30代からの看護師の転職、注意点は？

看護師は一般のサラリーマンに較べて転職しやすいのはご存じの通りですが、年代によって転職のしやすさや、転職の意味合いも変わってきます。ここでは、30代の看護師が転職するにあたっての注意点について説明します。

1 30代の転職状況ってどうなの？
- 1.1 20代看護師はどう？
- 1.2 30代看護師はどう？
2 30代看護師の転職は、個人差が大きい
3 転職成功の秘訣は、目的をハッキリさせる
4 30代看護師の転職のパターン
5 転職エージェントは大事、でも最後に頼れるのは自分

30代の転職状況ってどうなの？

一般論で言えば、30代での転職は20代に較べてやや不利な面もありますが、それでも転職しやすいです。場合によっては、20代の時より有利な転職（たとえば大病院への転職）などができる場合もあります。では、20代と30代で何が違うのでしょうか？

20代看護師はどう？

20代看護師が転職で有利なのは、体力と学習能力があるからです。まず体力についてですが、病院看護師は夜勤勤務やハードワークで多くの体力が要求されます。そうした激務に耐えられる20代の体力は、病院からすると魅力的です。

次に学習能力についてですが、年齢を取るにしたがって少しずつ学習能力が落ちていくことが知られています（もちろん、個人差はあります）。たとえば、20代看護師が１日掛かって覚えることを、40代看護師は2日掛かるかもしれません。

こうした、吸収（学習）能力の高さは20代看護師の強みでして、20代が転職で有利な理由でもあります。

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30代看護師はどう？

一方で30代看護師は、当然ですが体力や学習能力で20代にやや劣ります（個人差はあります）。夜勤やハードワークはこなせるでしょうが、20代の頃に較べて体力的にキツイと感じる場面が増えているはずです。ですが、30代看護師にも20代看護師にはない魅力があります。それは経験です。

20代の頃にどんな経験をしたかによって、転職先でかなり重宝されることも少なくありません。過去の配属先として評価されるのは病棟（特に外科）、救急救命、ＩＣＵなどです。経験値次第では、有名な大学病院への転職も可能です。こうした病院への転職は、経験の浅い20代看護師でもまず無理です。

以上は病院への転職の話ですが、転職先さえこだわらなければ、30代看護師ならどこでも重宝されます。介護施設や訪問介護などでしたら、引く手あまたです。繰り返しになりますが、30代の看護師転職は基本的には有利です。

30代看護師の転職は、個人差が大きい

上では、30代看護師の転職はしやすいという話をしました。ですが、これはあくまで一般論の話です。個別のケースで見ていくと、同じ30代の転職でも人によって、有利・不利がハッキリと出ます。

30代の転職で有利・不利が分かれる理由の一つは、先ほども挙げた前職での経験です。特に大事なのは臨床経験で、たとえ前職が病院勤務でも３年以上の臨床経験がないと、プラスの評価は得づらいです。

加えて最近では30代になってから看護師になった「新米看護師」が増えてきました。経験の浅い30代看護師は、転職である程度の苦戦は覚悟しておく必要があります。

30代の有利・不利がハッキリ分かれるもう一つの理由は、転職回数です。20代でもそれなりの転職回数の方もいますが、30代になると勤務経験が長くなる分、極端な転職回数の方が時々いらっしゃいます。

転職回数の目安としてよく言われるのは、一つの勤務先に３年です。12年の看護師経験があって転職回数が4回程度でしたら問題ありませんが、10年の看護師経験で転職回数が10回なら黄色信号です。

転職回数が多いと面接の際に必ず担当者から突っ込まれます。どういう答え方をするかは、転職エージェントとよく相談しておいた方がよいでしょう。

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転職成功の秘訣は、目的をハッキリさせる

ここでは、30代看護師が転職を成功させるためのポイントについて紹介します。それは一言で言うと、

転職の目的をハッキリさせること

に尽きます。「何を当たり前のことを？」と思うかもしれませんが、もう少しお付き合いください。例えばですけど、結婚・出産を機に退職した30代女性看護師がいるとします。育児が一段落したのを機に、育児・家事と両立できる看護師としての仕事を探し始めます。

