看護師新人1年目の転職はやっぱり不利?



看護師の仕事は、体力的にも精神的にもハードです。憧れと情熱をもって就業した新人看護師も、予想以上に厳しい現場に1年未満で転職を考えるケースも少なくありません。


そうした1年目看護師にとって不安に思うことは、経験1年未満での転職は不利なのかどうか。不利だとしたら、どの位不利なのか?といったことでしょう。ここでは、就職1年目で転職・退職を悩んでいる看護師が注意すべき点について紹介します


新人看護師が転職・退職したいと思う理由

新人看護師が退職したいと思う理由は、人によりさまざまですが、一定のパターンはあります。ここでは新人看護師の転職理由の典型例を見ていきます。

結婚、転居のため転職

典型例の一つ目が、結婚・引っ越しに伴う転職です。それまで付き合っていた彼氏と結婚することになったが、その彼氏と遠距離恋愛のため、彼の家の近くまで引っ越すために病院を退職するというパターンです。

この場合、職場の仕事や人間関係に不満を持っていた訳ではないので、引っ越し後も似たような仕事(たとえば、急性期病院の病棟勤務)に転職する傾向があります。

仕事が過酷な割に給料が安い(残業代も出ない)

看護師の仕事は大変なことで有名ですし、新人看護師の場合は(大抵は)初めての社会人経験ということもあり、仕事をキツイと感じることもあるはずです。

ですが中には、そうした常識レベルを超える厳しい職場(病院)もあります。一例をあげると、以下のような感じです。

  • 新人看護師(勤務1年目)は就業時間より1時間早く出勤しなくてはいけない
  • 後片付けはすべて新人看護師の仕事でベテラン看護師は片付けもせず帰ってしまう
  • 給与が地域相場よりもぐっと安い
  • 毎日終電まぎわまで残業があるのに、残業代が1円もつけられない
  • 休みの日にも看護研究の課題をたっぷり出され、ゆっくり休むことさえできない

新人であれば先輩看護師よりも仕事量が増えるのはしょうがないとしても、中には明らかに労働基準法違反のようなルールもあります。

こうした過酷な(というかブラックな)労働環境を特に疑問に思わない新人看護師もいますが、看護学校時代の同期と情報交換した時に、いかに自分が劣悪な環境で仕事をしているか知ることになります。

そして、一気にモチベーションが下がるか、カラダか心を壊してしまい、1年もたずに辞めてしまうことになります。

(コラム)
普通、新卒のOLであれば就職する前に、勤務先の安い給料などは調べているはずです。なのになぜ、新人看護師はこんな過酷な職場(大抵は総合病院)を選んでしまったのでしょうか?

考えられる理由として奨学金があります。看護学生の時に奨学金を総合病院から借りることができますが、借りた病院が安い給料で看護師をコキ使うような病院だったりすると、看護師になってから「高い代償」を払わされることになります。

仕事についていけない

上で紹介した「仕事が過酷な割に残業代も出ない」と違い、人間関係にはある程度恵まれているし、お給料はそこそこ貰っているし、仕事の厳しさも(看護学校時代の同期に相談しても)普通らしい。

それでも、与えられた仕事をこなしきれず、教えられたことも覚えきれず、疲弊して辞めていくというパターンです。

人によっては、うらやむような職場環境であり、本人もそれは自覚しています。それだけに「自分は看護師には向いてないのでは?」と悩むようになり、一層モチベーションが落ちることにもなります。

人間関係が厳しい

仕事もそこまで大変ではないし、お給料にも不満はない。でも、人間関係の厳しさで転職するというパターンです。

一口に人間関係の悩みといっても人それぞれで、職場には男性一人のため周囲になじめず辞めた男性看護師や、先輩や同僚のいじめを苦にして辞めた看護師や、モンスター患者(モンスターペイシャント)からの恫喝に心が病んで辞める看護師など、色々です。


ストレスの原因になっている相手を無視すればすむ場合もありますが、日々の業務に直接絡んでくる相手の場合、一層ストレスが溜まるので余計にやっかいです。

プリセプターとの不仲

上の「人間関係が厳しい」でも新人看護師の場合に特に多いのが、プリセプターとの関係です。プリセプターの中には熱心な指導が行き過ぎて、新人看護師に厳しく接する方もいます。

