看護師の転職先、回復期リハビリ病棟について



回復期リハビリ病棟とは、脳血管疾患や大腿骨骨折などで入院した患者のリハビリテーションを行なう病棟です。日頃あまり馴染みのない職場ですが、ここで働く看護師の仕事や給料はどのようなものなのでしょうか?

回復期リハビリ病棟で働く看護師に求められるスキルや適性、転職の際の注意点を含めて詳しくまとめています。


回復期リハビリ病棟で働く看護師の仕事・給料



社会の高齢化・超高齢化に伴い、リハビリテーションの重要性が再認識される時代になっています。回復期リハビリ病棟は脳疾患や大怪我などによる障害からの社会復帰や、患者のADL(日常生活活動)能力を向上させる目的で設置運営されるものです。

疾患や怪我による障害を抱えた患者のリハビリをサポートするという意味合いからも、看護師としてやりがいのある職場のひとつといえるでしょう。

回復期リハビリ病棟とは?

急性期治療後の患者のリハビリテーションを担当する病棟が回復期リハビリ病棟です。治療を目的とした一般病棟とは違い、回復期の患者の社会復帰や日常生活の能力を取り戻すことを目的とした診療を行ないます。

ただし、回復期といってもすべての患者を対象とするわけではありません。回復期リハビリ病棟が対象とするのは、以下のような回復期の患者となっています。

・脳血管疾患、脳腫瘍、急性脳炎、重症脳障害などの患者
・脊髄損傷、東部外傷、手術後に義肢装着訓練が必要な患者
・多発性神経炎、多発性硬化症、脳神経叢損傷などの患者
・大腿骨骨折、脊椎骨折、骨盤骨折、多発性骨折などの患者
・股関節やひざ関節の神経損傷、靭帯損傷後などの患者


いずれも回復期または手術後等の患者を対象としていますが、入院条件として発症から1カ月(2カ月)以内、入院期限として60日、90日、150日などの決まりが設けられています。これは回復期リハビリ病棟が生命や身体の危機的な状況を脱し、医療の専門チームが集中的にリハビリを行なう必要のある患者を対象としているためです。

回復期リハビリ病棟ではこのような患者のリハビリを行ない、仕事や家庭に戻って社会生活を営めるようにケアやサポートを行ないます。病院やセンターによっては、退院後も引き続き通院や通所、訪問などによる診療を実施しているところもあります。

看護師の主な仕事

回復期リハビリ病棟で働く看護師の主な仕事を紹介します。

・環境つくりと適応援助
病棟には生命に関わるような疾患や怪我の手術などを経て、心身共にダメージを受けている患者に対して、安心してリハビリを受けてもらうための環境つくりや適応のためのサポートを行ないます。

・看護と生活全般のサポート
病気や怪我で日常生活がままならない患者に対して、看護に加えて生活全般のサポートを行ないます。検温、採血、処置、服薬指導等のほか、洗面、更衣、トイレ、食事、入浴といった生活面の介助を担当します。

・健康状態の観察とアセスメント
患者の健康状態を観察して悪化予防を行なうとともに、回復に向けてのアセスメントを行ないます。食事は適切か、姿勢の調整は必要か、介助方法は最適か等の観察や判断を通じて、リハビリ専門スタッフと連携しながら回復を援助していきます。

・ADL能力向上の援助
看護の最終目的は患者の社会復帰やADL(日常生活活動)能力の向上です。食事やトイレ、更衣、入浴等が自分自身でできるようになるためのサポートと、看護の立場からの積極的なアセスメントを行なっていきます。

・家族や同居者への援助と指導
患者の社会復帰のために、その家族や同居者、保護者へのサポートを行ないます。外出や自宅宿泊の際の介助方法の指導、注意点の伝達等を行なうほか、看護師の立場から社会復帰に向けてのアドバイスや援助をします。

看護師の給料・年収・時給

回復期リハビリ病棟で働く看護師の給料は、初任給で約25~26万円程度というのが一般的です。年収に換算するとボーナスを含めて400万円台と考えればいいでしょう。転職組で30代看護師の平均的な給料は約28~32万円程度、年収にすると約450~500万円程度が相場です。

これは勤務先がある地域によっても多少の差がありますが、他の診療科と比べて特に高い(低い)というような大きな違いはありません。


むしろ回復期リハビリの看護師給料に関していうと、日勤のみか夜勤ありかで収入が大きく変わってきます。病棟勤務というと夜勤ありが当たり前というイメージがあるものの、回復期リハビリの職場では日勤のみの求人もあります。

急性期の患者がいない職場ですので、夜勤があったとしても少ない人数で済むことから担当する回数は少なめです。夜勤の多い勤務先の場合は手当てがプラスされて給料は約33~37万円程度、年収は約530~600万円程度になるでしょう。


パートの仕事の場合は時給1300~1700円程度というのが標準的な金額です。日勤のみで8時間勤務とすると、週5日の勤務で月収は約20~27万円程度となります。夜勤ありのパートの場合は回数にもよりますが月収30万円程度、夜勤専従の場合は1回2万2000円~2万8000円程度が目安です。

