看護師、妊娠中の夜勤について



看護師のあいだで「妊娠中に夜勤を続けていると流産の危険性がある」とする説があります。実際の現場でも妊娠中の夜勤で切迫流産をしたという例は数多く見られるようです。

妊娠中の夜勤にはリスクがあるのか、もし夜勤をするとしたらどんな点に注意すべきか、妊娠したらいつまで働けるのか等の問題について詳しく説明していきます。


看護師、妊娠中の夜勤はNG?



妊娠中の夜勤は流産の原因になるというのは、働く看護師のなかではよく言われることです。看護の現場でも妊娠中に夜勤を続けて流産したり、切迫流産(流産寸前の状態)に陥ったという看護師も少なくありません。ほかにも早産や出血、悪阻、貧血、むくみ、蛋白尿などを経験した看護師もいます。

妊娠時にはどんなリスクがあるの?

国内の病院や診療所などで働く労働者の組合による調査では、妊娠時の看護職員の状況は次のような結果となっています。

  • 悪阻がひどい 37.5%
  • 切迫流産(早産) 29.8%
  • 順調 27.1%
  • 貧血 24.3%
  • むくみ 22.6%
  • 出血 14.7%
  • 尿蛋白 12.2%
  • 流産 9.2%
  • 早産 4.2%
  • 妊娠高血圧症 3.9%

(※出所:「看護職員の労働実態調査 2014年」日本医療労働組合連合会)


この調査で注目したいのが切迫流産(早産)が全体の約3割弱、流産が約1割弱、早産が約0.5割弱あったという結果です。単なる妊娠中の不調だけでなく、流産や早産の危険性があるのは大きな問題と言わざるを得ないでしょう。

夜勤と妊娠時リスクの関係性は?



調査に参加した看護職員のうち約3分の1は夜勤免除の支援を受けていましたが、残りの3分の2は夜勤をしていたという状況でした。夜勤を免除されていなかった看護職員のうち、何らかのサポートを受けていた人の割合は「時間外勤務の免除」(9.0%)、「時差通勤」(4.8%)、「つわり休暇」(7.5%)、「通院休暇」(14.5%)、「軽度な仕事への配置転換」(16.6%)となっています。

同じ日本医労連の調査では、夜勤免除のなかった看護職員のうち病棟勤務の人の夜勤日数は3交代制で月に8.12日、2交代制で月に4.58回に昇っています。


夜勤を免除されていた人でも、現場の人手不足からやむを得ず夜勤をしていた例もあり、かなりのハードワークと感じた人もいるかもしれません。

医学的にいえば、夜勤と妊娠の不調や流産(早産)との関係はまだ解明されていません。海外の研究では夜勤のみで働いている女性は、流産の危険性が約29%増加するとされています。

ただし、夜勤専任ではなくシフトで夜勤をしている女性に関しては、そうしたリスクが発見されていないそうです。夜勤と妊娠時のリスクは、シフト勤務に関する限り明確な研究結果は出ていないということになります。

妊娠中の看護師の夜勤はNGなのか?

こうした調査結果から妊娠中の夜勤はNGかというと、必ずしもすべての人に当てはまるとは限らないということになります。妊娠前と同様に夜勤をしていても、特に何の問題もなかったという看護師もたくさんいます。妊娠には個人差がありますので、現状では夜勤イコール流産や早産のリスクがあるとは言い切れないわけです。

ただし、日本医労連の調査では、妊娠時の看護職員の切迫流産(早産)の割合は29.8%と、全体の約3割近くにまで達しています。一般の働く女性の妊娠時に切迫流産が起こる確率は17%程度ですから、1.7倍以上という大きな差があることは事実です。

看護師が妊娠中に夜勤をするのはNGとまでは言えませんが、夜勤専門の勤務はできるだけ避けるべきで、体調によっては夜勤シフトも避けたほうがよいといえるでしょう。


看護師、妊娠中の夜勤で注意すべきこと



妊娠中は夜勤を控えるべきだと言えますが、人手不足でどうしても入らざるを得ない場合もありますよね。そんな時はどうすれば良いのでしょうか。

妊娠中の看護師が夜勤で注意すべきことは次のようになります。


(1) 夜勤専任は避ける
日勤なしで夜勤専任の場合、妊娠中に流産する危険性が30%増になるといわれています。このリスクを理解したうえで、できる限り夜勤専任の仕事は避けるようにしてください。日勤のみの勤務が可能であれば、変更してもらうよう相談してみましょう。