当初は、残業の少ない職場・仕事の負担が少ない職場を中心に探していました。

ところが、非常に好条件の（つまりお給料が良い）職場を見つけます。その病院は多少ハードらしいのですが、その看護師の前職の経験もバリバリ活かせそうです。病院の担当者も、女性看護師の過去の経験を評価してくれますし、何よりお給料が良ければ家計も助かります（旦那さんのお給料が最近少し下がりました）。

こういった、いくつも条件が重なり、その病院に転職を決めました。ところがその病院の勤務は相当ハードで、家事・育児との両立でカラダを壊してしまい、半年経たずに辞めてしまいました。さて、この転職のどこに間違いがあったのでしょうか？

それは、給与条件の良さに目がくらんで、「仕事と家庭を両立できる職場を探す」という当初の目的を忘れてしまったことです。負担の少ない職場を選んでいれば、（お給料はそれほどなかったかもしれませんが）カラダを壊すこともなく働き続けられていたでしょう。

勘違いして欲しくないのですが、転職の際に給与を重視することが間違いという訳ではありません。給与に不満があり転職活動をする人であれば、それもよいと思います。後でも触れますが、家庭を重視しながらも、お給料のことも考えなくてはいけない場合もあるでしょう。

ですが、目先の求人条件だけに目を奪われて、自分の本来の転職の目的を忘れてしまうと、後々後悔することになります。ですので、繰り返しになりますが、転職活動を始める前に「転職の目的をハッキリさせること」は、必ず行ってください。

30代看護師の転職のパターン

ここでは、30代の看護師転職でよくあるパターンについて紹介します。

1.夫の転勤が原因の転職

一般に転職は前職での不満が原因であることが多いですが、旦那が転勤に付き添うことになり、転勤先の職場に転職するというパターンです。前職と同規模の病院に転職する方もいる一方、仕事のペースを落としたいということでクリニックでパート勤務を選ぶ方もいます。ご自身のキャリアプランを考えた上で決めるとよいでしょう。

注意点としては、都市部から地方への転勤の場合、看護師の給料は確実に下がるということです。ですので、転勤前に都市部にいて常勤でバリバリ働いていた方が、地方のクリニックでパートとして働いたらビックリする位、給料が下がることは覚悟した方がいいでしょう。

また、その転勤がどの程度続く見込みなのかも、ある程度頭に入れておくとよいでしょう。

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2.給料アップを目的に転職

看護師は一般のサラリーマンに較べて給料にシビアな方が多いです。給料アップを目的にした（もしくは、給料アップの優先順位の高い）看護師転職はかなり多いです。以下は、３０代看護師の平均年収を、年代が近い世代と比較した表です（データのソースは、職種別民間給与実態調査）

＜看護師の年代別平均年収＞

	年収（万円）	うち賞与（万円）
20代後半	453.8	75.9
30代前半	461.4	76.1
30代後半	474.0	78.3
40代前半	497.5	85.9

30代の年収は460万～470万であることが分かります。これは全国平均の数字ですので、地域によって違いはあります。先ほども書いた通り、地方よりも都市部の方が年収が高い傾向にあります。加えて、いくら年収が高くても人間関係が最悪な職場なら誰も働きたくないでしょう。

そうは言っても、年収も転職を考える上で重要な要素です。もし今のご自身の年収が表と比較してあまりに低すぎるなら、一度転職を検討してみてもよいかもしれません。

3.スキルアップ・キャリアアップを目的に転職する

スキルアップは文字通り、看護師としての技術を高めるための転職です。病院によってオペ技術に強い病院、循環器に強い病院、外科に強い病院など、得意分野が違います。もし自分の専門スキルを伸ばしたいのであれば、そうした病院に転職するのも手です。