こうした金額には地域差のほか、医療機関の経営者の方針による差があります。希望の給料や時給の求人先を見つけたいなら、看護師専門の転職サイトの活用をオススメします。


回復期リハビリ病棟で求められる看護師のスキル



リハビリテーションが中心の職場と思われがちな回復期リハビリ病棟ですが、そこで働く看護師にはさまざまなスキルが求められます。この現場における看護師の役割は小さなものではありません。次に、チーム医療が重要となる回復期リハビリ病棟で、看護師に必要なスキルを挙げていきます。

1.患者に対する観察力と判断力

回復期リハビリ病棟には脳疾患から大怪我で手術を受けた患者まで、幅広い症状の患者が入院しています。急性期は過ぎたとはいえ、まだまだ十分な看護が必要な患者が多数いるという状況です。

看護師は常に患者に対するアンテナを働かせ、鋭い観察眼に基づいた対応をしなければなりません。患者の症状の変化を見抜く目と、適切な判断を下せる能力が必要となります。

2.リハビリテーションの基礎的知識

病棟にはリハビリ専門の各種療法士がおり、看護師はいつでも連携を取りながら業務を行なうことができます。しかし回復期リハビリ病棟で働く以上、基本的なリハビリテーションの知識は必ず身に付けておく必要があります。回復期の患者の看護経験がない場合は、その分野の知識も得ておく必要があるでしょう。

3.協調性とコミュニケーション能力

回復期のリハビリはチーム医療として行なわれるのが一般的です。病棟にも医師や看護師のほかに、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士、薬剤師、栄養士、医療ソーシャルワーカーなど多岐にわたるスタッフが働いています。

看護師はこれらの人々と円滑にコミュニケーションを取り、強調しながら業務を進めていく能力が要求されます。


回復期リハビリ病棟に向いている人



看護師としてのスキルだけでなく、回復期リハビリ病棟で働くには向き・不向きもあります。必ずこうであるべきという特別な条件はありませんが、回復期リハビリの仕事に向いているタイプはどんな人なのかをまとめてみました。

・患者、家族、スタッフを問わず、人とコミュニケーションを取るのが好きな人。
・回復期の患者のお世話をする仕事にやりがいや使命感、達成感を持てる人。
・患者の小さな進歩や成功を共に喜べる人、上手くいかなくても腐らない人。
・一人ひとりの患者と向き合える人、じっくり腰を据えた看護をしたい人。
・チーム医療に興味があり、力を合わせて何かを成し遂げる仕事が好きな人。
・細かいことに良く気付く人、小さな変化を見逃さない観察力を持っている人。

回復期リハビリ病棟の看護は、単に病気や怪我を治すという目的だけで行なうものではありません。患者の社会復帰やADL(日常生活活動)能力の向上を目指すと同時に、一人ひとりの患者が「その人らしく生きられる」ような環境つくりや心身の回復を手助けするのも看護師の役割のひとつです。


回復期リハビリ病棟へ転職する際の注意点について



看護師が回復期リハビリ病棟に転職する場合、気をつけておきたい注意点です。

根気と体力が必要な仕事

回復期の患者のリハビリは簡単な仕事ではありません。なかなか進まないリハビルに苛立つのではなく、コツコツとサポートしていく根気が求められます。またリハビリ病棟には男性看護師が多いことからも分かるように、体の利かない患者の介助には体力も必要です。

医療や看護の進歩から遠ざかる

すべての回復期リハビリ病棟がそうとは限らないものの、内科や外科などの診療科で経験できるような医療や看護の進歩から遠ざかってしまう可能性もあります。常に新しい進化に触れていたいという人には向いていない一面もあります。

予想以上に忙しい現場もある

回復期リハビリ病棟の職場は比較的ラクといわれています。緊急を要する患者が少ないことが一因ですが、一方では生活のさまざまな面で介助が必要な患者もいます。夜中のトイレでナースコールが鳴って休む暇もないという勤務先もあるので注意してください。

高給が期待できないケースも

専門性の高い回復期リハビリ病棟ですが、給料の面では必ずしも条件が良いとは限りません。やりがいのある仕事である反面、期待したほどの収入が得られない勤務先もあることは知っておきましょう。

リハビリテーション専門病院もある

総合病院内に回復期リハビリ病棟を設けているケースだけでなく、リハビリテーション専門の病院や医療センターもあります。こうした医療機関では回復期やリハビリについて深く学ことができるものの、他の診療科への異動はできないので注意が必要です。


回復期リハビリ病棟は医療チームと力を合わせ、患者本人や家族と寄り添いながら充実した仕事ができる職場です。転職を考えている場合は、この仕事や求人先に関する豊富な情報を持っている看護師専門の転職サイトに相談してみることをオススメします。

<看護師の求人先:回復期リハビリ病棟のまとめ>

  • 疾患や怪我の回復期にある患者を看護する職場
  • 脳血管疾患や脊髄損傷などの回復期の患者が対象となる
  • 患者の社会復帰や日常生活の活動向上をサポート
  • 看護師には観察力や判断力が求められる
  • チーム医療が中心なのでコミュニケーション力も必要
  • 根気や体力があり、患者と寄り添える人が向いている

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