その間だけは人に頼ってみてもいいのではないでしょうか。


ママさんナースにおすすめの転職先とは?



子育て看護師が求人先を探す場合に注意すべき4つのポイントは下記のとおりです。仕事を始めたものの続けられないという事態に陥らないためにも、ポイントを押さえた求人活動を行なってください。

院内託児所がある

院内託児所とは病院などの医療機関が職員の子供を預かるために設置している保育施設です。一般的には病院内もしくは病院に隣接して設置されています。院内託児所があれば勤務前に子供を預け、勤務終了後に迎えに行けるというメリットがあります。費用は無料~月額2万円程度が相場です。

何かと助かる院内託児所ですが、病院によっては標準的な保育園よりも規模が小さい、設備が整っていない、子供を預るだけで教育は行なわない等のデメリットも見られます。しかし、子供が体調不良のときはすぐに駆け付けられるといった利点もありますので、求人の際はチェックしてみてください。

母子寮がある

母子家庭のシングルマザー看護師にオススメなのが、リーズナブルな母子寮がある病院の勤務です。母子寮の多くは個室でバス・トイレ・エアコン付が一般的で、テレビや洗濯機などが完備しているところもあります。

規模の大きい病院では独身寮と分けて母子専用寮を設けているところもあり、家賃負担を減らせるだけでなくママ看護師同士でサポートし合うこともできるでしょう。費用は月額3~5万円程度が相場です。

母子寮のある病院は院内託児所を設けている場合が多く、シングルマザー看護師には狙い目の求人先です。それだけに競争率も高めですので、見逃さないようこまめにチェックしておきましょう。

日勤専門で働ける



子育て中のシングルマザー看護師の働き方として、夜勤のない日勤専門という方法があります。夜勤専従看護師になると、子供と接する時間が持てない、保育園や学校行事に参加しにくい、いざというときフレキシブルに行動できない等のデメリットが発生します。

朝9時から夕方5時までの日勤専門なら、大きな負担なく子育てをすることも可能です。病院やクリニックのなかには「日勤のみ」という求人先もあります。また眼科や耳鼻咽喉科、皮膚科など夜間診療のない科の病院やクリニックもありますので、求人活動では積極的にチェックしてみてください。

ママ看護師が多い

昨今の看護師不足を受けて、ママ看護師を支援しようという医療機関が増えてきました。院内託児所や母子寮もその一環ですが、病院全体でママ看護師の子育てをサポートしているところも見られます。

ママ看護師を多く雇用している病院やクリニックでは、看護師同士が勤務時間をやりくりしたり、子育てをサポートし合うようにしているところもあるのです。ママ看護師が多い職場であれば育児に関する理解も深く、シングルマザーでも働きやすい環境といえるでしょう。

特に病棟勤務などの夜勤のある常勤看護師として復職したい場合は、こうした環境面が整っていることが成功の条件となるかもしれません。のような働き方も、周囲の支援がなければ難しい場合があります。


この記事のまとめ

  • 子育てを経験し、改めて看護師の仕事にやりがいを感じる人が多い
  • とは言え、復職に不安のある看護師さんも多い・・・
  • 子育てと仕事の両立は、家族の協力と職場選びが重要!
  • 無理は禁物。理解のある職場への復職を成功させましょう!



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