ですが中には、不必要にネチネチ説教するプリセプター、こちらが何をやっても説教するプリセプター、飲み会への参加を強要して、飲み会の席で下品なことをしつこく聞いてくるプリセプターなど、明らかに性格に問題のある方も少なくありません。

こうしたプリセプターとの関係に疲れ果ててしまい、辞めていく新人看護師も少なくありません。


新卒1年目看護師が退職することのデメリット



上では、新人看護師が転職する理由を見てきました。やはり皆さん、退職するにはそれなりの理由があります。では、こうした新人1年目の看護師の退職・転職は、やはり不利なのでしょうか?

結論から言うと、それなりに不利です。ここでは、どういう点で不利なのか見ていきます。

「辛抱が足りない」看護師と見られるリスク

新しい転職先の担当者(たいていは上司になる方)と面接した時、相手が「この看護師は辛抱が足りない」と受け取るリスクはあります。

もちろん、あなたが1年未満で前職を辞めたのもそれなりの理由があった訳で、他の看護師も同じように耐えられなかったかもしれません。


ですが、面接担当者に見えているのは、「あなたが1年以内に前の病院を退職した」という事実だけです。前の病院でどれだけヒドイ仕打ちを受けたかを説明しても、相手に通じないリスクはあります。

もちろん、結婚・転勤などの「自分に非がない」と説明できるような理由がある場合は別ですが。

1年未満は経験としてカウントされない

たとえ数か月でも病棟勤務を経験していれば、転職先でも「経験あり」と見なしてくれるかも。こう考える方もいるかもしれません。ですが、ほとんどの採用担当者は1年未満の新人看護師を経験者とは見なしません。

もしあなたが看護師転職サイトに登録したら、求人募集の条件欄で「臨床経験3年以上」という項目を見かけることが多いはずです(2年以上のところもあります)。

これは、「看護師は3年以上の臨床経験を積むことでようやく1人前」と考えている採用担当者が多いことを表しています。


1年未満とはいえ経験ゼロではないのですが、採用担当者はそうは見ないことは転職活動の際には覚悟しておくべきです。

1年目で辞めて後悔する看護師もいる

1年未満で退職した看護師の方で時々聞くのが、「あの時辞めなければよかった」という声です。理由はいくつかありますが、一つは上でも書いた通り、1年未満の転職は不利な面があるからです。

あと2年ちょっと頑張れるかどうかで、転職市場での扱いがまるで違ってきます。


また転職してみて、それまでの職場がいかに恵まれていたかを知るという場合もあります。それまで当たり前と思っていた教育環境や福利厚生がなくなって、転職自体が失敗だったのでは?と思うパターンです。

もちろんこれも人それぞれで、「今から思うと失敗だったけど、あの時は職場から逃げることしか考えられなかった」という方もいます。

奨学金はどうする?

1年未満の転職でネックになるのが、看護学校の奨学金の返済です(奨学金を借りていない方は問題ないですが)。本気で退職を考えている方は、奨学金を借りている病院がどういう規定を取っているのか確認してください。

病院によってルールが全然違うからです。


その病院に就職することで奨学金が全額免除になるケースもあれば、1年半の勤務で半額免除、残りの1年半でもう半分も免除というケースもあれば、3年勤務で全額免除(それまでに辞めれば全額返金)というケースもあります。

もし全額返金という場合は、他から(たとえば親から)お金を借りられないか事前に確認しておくとよいでしょう。

<関連記事>
看護師の奨学金って全額を一括返済すべきなの?