すでに培った技術があるのですから、転職先の病院としても大歓迎のはずです。どんな病院がどんな技術に強いかは、周りの同僚や転職エージェントに確認するとよいでしょう。

キャリアアップは２つの意味合いがあります。一つはスキルアップの意味にも近いのですが、認定看護師や専門看護師といった特別資格を目指すことです。認定看護師・専門看護師の取得へのサポート度合は、病院によって異なります。もし資格取得を真剣に考えているなら、そうした支援のある病院への転職をオススメします。

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もう一つのキャリアアップは、文字通り「出世」です。30代看護師のねらい目は「主任看護師」です。主任看護師になれば、お給料も上がるし責任も増すし、何より次への出世の道（看護師長）が開かれます。もし今の勤務先で人間関係などの問題で主任看護師になるのが難しそうなら、別の病院へ転職するのも手です。

ただし注意点もあります。通常、「主任看護師を募集します」という形で求人を掛ける病院はありません。これは、主任看護師の募集を大々的に掛けると病院内の若手看護師から反発を喰らうからです。ただ一方で、主任看護師クラスの人材を求める病院が多いのも事実です。

ですので、主任看護師になりたくて転職するなら、「１～２年後、主任看護師として活躍してくれることを期待してます」という含みを持っている求人案件に応募するといいでしょう。もちろんこれは求人情報には書いてないことで、転職エージェントに確認するしかありません。

4.家庭と仕事を両立させる転職

子育てしながら働くママさん看護師にとっては、家庭と両立しやすい職場であることが一番のはずです。ですが、どこに転職するかを考えるにあたっては、「無理のない範囲でどの位、稼ぎたいか」も併せて考えるといいでしょう。というのは、看護師は勤務先によってお給料がかなり違ってくるのが普通だからです。

もし旦那さんの稼ぎがそれなりにあるなら、パート勤務で１日数時間働くとか、週に２～３日のバイト勤務などもよいでしょう。ですが、看護師は基本給与があまり高くないので、非常勤だと家計の助けにならないことが多いです。

逆に、旦那さんの稼ぎがイマイチなので目いっぱい働く必要があるということなら、常勤の勤務も検討する必要があるでしょう。結局、看護師のお給料がいいのは夜勤勤務があればこそです。最近では、育児に理解のある病院も増えてきましたので、そうした病院を中心に探すとよいでしょう。

とはいっても、この辺のさじ加減は難しいところです。転職エージェントと相談しながら、自分の環境にあった職場を探すとよいでしょう。

転職エージェントは大事、でも最後に頼れるのは自分

今まで見てきた通り30代の看護師転職は、それまでの経験や過去の転職回数などで有利・不利がハッキリ出やすい年代です。少しでも有利に転職活動を進めるなら、転職支援サイトに登録して転職エージェントの協力を得る方が確実に有利です。ただし、頼りすぎるのも注意です。

まず、転職エージェントの力量は（当然ですが）人によって違います。頼りになる方もいれば、そうでない方もいます。確実に実力のある転職エージェントを担当につけてもらう方法は存在しないのですが、大手の転職支援会社の方がエージェントの質が高いのは確かです。

また、転職エージェントの中には（少数ですが）誠実でない方もいます。転職支援サービスは転職に成功させるほど、転職先から成果報酬が入ってきますので、その看護師にとって一番と思えないような不人気の転職先を紹介する方もいます。

こうしたことあるので、１つの転職支援会社だけに頼るのはオススメしません。といって沢山の支援会社に登録すると、転職エージェントとのやりとりが面倒くさくなるので、登録社数は３社程度に留めた方がいいでしょう。

加えて、繰り返しになりますが転職エージェントを頼りにし過ぎないことです。「転職エージェントを上手く利用してやろう。でも最後に決めるのは自分なんだ」くらいの気持ちでいてください。