看護師、派遣のメリット・デメリット



看護師にも、常勤、パート、そして「派遣」という働き方があり、自身の都合や事情に合わせて派遣看護師として働くことが可能です。

ほかの業種の派遣社員と同様に、まずは派遣会社に看護師として登録し、紹介された職場で条件が合えば、契約期間中の看護業務を行います。


看護師派遣ってどんな仕事?

勤務時間や業務範囲、給与支払いや福利厚生などは派遣会社が管理し、具体的な日々の業務内容・指示については派遣先が管理するのが一般的です。看護師の派遣先としては介護分野が多い傾向にあり、訪問介護サービスや老人ホームでの看護を行います。


病院やクリニックを選ぶなら、シンプルに人手不足を補う派遣のほか、産休・育休中の看護師がいる職場でのスタッフ不足を補う「産休・育休代替派遣」、将来的に常勤社員としての入社を検討する「紹介予定派遣」といった働き方があります。

ご存知のように、2012年の派遣法改正によって看護師派遣においても日雇い派遣は禁止されています。


本業での収入もしくは世帯収入が500万円以上の場合には30日以内の日雇い派遣就業が可能になりますが、条件に当てはまらない方は、雇用期間は31日以上でかつ週に20時間以上就労しなければ派遣法違反となります。

きちんとした派遣会社であれば、当然そのように取り計らわれますが、働く看護師自身も、看護師派遣にまつわる事情をしっかり把握しておきましょう。


看護師派遣のメリット


1.派遣会社の仲介で働く

派遣の仕事は、求人紹介、労働契約やその条件交渉、給与の支払いまで、必ず派遣会社を介して行われます。派遣として働く看護師自身は、勤務先と何か交渉をこなったり契約を行う必要はありません。

このようなシステムによって事務手続きや交渉の煩わしさから解放されるだけでなく、派遣会社を、派遣先でトラブルが起きた際の「盾」と考えることも可能です。


看護師は残業が多い傾向のある職種であり、正社員として働いていると、どうしても業務が終わらずに残業をせざるを得ないという状況も珍しくありません。

しかし派遣では、契約により就業時間が厳密に決められているため、「残業を断れない」という状況がありません。派遣会社・契約を盾として契約外の業務は断ることが可能になるのです。


ただし、勤務先と看護師自身に残業についての合意があり、派遣会社も承知すれば、派遣でも残業をして手当をもらえるケースがあります。

正社員の場合は意に沿わない仕事でも断るのが難しいですが、派遣時には業務の範囲はある程度決まっているので比較的希望に合った仕事が出来ること、希望しない業務をすることになっても、契約期間が満了すれば辞めることができるのも、心強い点です。

2.時給が高め

「時給の高さ」は派遣として働くメリットのひとつです。国家資格を持つことや業務の専門性の高さから、看護師の派遣の時給相場は一般的な派遣社員よりも高めであり、だいたい2,000円程度となっています。

この時給は、常勤正社員看護師の給与を時給換算した場合とそれほど変わらない金額です。派遣にはボーナスがないので、その分は正社員よりも年収が少なくなりますし、もちろん派遣契約の内容にもよりますが、ボーナスを差し引いた程度の年収を期待することが出来ます。

3.趣味や家事の時間を確保

派遣の就業時間は契約で具体的に決められているので、仕事以外の時間を希望通りに確保できることも、派遣の看護師として働く魅力です。

この看護師の派遣業務のなかで人気が高いのが、企業内医務室や救護室に勤務する産業看護師(企業看護師)の仕事です。産業看護師は企業のタイムスケジュールに添って勤務するため、土日祝日が休日である場合が多いことや残業や夜勤がないこと等のメリットがあります。

さらに産業看護師の就業先では看護師の数は数名に限られていることが多く、看護師同士の人間関係のトラブルが少ないのも人気の理由となっています。

趣味や勉強など時間を割きたい目的があったり、育児や家事、介護の都合などがある方にとって、残業や休日出勤なく働けるメリットは大きいですね。

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4.実際に働いて勤務先を選べる

正社員やパート社員では、働いてみなければ実際の職場環境や詳細な業務内容は分からず、勤務してみてから「話が違う」と感じるケースもあり得ます。

1年単位など比較的長期の派遣求人もありますが、1ヶ月~数か月など、いわば「お試し期間」のように派遣として働くことで実際の勤務環境を知り、その後正社員を目指すといった方法も可能です。

様々な職場を経験することで、「どんな職場で働きたいのか」を確かめていくのにも役立つことでしょう。


看護師派遣のデメリット


1.仕事が安定しない

一度就職すれば、よほどことがない限り解雇されることのない正社員と異なり、派遣の看護師では、もともと契約期間が決まっています。

看護師と派遣先との合意のうえで契約更新することもありますが、派遣先の都合で更新がない場合には、次の派遣先が決まるまでいったん仕事を失うことになります。正社員と比較すれば、仕事や収入がより不安定であることは否めません。

しかし、これだけ看護師の不足している世の中ですので、仕事の中身さえ選ばなければ、いくらでも求人はあります。ただ、その場合は自分の希望条件をある程度妥協させることは必要でしょう。

2.賞与や有給休暇は基本的にない

派遣には賞与がありません。その分年収が低くなってしまううえ、有給休暇や雇用保険、社会保険の適用がないこともあります。

保障の有無は契約期間や派遣会社によりますが、社会保険に加入できない場合、国民年金や国民健康保険料を手取り給与額から確保し、支払う必要があります。

3.人間関係を築きにくい?