(2) 夜勤シフトは体調次第
夜勤シフトによって妊娠中のトラブルが起こるという研究結果はまだ出ていません。しかし、貧血やむくみ、悪阻、出血などが起こりやすくなったり、切迫流産(早産)の危険性があるというデータもあります。夜勤シフトを避けられる職場が望ましいですが、それが難しいようなら自分の体調を見ながら無理をしない範囲で仕事をすることが大切です。


(3) ストレスに気を付ける
妊娠中は体調のことばかり考えがちですが、実は精神的なストレスにも注意が必要です。ストレスはお腹の赤ちゃんに悪影響を与えることがあります。

「忙しくてイライラする」「緊張が必要な業務でプレッシャーがある」「体調が優れないのに働かなければならない」等、ストレスを抱え込み過ぎないように気を付けてください。


(4) 周囲に理解してもらう
看護師が妊娠中でも仕事を続けるには周囲の理解が重要なポイントとなります。独身スタッフや男性スタッフのなかには妊娠についての知識があまりない人もいます。事前に状況を説明したり、妊婦に関する知識を伝えて理解を得ておくようにしましょう。

妊娠や出産経験のあるママ看護師がいるようなら、日頃からコミュニケーションを取ってサポートしてもらうのも良い方法です。もし周囲からの理解が得られないような職場であれば、転職を検討してみてもいいかもしれません。


(5) 自己管理が最も重要
妊娠中も夜勤をしなければならない場合、最も重要となるのが自己管理です。冷えや長時間の立ち仕事は悪阻やお腹の張り、むくみ、腰痛、便秘、難産の原因になります。

体の大きい患者を抱き起こしたり、中腰でオムツ交換をするなどの作業は、体に負担を掛ける可能性があるので注意が必要です。少しでも体調に異変を感じたら、無理をせず休憩を取ったり医師に診てもらうようにしてください。忙しい夜勤の職場で周囲の状況に流されて無理をし、悪い結果になったとしたら後悔するのは自分自身です。


妊娠中の看護師はいつまで働くか



妊娠中の女性の体力や体調には個人差があり、いつまで働くか迷うこともあるかもしれません。労働基準法という法律では、出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から産前休暇を取れると定めています。

産前休暇を取得するためには妊婦本人が職場に休暇を請求する必要がありますが、請求された病院などの事業主は断ったり、それを理由として解雇や不当な扱いをすることはできません。また、出産予定日が延びてしまったという場合でも休暇として認められますので心配なく休むことができます。


産前休暇の取り方は妊婦本人の判断次第です。法律で決められている6週間(14週間)前から休むこともできますし、本人の判断次第で短縮して3週間前や2週間前から休むというやり方もできます。出産予定日の直前まで働くという人もいますので、体調などを考慮したうえで決めるようにしましょう。

出産を経験したママ看護師の例でいえば「しっかり6週間前から休んだ」という人もいれば、「産前休暇を取らずギリギリまで働いた」という人もいます。また「日勤専門にしてもらって2週間前まで働いた」「デスクワークに変えてもらい1週間前まで勤務した」などの工夫をしたケースもあるそうです。


産前休暇中の給与については法律の定めがなく、事業主の方針によって支給の有無が変わってきます。つまり病院やクリニックの内部規定で支給されるかどうかが違うわけですが、現状では産休期間の給与は支払わないというケースが大多数です。その点については事前に調べておく必要があるでしょう。

この記事のまとめ

  • 妊娠中の無理な仕事は流産のリスクを高める
  • なるべくなら看護師の夜勤は控えたいところ
  • やむを得ず夜勤を行う場合は周囲の協力を得ることが大切!
  • 赤ちゃんの為にも自身の体の為にも、産前休暇を上手に利用しよう!



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