診療報酬とは?



診療報酬とは、保険診療で行われた医療行為に対する単価として公的医療保険から病院・調剤薬局に対して支払われる報酬のことをいいます。

この診療報酬は、どのような診察や検査、医療行為を受けたのかによって細かく料金が設定されており、これには診療を行う際に必要である医療材料費や医療行為に対する対価なども含まれているのです。


患者さんは医療費として料金を支払うわけですが、その料金のうち3割(年齢や所得により異なる)を病院や調剤薬局の窓口で支払い、残りの7割は加入している国民健康保険や全国健康保険協会、健康保険組合などから支払われる形になります。

ここでは、看護師として働く上で正しく理解しておかなければならない診療報酬についてご紹介しましょう。


診療報酬の詳細



患者さんの中には診療報酬といえばすべて医師や看護師の収入に繋がるものだと思っている方もいるようです。しかし、先述したように診療報酬の中には検査や医療行為を行う際に発生する費用なども含まれています。

具体的には人件費のほか、使用した医薬品を購入するのにかかった費用、医療機器や機材費、事務所の維持費、光熱費なども含まれるわけです。


では、この料金は病院側が勝手に設定して良いのかというとそうではなく、「診療報酬点数」というものによって定められてます。

医科診療報酬点数表、歯科診療報酬点数表、調剤報酬点数表、診断群分類点数表という4種類の公定価格が設定されているということを覚えておきましょう。


まず、保険医療機関において初診を行った場合に発生する初診料というのは282点です。1点は10円と定められているため、この場合は282点×10円=2,820円ということになります。

ちなみに、患者さんはこのうちの3割負担ですよね。10円未満は四捨五入して3割となる850円を支払う形になります。


その他の診療報酬点数をいくつかご紹介しましょう。

・再診料…72点
・外来診療料…73点
・がん患者リハビリテーション料(1単位)…205点
・皮内、皮下及び筋肉内注射…20点
・神経移植術…23,520点
などなど。

同じ手術だったとしても範囲によって点数は異なる



例えば、皮膚切開術の場合、膿瘍、せつ又は蜂窩織炎等の範囲が長径10センチメートル未満であれば470点、長径10センチメートル以上20センチメートル未満であれば820点、長径20センチメートル以上であれば1,470点と定められているのです。

看護体制による診療報酬の違い

近年は、7対1看護を目指す病院が増えてきました。これは、診療報酬と深い関係があるのです。

例えば、15対1看護となっている病院の場合、1日あたりの一般病棟入院基本料というのは960点となっています。しかし、これが13対1看護だった場合には1,121点、10対1看護だった場合には1,332点となり、7対1看護を実現できている病院であれば1,591点にもなるのです。


15対1看護と7対1看護の差は631点、金額に直せば6,310円にもなります。この差はかなり大きいですよね。

だからこそ多くの病院では看護師の求人に力を入れ、できるだけ7対1看護を目指しているわけです。


診療報酬の問題点について



何を行ったら○点、という形で細かく定められているため、診療報酬というのは料金を請求する際にも非常にわかりやすく、魅力がありますよね。しかし、問題点も多数あります。

例えば、入院日数によっても診療報酬が変わるのですが、入院が180日間を超えた場合には医療機関に支払われる入院料がひと月あたり4~5万円も減額になるのです。


この減額された分、またはそれ以上の金額を患者さんから徴収しても良いと厚生労働省側が認めていることもあり、患者さんからすると180日を超えて入院した場合には突然負担額が高くなることもあります。

それから、薬局でのお薬手帳持参に関する問題も挙げられます。薬局ではお薬手帳を持って過去6ヶ月以内に来店した場合には処方せん1回につき38点(3割負担として計算すると110円)が薬剤服用歴管理指導料として加算されるのですが、来店が初めての方や前回の来店から6ヶ月以上経っている場合、そしてお薬手帳を持参しなかった場合には50点(3割負担として計算すると150円)が加算されるのです。


病院側からすればお薬手帳を持ってこられると売り上げが120円少なくなるということになるため、あえてお薬手帳の持参を促さないところもあると言われています。

また、大病院で治療を受ける場合には特別料金が発生したり、診療報酬の改正によって常時寝たきりの状態である患者さんしか訪問歯科診療の対象とならないと定められ、それまで受けていた訪問歯科診療を受けられなくなった患者さんもいるのです。


この他にも様々な問題のある診療報酬ではありますが、2年ごとに改正がされているため、今後はさらに良くなることが期待されています。

<診療報酬とは?・まとめ>

  • 診療報酬とは医療行為に対する単価
  • 診療報酬がすべて医師や看護師の報酬になるわけではない
  • 医療行為の内容などによって診療報酬点数が決められている
  • 診療報酬点数は1点あたり10円
  • 診療報酬には問題点も多い

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