病棟勤務の経験がないと、クリニックなどでも厳しいかも

1年未満で退職した新人看護師が、次の転職候補先として挙げることが多いのが、クリニックやデイケア(老人ホームや老健など)です。こうした職場は夜勤もなく、仕事も厳しくないため自分でも無理なく仕事できると考えるからです。

ですが、こうした職場も思ったほど楽ではない可能性はあります。


クリニックの場合は即戦力が求められるため、看護技術について教えてもらえることが少なく、基礎ができてないと苦労する恐れはあります。

デイケアの場合、簡単な(看護師でも許される)医療行為を求められることがありますが、その場に医者がいないので自分の責任でやらなくてはいけません。


これらの職場が大病院の病棟に較べて楽なのは確かですが、それは一定の病棟経験があってのことです。「クリニックやデイケアなら仕事が楽」なんて安易に考えて転職すると、苦労する可能性はあります。

<ここまでのまとめ>

  • 経験1年未満での転職はそれなりに不利
  • 退職理由で多いのは、人間関係や待遇面
  • 1年未満で辞めて、あとで後悔する看護師もいる
  • 奨学金を借りてる看護師は要注意
  • 新人看護師にとってクリニックが楽とは限らない


とにかく頑張る、それでもダメなら・・・



上で書いたように、1年目での看護師転職はとにかくデメリットが多いです。といって、退職を考えている位なのですから、今のまま仕事を続けていても自分が潰されてしまうでしょう。

とにかくストレスを減らして仕事を続けるための、対処法について以下で紹介します。

対処法は?

とにかく上司に相談する

直属の上司である看護師長や看護部長に、「今のままでは続けられない」と相談してみることです。あなたがどれだけ苦しい思いをしているか周囲が分かっていない場合もあるので、とりあえず相談してみることが大事です。

とはいえ、これで解決するケースは少数派で、たいていは「私の頃はもっときつかった」とか「みんな通る道だから」と精神論で励まされることが多いので、あまり期待を持つことは禁物です。でも、何もやらないよりマシなので、とりあえず相談してみましょう。

せめて4月まで頑張れないか考える

先ほども書いた通り、看護師が1人前と見なされるのは3年の病棟勤務を経てからです。とはいえ、「3年も頑張れない!」という方がほとんどでしょう。そんな方に考えていただきたいのが、「次の4月まで頑張れないか?」ということです。

4月になれば2年目になりますので、とりあえず「1年目」ではなくなります。この2年目という経歴で転職活動をできることが重要で、1年目での転職活動よりは多少有利になります。

もしあなたが1月まで働いていて、2~3月中の退職を考えているなら、せめて4月まで頑張れないか、もう一度考えてみてください。

プリセプターを変えてもらえないか相談する

プリセプターとの関係が悩みの種という新人看護師は多いです。あなたが100%の努力をして100%の成果を出しても、それでもケチをつけてくる意地悪なプリもいます。


こうなってくると悪いのはあなたではなく、プリの方です。この場合、プリの変更を上司に相談してみてもよいでしょう。もちろん、言い方は気を付ける必要がありますが(「~さんとは性格が合わないので」とか)。

かなえてもらえるかは病院の状況次第ですが、プリを変えてもらったせいで精神的に楽になったという方も意外にいます。

部署異動させてもらえないか相談する

大病院であれば、別の部署に変更してもらえないか上司に相談しましょう。あなたの悩みが仕事というより人間関係の場合、部署を変えてもらうことで解決するかもしれません。


それでもダメなら、退職しましょう!

ここまで、新人1年目の看護師の退職に伴うデメリットや、ストレスやトラブルに対する対処法を紹介しました。こうしたデメリットも理解した。自分の環境を変えるための努力も色々してみた。

それでも変えられなかったし、今の仕事を続けられそうにない。そんな新人看護師もいると思います。


そんなときは、思い切って病院を辞めてください!


もちろん、新人1年目で退職してしまっては、後の看護師としてのキャリアに傷がつくかもしれません。今後の転職も多少難しくなるかもしれません。それでも、今のまま仕事を続けていたら、ストレスでひどいうつ病になってしまうかもしれません。


重いうつ病にかかってしまうと、治るまでに5年程度かかる場合もあります。つまり、看護師として再び働けるようになるまで5年はかかるという意味です(病気が治る時期は個人差があります)。

こうなってしまっては、たとえ新人1年目のうちに辞めたしまった方が、結果として傷が浅くてすみます。加えて、なんのかんの言っても、看護師の転職は若い方が有利です。

ベテランである40代看護師の転職に較べても、有利な面は少なくありません。


家族や友達や周囲に相談して、どうしても無理だと思ったら思い切って仕事を辞めてしまってください。

新人看護師の転職活動の注意点は?



