准看護師は廃止されるって本当?



准看護師が廃止になる。医療現場で働く看護師の方であれば周知の話ですが、何年も前から囁かれている話であるにも関わらず、実施される気配がないというのが実情です。

しかし、神奈川県が県立衛生看護専門学校において、平成25年4月を最後に准看護師養成のための入学者募集を停止し、以降はその枠を正看護師養成へ移行することを発表し看護師業界に衝撃を与えました。


このことをきっかけに、准看護師廃止に向けての流れを感じるという看護師の方が増えてきましたが、本当に准看護師は廃止されてしまうのでしょうか?


准看護師廃止のウワサ



准看護師廃止のウワサがでることになったきっかけは、平成8年に明らかにされた国の「准看護婦問題調査検討会報告書」によるとされています。この報告書では、准看護師の養成に関して、21世紀初頭の早い段階を目処に看護婦養成制度との統合に努める」と提言されています。

しかし、この提言は現在まで実現しておらず、准看護師廃止についての話は今なお「ウワサ」の行きの留まっているというのが現状です。


では、そもそも准看護師を廃止すべきという話は、一体どこから出てきた者なのでしょうか?

先に神奈川県が准看護師の養成を停止している話をご紹介しましたが、その神奈川県で出された准看護師養成の「あり方検討会」の報告では、廃止すべきとする理由に以下のようなものを挙げています。

  • 2年間の准看護師養成課程の教育内容では、現状の医療の専門化・高度化に対応できない
  • 准看護師養成課程のカリキュラムでは実践力を養うのが困難
  • 教員や実習施設の確保が難しく、現行の准看護師養成は限界を迎えている

  • これらは准看護師の養成に関するものですが、他にも次のような理由から廃止を主張する声も少なくありません。

  • 准看護師は戦後の看護師不足の際に暫定に作った資格であり、その役割を終えている。
  • 有能な人材であっても准看だと言うだけで昇進・昇任ができない
  • 医療系の職種は、その人の能力を国が保障するために国家資格へ統一する必要がある

  • 様々な理由や思惑があって准看護師廃止論が出ている訳ですが、現在に至るまで実現しておらず、今後も廃止に向けて国単位で動くかどうかも不明瞭です。

    日本看護協会は2000年に准看護師廃止のための総決起集会を開き、約200万人もの署名を集めています。准看護師の廃止は、日本看護協会にとっていわば悲願ともいえるものですが、日本医師会などの反発に合い、なかなか実現に進まないというのが現状のようです。


    准看護師廃止のウワサ、実際のところはどうなの?



    准看護師制度については、廃止とも継続とも明確に発表されておらず、何とも曖昧な状況にあります。しかしながら、実はこの数年で准看護師を目指す人が増加傾向にある、自民党議員が准看護師養成促進を目的とした連盟を発足するなど、色々な動きがでてきています。

    准看護師を目指す人が増えている

    准看護師廃止論が周知されるようになってかなりの時間が経ちます。そのため、看護師を目指す方の多くが正看護師を選び、准看護師志望者は減るのではないかというのが大方の見方です。

    しかし、日本が長らく経済不況・就職難の状況に合ったことから、この数年、正看護師よりも短期間で免許を取得できる准看護師を目指す人が増えたとされています。


    准看護師養成施設は減少傾向にありますが、それでも全国の受け入れ枠は約1万程度あり、リーマンショック前の応募者は定員枠の1.5~2倍だったとされています。しかし、2012年現在は応募者が殺到し、応募者は3倍以上にも膨れあがったという事実があります。

    実は、応募者が増えた原因には、40代以上の女性やシングルマザー、大卒で他業種に就いていた人などの応募が急増したことにあります。准看護師は正看護師と比較すると給与面で一歩及びませんが、他の職種と比較すると給与水準は決して悪くありません。このことが、応募者急増の一因であることは確かでしょう。

