産業看護師と産業保健師ってどう違うの?



「産業看護師」と「産業保健師」は似た職種としてよく混同されがちです。いずれも企業や自治体などの職場に就業し、そこで働く人々の健康を守る役割を担う仕事ですが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?


産業看護師とは

産業看護師とは、一般企業や自治体などに勤務する看護師のことをいいます。その主な業務としては就業先で働く社員や職員の病気やケガの治療補助、および療養のためのサポート、定期健康診断の補助などが挙げられます。

多くは社内(所内)の医務室や救護室などに勤務し、社員(職員)の疾病やケガに対応して医師の指導のもとに看護業務を行ないます。

産業看護師になるには



産業看護師になるためには、厚生労働大臣の看護師免許を受けている者であればそれ以外の特別な資格は必要ではありません。ちなみに、一定の研修を受けて日本産業衛生学会 産業看護部会に登録できる「産業看護師」という資格もあります。

登録産業看護師になるには、産業における看護経験が2年以上あること、第一種衛生管理者の資格を保有していること、日本産業衛生学会産業看護師が行う2つの講座を受講し修了していること、など条件があります。

登録産業看護師は取得しても5年ごとの更新が必要になりますので注意が必要です。もちろん、この資格がなくとも看護師資格があれば企業(自治体)などで産業看護師として働くことは可能です。

ステップアップはできる?

精神疾患を患う方が増えているため「産業カウンセラー」の資格があると転職等で有利に働く場合があります。

産業カウンセラーとは、専門的なアプローチで従業員のメンタル面をサポートする資格です。協会が指定する講習を受け、試験に合格することで取得できますので、医療従事者でない人も取得可能な資格です。

産業看護師として働く場合、精神的な悩みを持った従業員の対応をする機会が多くなりますので、持っていると大いに役立つと言えます。

産業看護師のメリット



・労働環境が良い
多くの企業の勤務時間は早くて9時から遅くて18時までです。そして基本的にお休みは土日になります。夜勤や残業があったり、シフト制で土日の休みがあまりとれない病院との違いは大きなメリットです。

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・デスクワークが多い
産業看護師の仕事は約4割がデスクワークと云われています。従業員の健康管理などのデータ集計などです。病院の看護師さんと比べると肉体労働が少なく、落ち着いて仕事ができる環境と云えます。

・医療事故が少ない
企業に勤めているため、病院に比べると医療事故を引き起こすようなケースに当たることが圧倒的に少ないのです。命にかかわるような案件が少ないということは、日々、ストレスなく仕事ができると云うことになります。


日本看護協会が2007年に纏めた資料によると看護職員の離職理由として、「妊娠や出産…52.1%」「結婚…49.4%」「子育て…37.7%」などの家庭の理由を除けば、「勤務時間が長い、超過勤務が多い…38.0%」「夜勤の負担…30.9%」「自分の健康…28.5%」「責任の重さや医療事故の不安…25.9%」「休暇がとれない…25.0%」などが挙げられています。

これらの看護師の悩みが全て軽減される職場が産業看護師と云っても過言ではありませんね。


産業保健師とは



産業保健師とは、企業の医務室や救護室に勤務する保健師のことです。

その業務内容も、産業看護師と同様に、就業先の社員の健康管理や疾病予防、健康増進、公衆衛生に関する知識の普及などが挙げられます。多くの場合、産業医や衛生管理者とチームを組んで業務を行なっています。

産業保健師になるには

産業保健師になるためには、厚生労働大臣の保健師免許を受けている者であればそれ以外の特別な資格は必要ではありません。

なお、産業看護師とは異なり、保健師の場合は自治体等に勤務するのは「行政保健師」の分野に当てはまり、保健所や市町村役場・保健センターなどが就業先となります。

ステップアップはできるの?

日本産業衛生学会で「登録産業保健師」に登録されると専門性が高まり、産業保健師として箔が付きます。よりよい待遇やより良い職場を望むことができるようになります。

取得には最低50時間の授業と6,000字程度の論文が必要となります。詳しくは「日本産業衛生学会」で検索してみてください。

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産業保健師と産業看護師の違い



産業看護師と産業保健師の違いを端的にいうと、産業看護師は病気やケガの治療補助を行なうのに対し、産業保健師は病気やケガの防止と健康管理を行なうという点になります。

すべてのケースでそうというわけではありませんが、同じ職場で産業看護師と産業保健師がいっしょに働いている場合、産業保健師のほうが産業看護師よりも立場が上となっていることが多いようです。


産業看護師と産業保健師の企業関連の主な求人先としては、一般企業でも比較的従業員が多い商社や銀行、証券会社などのオフィス、製造メーカーのオフィスや工場、小売業やサービス業の店舗施設、アミューズメントパークなどの娯楽施設、デパートやショッピングセンターなどの商業施設などがあります。

産業看護師や産業保健師への転職をお考えの方は、看護師専門の転職サイトの利用をおすすめします。

<産業看護師と産業保健師ってどう違うの?・まとめ>

  • どちらも企業勤務となるため、職場環境が安定する。
  • 看護師や保健師から転職する際に特別な資格は必要としない。
  • 産業看護師が病気やけがのあとのサポートをするのに対し保健師は病気やけがを予防するという面で従業員をサポートする。
  • 昼間の勤務で土日が休みという企業が多く、職場環境は概ね良好といえる。

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