中国人看護師が急増している?



日本の医療機関では、慢性的・全国的な看護師不足が見受けられます。この不足している人材を補充するため、外国からの看護師導入が以前から進められていて、なかでも近年注目されるのが中国人看護師の増加です。

日本の病院で中国人看護師が急増したのにはどのような経緯があるのか、その理由や、中国人看護師が日本の医療機関で働くようになるまでの道のり、実情や見通しについて知っておきましょう。


中国人看護師が増えている?その理由

日本で看護師が不足する理由

2011年時点で、日本全国の医療機関で必要とされている看護職員1,541,000人に対し、就労する看護職員は1,495,600人と、実に45,000人の職員が不足しています。これは看護師だけでなく准看護師・助産師を含めた数字ですが、全体として看護師数が大きく不足しているということが分かります。

このような看護師不足には、少子高齢化によって患者数が増加しているのに働き手が減ってきていること、看護師の仕事は夜勤があったり、心身ともに疲労度が高めで負担が大きいなどの理由から、看護師免許を持っていても看護師として働かない人が少なくないことなどが影響していると考えられます。


外国人看護師受入れの難航



日本人看護師の不足を補うために外国人看護師を受け入れる活動が、これまでも行われてきました。当初はEPA(経済連携協定)に基づき、インドネシアやフィリピンからの外国籍看護師の受け入れが試みられました。

しかし、受け入れを行ったインドネシア・フィリピンからの看護師候補生311人のうち、2012年の日本の看護師国家試験に合格したのはわずか9.6%、30名だったのです。2011年は11.3%の合格率で、これをさらに下回ったことになります。この時の日本人受験生の合格率が88.6%ですから、外国籍看護師の合格率の低さが際立ちます。


合格率を押し下げている一番の要因が「漢字」を学ぶ難しさです。例えば褥瘡(じょくそう)や吐瀉物(としゃぶつ)など、医学用語は日本人でも難しいものが多いのに、日本語にも漢字にもなじみがない外国人にとってはさらに難解となり、習得の妨げとなっています。

試験では、外国人向けに難解な用語を分かりやすく言い換える、全漢字に振り仮名をつける、疾病名は英語を併記する、試験時間を延長するといった待遇をしたものの、合格率を上げることは出来なかったのです。


漢字を常用している中国人が有利

非漢字圏出身の外国人が日本の看護師試験に合格するのは難しいということが分かり、そこで注目されたのが、漢字を日常的に使う中国人看護師です。

現在では日本のNPO法人による「語学留学型就職支援事業」により、現地大学で日本語ができる200人近い看護師を受け入れ、日本での看護師免許取得後に国内の病院へと紹介・入職しています。国家試験合格率は、日本人の合格率と大差ないものとなっています。


中国人看護師が働くまでの流れと実情


中国人看護師が日本の看護師になるまで

NPO法人と提携関係を持つ中国医系大学の一部では日本語クラスを開講しています。そこで日本での労働に興味がある優秀な学生を選抜します。

大学の卒業後日本へ留学し、事前に決定していた病院で看護助手として働きつつ日本語専門学校へ通い、語学力を強化します。留学の条件は、中国での看護師有資格者であること、日本語能力試験N2以上であることです。

来日して2年以内に国家試験に合格すること、国家試験受験までに日本語能力試験の最上位であるN1に合格することが条件です。日本での看護師免許を取得すれば、そのまま日本の病院で働くことができます。

病院側のサポート

留学中の生活・学習環境、国家試験合格を手厚くサポートしているのは日本の病院です。NPO法人は病院の資金援助によって運営されていて、2年間の日本語専門学校の学費・生活費(150~200万円程度)も病院側が負担します。

病院の看護師寮に住みながら日本語学校に通い、看護助手としての勤務時には日本人看護師が指導につきます。

働きながら学べる場と必要な資金の提供があり、試験に合格して入職後には日本人看護師と変わらない400万円前後の年収と社会的地位の安定が見込めるというのは、中国人看護師にとって魅力的な条件といえます。

将来的な見通し

病院側はこのようなサポートを継続していく予定であり、「外国人看護師を導入して将来の看護師不足に対応する計画がある」と回答した病院が7割にのぼる、という報告があります。

厚生労働省の推計では、2025年の日本の看護師・介護福祉士不足は90万人以上になると予想され、看護職員の大半は外国籍の看護師になるのでは、と言われています。


中国人看護師の受け入れの主体はNPOであり、国としては「日本の国家試験に合格していれば、中国人看護師に対しても分け隔てすることはない」とコメントするに留まっています。

ただし今後諸外国でも高齢化が進行したとき、優秀な外国人看護師の争奪戦となるのでは・・・という見方があり、国として外国人看護師導入の「制度化」が必要なのでは、という声もあります。

日本の病院で、日本人看護師とともに多くの中国人看護師が活躍する時代は、そう遠くないかもしれません。

<中国人看護師が急増している?・まとめ>

  • 高齢化や激務から全国的に看護職員数が不足している
  • 漢字を使わない外国人では日本の試験合格が難しい
  • 漢字を常用する中国人看護師が注目され受入れが進んでいる
  • 働きながら日本語力を磨き、国家試験に合格すれば就労可能
  • 病院側が資金ほかの手厚いサポートを用意している
  • 今後も中国人看護師の受け入れが増加する見通し


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コメント (1)

  1. 中国人看護師の件、うちは中国の洛陽で日本留学をやって、今 うちの提携関係の大学は河南科技大学、洛陽看護婦専門学校 と洛陽マサージ学院三つ、看護婦関係の留学のことを相談したい
    18538809633

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