ここでは、新人1年目で病院を退職した看護師が転職活動をするにあたっての注意点を紹介します。

仕事を本当に再開できる?

新人看護師で退職した方でも、すぐに仕事を再開できる方もいれば、仕事を再開させるのに時間がかかる方もいます。病院を退職して焦る気持ちは分かりますが、また看護師としてのハードな仕事を再開できるか自問してください。

心の準備ができていないうちは、休養した方がいいでしょう。


ちなみに、長期間仕事を離れた看護師が、仕事復帰に向けてカラダ慣らしの意味も込めて、看護師の単発バイトで働くというケースがあります。

ただ看護師の単発バイトの場合、即戦力を求められます。こうした仕事をこなせるのは、ある程度の(3~4年の)病棟勤務経験がある看護師ですので、新人1年目では難しいかもしれません。

採用担当者に退職理由を正直に言う

仕事を再開できる心の準備ができたら、転職活動を始めましょう。まずは、2~3の看護師転職サイトに登録するとよいでしょう。オススメの看護師転職サイトはコチラで紹介しているので参考にしてください。

転職支援会社の担当者から連絡がありますので、今後の転職活動について相談するとよいでしょう。担当エージェントが、要望に沿った転職先を紹介してくれます。


ここで一点注意点があります。

転職先の採用担当者や転職会社のエージェントに、1年未満で退職してしまった理由でウソをつく看護師が時々いるのですが(たとえば、親の病気とか)、辞めた理由は正直に話しましょう。

ウソをついてバレたら信用をなくすということもあるのですが、もう一つ理由があります。


1年未満で病院を退職した、ある看護師は別の病院の採用面接に臨みました。この看護師はふとしたことがきっかけで、上司や先輩看護師からいじめを受けるようになり退職しました。

面接の際には、その経緯を正直に説明しました。すると担当者の方から、「それは大変だったね。よく転職を決意したね。これらは私たちと頑張ってくれるかな。しっかりサポートするから」と優しく言われました。


実際その病院では、その看護師に丁寧にサポートをして、看護師も病棟勤務でしっかり働けるようになりました。

<関連記事>
看護師の転職体験談(8):新人1年目で大学病院から総合病院への転職


先ほど、1年未満の退職は「辛抱が足りない」と見られるリスクがあると書きました。ですがもちろん、きちんと説明すれば、こちらに理解や同情を示してくれる方もいます。

同じ看護師として働くなら、こちらの事情に理解をしてくれる職場の方がよいでしょう。

つまり、退職理由を正直に話すことで、相手の反応を確認することができるのです。もし、あなたが退職理由を話して冷たい反応をするような担当者なら、その病院に転職するか、今一度考えてみてもよいかもしれません。

オススメの転職先は?

最後に、新人看護師のおすすめの転職先はどこがあるでしょうか?結論から言うと、やはり急性期の総合病院がよいと思います。

もちろん、病院への転職に不安な方もいると思いますが、今後も看護師として食べていくのであれば、病棟勤務の経験が3年程度ある方が確実に有利です。


もう少し負担の少ないクリニックや老人ホームを考えている方もいるかもしれませんが、上でも書いた通り、経験が少ない段階での転職は、かえってストレスになる恐れがあります。


それだけに、どの病院に転職するかは慎重に検討した方がいいでしょう。まず、大学病院は基本的にどこも激務なので止めた方がいいでしょう(とても勉強にはなりますが)。

日本看護協会によると、規模の大きい病院ほど新人教育も充実して、給与も比較的高い傾向にあります。ですので、まずは規模の大きい病院から探してみるとよいでしょう。


<経験1年目の新人看護師の転職のまとめ>

  • 1年未満での退職は、転職には不利
  • 環境を変えられないか、できるだけ努力しましょう!
  • 最後は、つぶれる前に無理せず退職しましょう!
  • 面接担当者には、退職理由を素直に話しましょう
  • 今後のキャリアを考えたら、転職先のオススメは大病院の病棟勤務(ただし大学病院は除く)



看護師の転職サイト、おすすめは?

看護roo!
※九州・四国はサービス対象外です

 無料登録はコチラ



マイナビ看護師

 無料登録はコチラ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です