    また、不況にプラスして、急激な少子高齢化社会の進行によって、医療や福祉への関心が高まりを見せ、医療現場で働きたいという女性が増加したことも関係していると言われています。

    自民党議員が准看護師養成のために動いている

    廃止論が出ているにも関わらず、2014年6月に自民党国会議員による「地域を支える看護職員養成促進議員連盟(会長:川崎二郎衆議院議員)」が発足しています。

    この連盟設立の目的は、地域で働く看護職員をいかに養成し増やしているか、その方針を検討することにあります。その解決手段のひとつとして挙げられているのが、准看護師の養成促進だということです。


    団塊世代が後期高齢者となる2025年は、医療・看護分野では節目の年だとされていますが、この年までに看護師は200万人が必要で、今後10年で50万人の増員が求められます。そこで注目されたのが2年制の准看護師の養成というわけです。

    連盟では、急性期病院で働く看護師と介護現場を中心に働く准看護師の棲み分けを提案しており、准看護師の養成と制度の継続をするべきだと訴えています。


    上で挙げたのはほんの一例ですが、准看護師の継続を求める声や、准看護師を目指す人の割合などは、一般の方が思っている以上に高いというのが実際のところです。


    現実問題、准看護師を廃止するのは難しい・・・その理由は?



    医療業界の人手不足は深刻な上に慢性化しており、一朝一夕の対策ではとてもではありませんが問題解消はできません。さらに今後高齢化がますます進んでいくことが確実な日本においては、看護師不足の問題が解決するのは非常に困難だと考えられます。

    このような状態にあることから、医療業界以外からも准看護師廃止に反対する声が出始めており、廃止推進の逆風となっています。特に老人介護施設などからは、介護の現場では最先端の医療現場で必要とされる知識やスキルをもった正看護師よりも、老人や子供と触れ合う機会が多くコミュニケーション力に優れた准看護師の方が望ましい、といった声も聞かれます。


    また、准看護師廃止に関しては医師会と日本看護協会の間に対立があるのも見逃せません。日本看護協会は、准看護師を廃止して資格を統一して看護師の地位と賃金の上昇を悲願としていますが、診療所や中小病院の意思が中心となって組織される日本医師会は廃止に強硬に反対姿勢を示しています。

    大病院に看護師を独占され、自力で看護師の確保が難しい診療所や中小病院にとっては、現場の即戦力である上に正看護師よりも給与水準が低めの准看護師は、なくてはならない存在です。それだけに、准看護師制度の廃止は日本医師会の医師にとっては、いわば死活問題とも言えるのです。


    准看護師の需要は依然として高いままである



    看護師不足が深刻な日本においては、当然准看護師の需要は非常に高い状況となっています。最近は、企業や学校、自治体や介護施設など、医療施設以外から求められるケースも急増しています。特に介護施設などでは、高齢者の増加にともなってニーズが急増しています。

    こういった施設では医療現場のように、高度な専門医療や治療に関する知識や経験などは必要とされません。かえって、医療の第一線で患者さんと触れ合う機会が多い准看護師さんこそ適任と考える施設も多く、需要はどんどん高まりを見せています。


    准看護師制度は、戦後の看護師不足を暫定的に解消するためにできた制度であり、医師や看護師の指示のもとに職務にあたるものである。こうした制度は現在にはそぐわないという声もあります。

    しかし、実際医療の最前線で活躍する看護師の多くが准看護師であり、医療現場のみならず介護分野や保育分野、学校や企業などからの需要が高まりを見せていることは確かです。


    そのことを示すかのように、看護師専門の転職サイトなどでも准看護師の求人案件は常に多数確認できます。准看護師制度がその役割を終えたという考え自体、ある意味時代に即していないと言えるかもしれません。

    この記事のまとめ

    • 准看護師の新規養成を停止している学校もある。
    • しかし、准看護師を廃止できない理由がある。
    • 准看護師の需要は高く、今後も活躍が期待されている!


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