正社員から見れば派遣は「じきにいなくなる看護師」であり、勤務中もなかなか親しくなり切れずに疎外感を感じ、これを寂しく感じている派遣看護師もいます。

ただし、女性が多くスタッフ間のトラブルが起こりやすい看護の現場で、人間関係に深入りすることなく仕事が出来ることをメリットと考えることもできます。

疎外感は考え過ぎのこともあり、対患者として考えれば派遣も正社員も同じ看護師ですから、気の持ちようとも言えますね。

4.職場環境がよくないことも

「たまたまスタッフ不足の時期」「産休に入る看護師の替わり」といった理由があれば別ですが、単純に業務量に対する人手が足りずに派遣看護師を雇う背景には、正社員の離職率が高いというケースがあり、その場合、勤務条件や職場環境、人間関係が良好でない可能性があります。


派遣看護師には常勤正社員の看護師にはないメリット、デメリットが多数あります。もしも派遣看護師として働くことを考えている場合は、上記のようなメリット・デメリットをよく理解したうえで決断することをオススメします。

<ここまでのまとめ>

・看護師派遣のメリット
  • 派遣会社の仲介が「盾」になる
  • 時給が比較的高い
  • 自分の時間を確保できる
  • 正社員になるまえに職場を体験できる

・看護師派遣のデメリット
  • 雇用が不安定
  • 賞与なし、社会保障が得られにくい
  • 疎外感を感じることも
  • 職場環境に注意が必要


派遣看護師に関するQ&A


Q.勤務時間は選べますか?

A.大丈夫です。数日の短期間の仕事からフルタイムで週休2日という正社員と変わらない勤務時間の派遣まで、希望に合わせた紹介を受けることが可能です。具体的な希望がある場合には、忘れずに派遣会社に伝えておきましょう。

Q.看護師資格をとっていきなり派遣として働くことは可能?

A.ある程度の臨床経験を求める派遣先もありますが、実務経験がなくても就業できる派遣もあります。派遣として経験を積むことで、ある程度の実務スキルを身につけていくことは可能です。

Q.「紹介予定派遣」って何ですか?

A.派遣スタッフとして半年間など一定期間就業する間に、看護師は「常勤したい勤務先か」を、派遣先は「常勤雇用したいスタッフか」を確認します。派遣契約満了時に双方が合意すれば、派遣から正社員、もしくはパート社員へと契約の内容が切り換えられるシステムです。

現在は派遣でもいずれは正社員として働きたい方にとって、正式雇用される前に実際に働いて勤務先を選ぶことが出来る便利なシステムと言えます。

Q.派遣先でトラブルに遭ったときには?

A.派遣会社の担当コーディネーターに相談します。コーディネーターが派遣先担当者と話し合い、解決策をとります。「こんなことぐらいで・・・」と悩まずに、小さなことでも相談してみましょう。


看護師の派遣求人、選び方のコツ



忙しい医療現場で、国家資格を持った看護師を派遣雇用するとなれば、やはり「即戦力となるスキル」があるに越したことはありません。

が、派遣として働いてみたいけれど初めての職場で期待水準通りの業務をこなせるだろうか・・・と自信を持てない方もいると思います。


そんなときには、まずは契約期間が短めの派遣業務を選び、いくつかこなしてみることで、派遣が求められる役割を自分なりにつかんでみてください。

病院勤務ほどは迅速・正確な看護スキルを求められない、ツアーナースや企業看護師といった求人を選ぶのもおすすめです。


「できれば契約更新して長く働きたい」と思っていても、派遣先のスタッフ数が足りて契約が解除されてしまったり、逆に「できれば短期間でいくつか職場を体験したい」と思っていても契約が更新されて辞められないなど、自身の希望と合致しないのも困ります。

このようなミスマッチを避けるため、まずは求人を選ぶ時点で、契約更新が可能で長期で働けそうな求人なのか、短期間契約で終えられそうな求人なのかも、しっかりチェックしておきたいところです。


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気持ちよく働くためには、派遣元の信頼性や担当者との相性も重要になってきます。転職サイトのコンサルタントに、派遣看護師求人の見極めについて、アドバイスを求めてみましょう。

<看護師、派遣のメリット・デメリット まとめ>

  • 看護師でも派遣求人が選べる
  • 介護関係や病院、クリニックでの求人が多い
  • 派遣会社の仲介があるので希望通りに働ける
  • 高時給で働き方の自由度が高い
  • 仕事が安定せず各種保障が受けられない
  • 将来社員を目指す紹介予定派遣の求人も
  • 初めての派遣なら短期間やツアーナースがおすすめ
  • 契約更新の可能性の有無もチェックしておこう

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